スタートアップを成功へ導くためにとても重要な要素の一つが、ベンチャーキャピタル(VC)との出会いです。VCはお金だけでなく、ビジネスの専門家としてもスタートアップに力を貸してくれる存在です。
本記事では、ベンチャーキャピタル(VC)とスタートアップの関係性などをわかりやすく解説するとともに、これまでJP Startups(ジャパスタ)がお届けしてきたスタートアップ企業の経営者インタビューの中から、最適なVCに出会うコツやアドバイスを厳選しました。あなたも最強のパートナーを見つけ、ビジネスを成功させましょう!
ベンチャーキャピタル(VC)とは?
ベンチャーキャピタル(VC)は、将来の成長が期待される新しいスタートアップに資金を提供する、パートナーのような存在です。VCは、企業の株式を購入して資金を提供し、スタートアップの成長をサポートします。ちなみに、株式の中には潜在株式と呼ばれる将来的に発行されるかもしれない株も含まれています。そして、VCはその株式を将来的に売却して利益を得ることを目指しています。これがVCの主要なビジネスモデルです。
VCの種類
国内外には多くのVCが存在し、運営主体や投資に対する考え方、どのステージのスタートアップに投資するかなど、それぞれ特徴があります。ここでは、VCの種類と代表的なVCをご紹介します。
独立系ベンチャーキャピタル
親会社や事業母体を持たずに独立して資金を運用しているため、独自の判断で投資を行うことができます。スタートアップにとっては柔軟なパートナーかもしれません。
インキュベイトファンド株式会社
インキュベイトファンド株式会社|国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC
起業家にとってメリットしかない起業家・投資家経営合宿「インキュベイトキャンプ」の魅力を紹介
国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC、インキュベイトファンド。支援対象者や支援内容、2022年10月中旬に開催され…
Beyond Next Ventures 株式会社
Beyond Next Ventures 株式会社|研究開発型スタートアップの立ち上げ前から伴走支援を行う
研究者と共に、世の中を変えるスタートアップづくりに挑み続けるBeyond Next Venturesの挑戦
「Deep Techに関わる一番の喜びは、未来が変わる瞬間と出会えることだ」自らも学生時代に研究に打ち込んでいた津田 将…
KUSABI / Wedge株式会社
KUSABI / Wedge株式会社|シードおよびアーリーフェーズのスタートアップにハンズオン型の支援を行う
注目を集めた100億円規模の第一号ファンド。KUSABIが起業家と目指す世界とは
「1兆円企業の創出を通じて国力向上を目指す」 キャピタリストとして創業初期の起業家への投資に取り組む永井 研行(ながい・…
日本国内にもたくさんの独立系VCがあり、上記のようなシードと呼ばれるフェーズを対象するハイリスク投資を得意とする場合や、会社がある程度の規模になってから大型の投資をする場合など、さまざまです。
金融系ベンチャーキャピタル
銀行や証券会社などが母体となって資金を提供します。お金のネットワークが豊富で、大きな規模の企業に投資する傾向があります。
- 三菱UFJキャピタル
- SMBCベンチャーキャピタル
- みずほキャピタル
など
企業系ベンチャーキャピタル(CVC:Corporate Venture Capital)
事業会社が運営するVCで、スタートアップに事業領域での専門知識を提供できる点やその事業会社と事業連携できる点が魅力です。
- 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
- サイバーエージェントベンチャーズ
- GREE Venturs
など
大学系ベンチャーキャピタル
大学や研究機関が運営し、新しいテクノロジーやアイデアに資金を提供します。大学との連携が活発で、研究成果をビジネスに発展させるサポートを行います。
- 東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)
- 大阪大学ベンチャーキャピタル
- 慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)
など
地域特化型ベンチャーキャピタル
特定の地域のスタートアップ企業に投資し、その地域の経済発展と成長を促進することを目的としています。
- 北海道ベンチャーキャピタル株式会社
- 東北イノベーションキャピタル株式会社
- DOGAN β
など
海外系ベンチャーキャピタル
グローバルなスケールで世界中のスタートアップに投資をします。
- Antler株式会社
- Sequoia Capital
- 500 Startups Japan
など
Antler株式会社|世界25都市で展開するグローバルベンチャーキャピタル
起業前でも2,000万円の獲得のチャンス?!日本初上陸の起業支援プログラム「Antler Cohort Program(アントラー・コホート・プログラム)」潜入取材
世界25都市で展開するグローバルベンチャーキャピタル、Antler(アントラー)。そんなAntler(アントラー)が展開…
VCからの資金調達はエクイティファイナンス?デットファイナンス?
スタートアップが資金を調達する方法は大きく二つです。株式を発行することで資金を調達するエクイティファイナンスと、銀行などの金融機関からお金を借り入れることで資金を調達するデットファイナンスです。エクイティとは株式、デットとは借金・負債を意味します。一番の大きな違いは、エクイティファイナンスの場合は株主に原則としてお金を返す必要がないのに対して、デットファイナンスはいずれお金を返さなくてはならない点です。
スタートアップがVCから資金を調達する場合は、エクイティファイナンスになります。そして、VCは多くの出資者を集めてスタートアップにお金を出資してくれるので、エンジェル投資家からの調達よりも、大きな金額を調達することが可能になります。
VCはスタートアップの救世主!?
創業して間もないスタートアップは、急成長を成し遂げるために資金が必要です。けれど、創業して間もないスタートアップは、まだビジネスモデルが確立していないことも多く、返済能力が確かでなかったり、将来の収益を予測しにくいため、銀行からお金を借りることが難しいこともあります。そのような中で、VCはスタートアップに必要な資金を提供するだけではなく、ビジネスの成長を支援するアドバイスや業界のネットワークを提供することで、スタートアップの成功をバックアップをするのです。
VCはなぜスタートアップに投資をするの?
VCは、スタートアップにお金を提供する代わりに、スタートアップの株式(潜在株式を含む)を手に入れます。スタートアップは、VCから提供されたお金を使って優れたメンバーを雇ったり、新しいプロジェクトを始めることができます。そして、将来的にスタートアップが株式公開(IPO:Initial Public Offering)をしたり、ほかの大企業に買収(M&A:Mergers and Acquisitions)されることをエグジット(Exit)と言います。
さらに、ここからがポイントです。VCはこのエグジットのときに、もともとスタートアップに出資したお金に比べて、時には数千倍もの大きな利益を得ることがあるのです。これが、成功するかどうかわからないスタートアップにVCがお金を出す主な理由です。VCはリスクを取りながらもスタートアップをバックアップし、最終的に双方にとって大きな利益をもたらします。
【VCや経営者が伝授!】VCから資金調達をする5つのコツ
JP Startups(ジャパスタ)は特にシードと呼ばれるフェーズを対象したVCへの取材を行なっています。
ここではシード期のスタートアップが資金調達をするときの5つのコツと、JP Startups(ジャパスタ)のインタビューから、VCがスタートアップへ出資をするときに重視しているポイントをご紹介します。
シード期のスタートアップが資金調達をするときの5つのコツ
- 優れたビジネスアイデアを持つ
VCが重視するのは、ユニークで魅力的なビジネスアイデアです。市場の課題を明らかにして、それを解決するアイデアを持つことが大切です。競合他社との差別化を考え、オリジナリティを強調しましょう。 - ビジネスプランを用意する
VCにとってビジネスプランは重要な要素です。ビジネスの展望や戦略をしっかりと計画し、ビジョンを明らかにしましょう。財務計画もきちんと作成することが大切です。 - アイデアを具体化する
アイデアが実際の市場で機能するかどうかを確かめましょう。プロトタイプやMVP(実用最小限の製品)を作成して、アイデアを具体的な製品やサービスに進化させましょう。市場のフィードバックを受けることがビジネスの成長につながります。 - 強力なチームを組む
VCはスタートアップのチームにも注目します。信頼性と実力のあるメンバーを集め、それぞれの役割とスキルを明らかにしましょう。強力なチームは、スタートアップの成功に欠かせません。 - アイデアやビジョンを明確に伝える
プレゼンテーションのスキルを磨きましょう。熱意をもって、自分たちのビジネスアイデアやビジョンを伝えることが大切です。わかりやすい魅力的なコニュニケーションで、VCにアプローチしましょう。
VCがシード期のスタートアップへ出資をするときに重視しているポイント
KUSABI / Wedge株式会社 代表パートナー 永井 研行氏
KUSABIはパートナーが3人いるので少しずつ方向性は異なりますが、共通しているのは、地頭が良くて柔軟、そしてやりきる力がある起業家です。
KUSABI / Wedge株式会社|シードおよびアーリーフェーズのスタートアップにハンズオン型の支援を行う
注目を集めた100億円規模の第一号ファンド。KUSABIが起業家と目指す世界とは
「1兆円企業の創出を通じて国力向上を目指す」 キャピタリストとして創業初期の起業家への投資に取り組む永井 研行(ながい・…
インキュベイトファンド株式会社 南出 昌弥氏
新産業を創出し、ゲームチェンジャーとなるべく事業を行う起業家に出資させていただいております。
インキュベイトファンド株式会社|国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC
起業家にとってメリットしかない起業家・投資家経営合宿「インキュベイトキャンプ」の魅力を紹介
国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC、インキュベイトファンド。支援対象者や支援内容、2022年10月中旬に開催され…
Beyond Next Ventures株式会社 Incubation Groupマネージャー 津田 将志氏
シーズがユニークであることだけでなく、周囲の人を引きつけ巻き込んでいく力が強いことが多いです。
Beyond Next Ventures株式会社|研究開発型スタートアップの立ち上げ前から伴走支援を行う
研究者と共に、世の中を変えるスタートアップづくりに挑み続けるBeyond Next Venturesの挑戦
「Deep Techに関わる一番の喜びは、未来が変わる瞬間と出会えることだ」自らも学生時代に研究に打ち込んでいた津田 将…
経営者の目線からも、どんなところが資金調達の重視ポイントになっているか、いくつかの事例を見てみましょう。JP Startups(ジャパスタ)が紹介してきた注目のスタートアップ企業インタビューには下記のようなコメントがあります。
シェルパ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役CEO 杉本 淳氏
弊社がESGデータマネジメントの領域で先駆けのスタートアップだったことも、資金調達がスムーズに進んだ大きな要因の一つだったかもしれません。
シェルパ・アンド・カンパニー株式会社|ESG情報開示支援クラウド「SmartESG」を提供
サステナビリティを企業活動のあたりまえに。テクノロジー活用で日本のESG市場に挑むシェルパ・アンド・カンパニー 杉本 淳氏
欧米を中心に世界で広がりを見せ、日本でも話題を集めている「ESG投資」や「ESG情報開示」。企業がESG情報開示を行う際…
株式会社ザブーン 代表取締役社⻑ 戸高 克也氏
私の想像以上に、投資家さんから「世界で戦えるプロダクト」だと評価いただき、資金調達に向けての交渉もとてもスムーズに進みました。
株式会社ザブーン|船舶管理のスタンダードプラットフォーム「MARITIME 7」を開発・運営
ザブーンの営業は船に乗る!?船員の労働環境に変革を起こす、ザブーン代表戸高氏インタビュー
「島国日本の輸出入を支える海事産業で挑戦する」 海事産業に深い造詣を強みとしながら問題に取り組む戸高克也(とだか・かつや…
Cloudbase株式会社 代表取締役 岩佐 晃也氏
日本におけるパブリッククラウドのセキュリティSaaS市場の伸びしろと、先陣を切ってその市場に切り込んでいった点を評価していただいたのではないかと思います。
Cloudbase株式会社|クラウドセキュリティプラットフォーム「Cloudbase」の開発
スタートアップはまるでRPG。6回の失敗でたどり着いたクラウドのセキュリティSaaSで躍進するCloudbase・岩佐 晃也氏
さまざまなWebサービスやアプリケーション構築の基盤となる、AWSやGCP、Azureなどのパブリッククラウドサービス。…
株式会社Spider Labs CEO 大月 聡子氏
投資家とコミュニケーションする上でビジョンやパッションも重要ですが、投資家からお金を預かる以上、根拠のある数字をしっかり示していくことが大事だと考えています。
株式会社Spider Labs|アドフラウド(広告詐欺)対策サービス「Spider AF」を提供
日本発サイバーセキュリティーカンパニーSpider Labs、グローバルマーケット開拓への飽く無き展望
「どんな時もやりたいことに全力投球」 日本発サイバーセキュリティスタートアップとして世界に勝負を仕掛ける株式会社Spid…
さらに、スタートアップが実際に直面した難しい点や、苦労した点から資金調達のヒントを得ましょう。
株式会社スマートショッピング 代表取締役 林 英俊氏
VCなどから僕らの開発するハードウェアやサービス内容への理解を得るのは大変でしたね。
株式会社スマートショッピング|IoT重量計を使った在庫管理・発注自動化ソリューションを開発
「消費データ」からモノの流れを180度変える。ショッピングの新たな未来実現に挑戦するスマートショッピング・林 英俊氏
1982年に「サプライチェーン・マネジメント」という言葉がロジスティクス研究の中で初めて使われてから、およそ40年が経っ…
株式会社インフォステラ CEO 倉原 直美氏
投資家の皆さんとのやり取りで、ビジネスのタイムスパンに関する認識のすり合わせは大変でした。
株式会社インフォステラ|周回衛星向け地上局共有プラットフォーム「StellarStation」を開発・運用
宇宙ビジネスはもっと面白くなる。インフラとして宇宙ビジネスを支えるインフォステラの挑戦
「宇宙ビジネスのインフラを担う」 大学での博士研究員、衛星管制システムエンジニアの経験を経て、宇宙ビジネスに挑戦する倉原…
株式会社ビットキー 代表取締役CEO(当時) 江尻 祐樹氏
日本に弊社のビジネスモデルの類似例がないことがハードルだったかなと思います。
株式会社ビットキー|ID連携 / 認証 / 権利処理を行うデジタルキープラットフォーム「bitkey platform」を開発・運営
All in one Solutionで全てがConnectする世界を創るビットキー
テクノロジーの力であらゆるものを安全で便利に気持ちよく「つなげる」 をミッションにした株式会社ビットキー。2018年に設…
エシカル・スピリッツ株式会社 CEO 山本 祐也氏
投資家の立場からすると投資するに値する合理的なストーリーを求められているのも理解はしていますので、どのように興味を持ってもらうかは頭を使う部分です。
エシカル・スピリッツ株式会社|廃棄素材を使用したクラフトジンの生産や、再生型蒸留所を運営
”SAKE業界”で連続起業!当たり前を塗り替える「エシカル・スピリッツ」創業者の挑戦
「美味しいジンを飲んだら、それがエシカルだった」 今はまだない文化の醸成を目指して邁進する日本発のスタートアップがいる。…
アスエネ株式会社 CEO 西和田 浩平氏
投資家との議論により、一緒に市場・ビジネスモデル戦略・競合優位性・課題をブラッシュアップしていくDDプロセスは、起業家・経営陣が鍛えられる場だと考えているので、むしろ交渉プロセスをポジティブに捉えていました。
アスエネ株式会社|CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービス「アスゼロ」を展開
社会を変えるビジネスを!脱炭素を追い風に2年足らずでシリーズBを達成したアスエネ西和田氏が目指す次世代によりよい世界
2020年10月の「脱炭素宣言」を機に、CO2削減・再生可能エネルギーがビジネスとして評価される時代が日本にもやって来た…
株式会社クラス 代表取締役社長 久保 裕丈氏
高い視座と世界観を持った方々から、当時の自分にまだ見えていない世界に対する質問をされたときは、回答するのに精一杯でした。
株式会社クラス|家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」の運営
循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会づくり」実現を目指す
個人のライフスタイルや法人の事業規模の変化のたびに、買われ捨てられる家具・家電。その中で、循環型でサステナブルな「ものを…
株式会社STANDS 代表取締役 露木 諒氏
慣れないうちは、VC(ベンチャーキャピタル)に断られても、何がダメだったのかもわからない。ですので、一緒にアクセラレーターに参加していた人や、すでに資金調達に成功した人に相談していました。プロセスを辿りながらリアルタイムで勉強をしつつ、VCとの目線を合わせていった形です。
株式会社STANDS|ウェブサービスにユーザーを導くガイドを設置するUI/UX改善ツール「Onboarding」を開発・提供
エンジニアの自分が悔しいと思った経験をバネに、STANDSを起業へ
開発はエンジニアでないとできない……コーディングにそんな苦手意識を持っている人は今でも少なくないだろう。一方、最近では、…
VCから投資を受ける4つのメリットと3つの注意点
VCから投資を受けるとスタートアップにはお金の面だけでないメリットも生まれます。しかし、その一方で、気をつけなくてはならない注意点もあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
VCから投資を受けるメリット
- 資金調達がしやすくなる
VCから投資を受けることで、「この会社はVCに評価されている」という社会的な評価・信用を得ることができ、副次的に銀行からの融資が受けやすくなることが多いです。また、ほかの投資家にも注目され、追加出資や新しい投資家に出会えるチャンスが増えることがあります。 - 事業パートナーが広がる可能性がある
VCが持っている多くの企業とのネットワークを活用してサポートを受けることで、新しいビジネスや連携先を見つけるチャンスが広がります。 - 経営ノウハウを活用できる
VCはビジネスの豊富な知識を持っている経営のプロフェッショナルです。スタートアップはVCのアドバイスやサポートを受けながら、より良い経営を実現できます。 - 返済の義務がない
VCからの資金は原則として返済する必要がありません。スタートアップは将来的なビジネスの成功に向けて、返済のプレッシャーを感じることなく成長することができます。
VCから投資を受けるときの注意点
- 経営の主導権を握られてしまう場合がある
VCからの投資を受けると、経営に対する干渉を受ける場合があります。VCは投資家として、事業の成功を確保しようとするため、経営に対して意見や提案を行うことがあります。しかし、その中でVC側の都合で経営の選択肢が狭まったり、主導権を握られる可能性があるため、スタートアップは投資契約の内容をしっかり確認すべきです。また、前もって自社のビジョンや経営方針をクリアにして、交渉スキルを身につけておくとよいでしょう。時には資本関係のないアドバイザーの存在も必要かもしれません。 - 持株比率が下がる
VCからの投資を受けると、VCが新たな株式を取得するためスタートアップの経営者の持株比率が下がることがあります。持株比率の低下は、スタートアップの将来の利益分配や経営権に影響を及ぼします。資本政策についても初期の段階からしっかりと戦略的に取り決めることで、リスクヘッジを図りましょう。 - 早期に成果(エグジット)を出すことが求められる
VCは投資のリターンのために、スタートアップに早期のエグジット(IPOやM&Aなど)を求めます。スタートアップは成長と収益のスピーディな拡大が期待され、それに応える必要がありますが、中長期的な成長目線と矛盾することもあるため、VCとのエグジット戦略についての話し合いは欠かせません。
スタートアップはVCからの投資を受けるときは、これらの注意点を頭に入れながら、VCとの関係を慎重に築くことが大切です。お互いに理解がある関係を築くことができれば、スタートアップにとっても、VCにとっても大きな成果を得ることができます。
JP Startups(ジャパスタ)が紹介してきた注目のスタートアップ企業インタビューには下記のようなコメントもあります。
Spiral.AI株式会社 代表取締役 佐々木 雄一氏
VCの方で手伝いますよと言ってくれる方もいらっしゃいますが、やはりビジネスとして利害関係が発生し得る相手なので、100%信頼するのは難しくなってきます。
Spiral.AI株式会社|巨大言語モデル(LLM)に特化したソフトウェアを開発
大規模言語モデル(LLM)の力で人類の可能性を広げる。Spiral.AIの挑戦
ChatGPTやBingAIなどの登場で、現代では徐々にAIとの協働が求められるようになりました。特に、ライティングや文…
株式会社フライウィール 代表取締役 横山 直人氏
リード投資家になる方が誰かということで、ファイナンスもビジネスそのものも方針が大きく変わることを理解してエクイティ調達を進めることが大切だということです。
株式会社フライウィール|高度なAI技術を駆使し、ビッグデータを活用したソリューションを提供
まるでオーダーメイド。データを価値に変えるオールインワンプラットフォーム「Conata(コナタ)」で目指す社会全体の最適化|株式会社フライウィール
AIの進化により、我々はビッグデータを活用した革新的なソリューションを生み出すことができるようになりました。今日でも、多…
お金だけではないメリット!VCのネットワークやアドバイスについて
スタートアップの成功において、VCからの投資はとても重要です。けれど、それだけがVCの価値ではありません。VCにはほかにはないネットワークや豊富な経験からのアドバイスなど、戦略的な協力が含まれます。それらが、スタートアップのビジネスの成長にどれほど貢献するのか、JP Startups(ジャパスタ)が紹介してきたVCへのインタビュー記事や、スタートアップ企業インタビューから探ってみましょう。
インキュベイトファンド株式会社
南出 昌弥氏
投資先の経営会議に参加して、事業成長に関する壁打ちであったり、資金調達に関するお手伝いやチームビルディングであったり、幅広く支援させていただくことで伴走しております。
インキュベイトファンド株式会社|国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC
起業家にとってメリットしかない起業家・投資家経営合宿「インキュベイトキャンプ」の魅力を紹介
国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC、インキュベイトファンド。支援対象者や支援内容、2022年10月中旬に開催され…
創業期の起業家に向けたアクセラレーションプログラム「Incubate Camp」
600名超の応募から選抜された16名の起業家が参加した「Incubate Camp(インキュベイトキャンプ)」最終ピッチに編集部が潜入取材
国内最大規模のシード投資実績を持つ老舗VC、インキュベイトファンド。 10月某日に同ファンドが主催した経営合宿「Incu…
株式会社AIメディカルサービス 代表取締役CEO 多田 智裕氏
Incubate Campは、国内の一流キャピタリストが一堂に会するイベントですので、実際に動く金額が桁違いです。我々もIncubate Campがきっかけで出資していただきました。
株式会社AIメディカルサービス|内視鏡画像診断支援AIを研究開発、100施設以上の医療施設と共同研究・製品開発を進める
格差のない医療が広まる世界の実現へ。AI内視鏡で世界へ羽ばたくAIメディカルサービスの挑戦
「格差のない医療の世界を実現する」約10年に渡る内視鏡医療を通じて、世界最高レベルのAI内視鏡の開発を手掛ける多田 智裕…
株式会社Arch COO 北山 太志氏
調達につながったのはIncubate Fundが運営しているインキュベイトキャンプですね。
株式会社Arch|建設会社とレンタル会社をつなぐデジタルプラットフォームを展開
真の建設DXで建設業界をみんなの憧れの業界に。建機レンタル品オンライン発注ツールを提供するArchの挑戦
「真の建設DXを目指す」 大阪弁を交えながら、軽快な口調でこのようなビジョンを語る、松枝 直(まつえだ・ただし)氏と北山…
Beyond Next Ventures株式会社
Incubation Groupマネージャー 津田 将志氏
弊社からの出資後は、CXO人材の採用支援や、大企業との連携サポート、IPOに向けた支援などをそれぞれの専門性に長けたチームで行っています。弊社のキャピタリストは、出資先企業に対してボードメンバーやアドバイザーといった立場で日々伴走をさせていただいています。
研究開発型スタートアップを対象にしたアクセラレーションプログラム「BRAVE」
研究者と共に、世の中を変えるスタートアップづくりに挑み続けるBeyond Next Venturesの挑戦
「Deep Techに関わる一番の喜びは、未来が変わる瞬間と出会えることだ」自らも学生時代に研究に打ち込んでいた津田 将…
株式会社AIメディカルサービス 代表取締役CEO 多田 智裕氏
BRAVEは研究開発ベンチャーのグロースに特化しています。研究者や大学の教授向けに、スタートアップ財務やCXOの巻き込み方など、基礎的な部分からトレーニングしてくれます。
株式会社AIメディカルサービス|内視鏡画像診断支援AIを研究開発、100施設以上の医療施設と共同研究・製品開発を進める
格差のない医療が広まる世界の実現へ。AI内視鏡で世界へ羽ばたくAIメディカルサービスの挑戦
「格差のない医療の世界を実現する」約10年に渡る内視鏡医療を通じて、世界最高レベルのAI内視鏡の開発を手掛ける多田 智裕…
KUSABI / Wedge株式会社
シードステージのスタートアップを育成する約18か月間のプログラム「KUSABI α」
注目を集めた100億円規模の第一号ファンド。KUSABIが起業家と目指す世界とは
「1兆円企業の創出を通じて国力向上を目指す」 キャピタリストとして創業初期の起業家への投資に取り組む永井 研行(ながい・…
株式会社WAND 代表取締役CEO 黒﨑 悠一氏
キャピタリストとのメンタリングを通じて、事業の立上げの方法を身につけることができた点が一番役に立ちました。毎週のメンタリングを通じて、事業を0から立ち上げる際に必要なインプットとアウトプットを、スピード感を持って学ぶことができました。
Antler
起業家のDay zeroを支援する「Antler Cohort Program(アントラー・コホート・プログラム)」
起業前でも2,000万円の獲得のチャンス?!日本初上陸の起業支援プログラム「Antler Cohort Program(アントラー・コホート・プログラム)」潜入取材
世界25都市で展開するグローバルベンチャーキャピタル、Antler(アントラー)。そんなAntler(アントラー)が展開…
【経営者に聞きたい!】苦労を共にするVCを選んだ決め手とは
スタートアップとVCの関係は時に結婚に例えられ、お互いにエグジットというゴールに向けて苦労をともにする大切なパートナーとなります。近い将来に起業を考えている方、これから資金調達を考えている方が感じているであろう疑問に、先輩スタートアップがお答えします。
Q. シリーズAでの資金調達、どうしたら良い?
株式会社IVRy 代表 奥西 亮賀氏
弊社の可能性をきちんと評価してくださったVCさんから資金調達を行いました。
株式会社IVRy|自由な電話自動応答システム(IVRシステム)を最短5分で作成できるサービス「IVRy」の運営
「電話」が日本の生産性向上の鍵になる。SaaSで電話業務のDXに挑むIVRy・奥西 亮賀氏インタビュー
多くの企業が煩雑さを感じながらも、電話業務は長い間アナログなまま、資金に余裕のある大手企業以外はなかなか業務効率化に至れ…
207株式会社 CEO 高柳 慎也氏
シリーズAラウンドを目指すスタートアップの方は、フラットに話せる投資家さんに投資してもらうのは個人的にオススメです。
207株式会社|物流業界のラストワンマイルのDX化を目指し、配達効率化に特化した事業を展開
日本発の物流のスタンダードを創り、いつでもどこでもモノがトドク 世界を目指す207の挑戦
近くの営業所に荷物があるのに不在が続いて受け取れない⸻ そんな経験をした方は多いのではないだろうか。物流のラストワンマイ…
Q. VCの見極めポイントは?
株式会社SUPER STUDIO COO 花岡 宏明氏
最初の資金調達の際は、やはりキャピタリストの方の人柄が大きいですね。さまざまなタイプの方がいらっしゃいますが、我々としてはチームやカルチャーを評価してくださる投資家との相性が良かったように思います。
株式会社SUPER STUDIO|D2C支援事業やEC基幹システム「ecforce」を提供
SaaS型ECプラットフォームで急成長。「何をやるかではなく、誰とやるか」を大事にする型破りスタートアップ誕生秘話・SUPER STUDIO 共同創業者インタビュー
数年ほど前から、「D2Cブーム」が起きている。そのブームはコロナ禍でさらに追い風を受け、D2Cに着目した取り組みを始める…
ファンファーレ株式会社 代表取締役 近藤 志人氏
投資をお願いする先に関しては、中長期的な目線でこの業界の改善に同意してくださるかどうかを非常に重要なポイントとして見ています。
ファンファーレ株式会社|廃棄物回収の配車計画を自動作成するSaaS「配車頭」を開発
「介在価値」を発揮し、社会に貢献したい。未経験から廃棄物業界の課題解決に挑む、ファンファーレ・近藤 ゆきと氏
日本における廃棄物業界の歴史は長い。「汚物掃除法」が制定されたのが1900年。行政の管理下で廃棄物の処理を行うしくみが初…
株式会社ハイヤールー 代表 葛岡 宏祐氏
僕らは「グローバル市場に行き、絶対に勝つ」と決めています。無謀にも思えるその挑戦を、後押ししてくれる投資家にお世話になりたいと考えていましたね。
株式会社ハイヤールー|オンライン完結型コーディング試験サービス「HireRoo」を提供
中卒バックパッカーからメルカリを経て起業。エンジニア採用の課題解決に挑戦するハイヤールー・葛岡 宏祐氏
IT人材の不足が叫ばれて久しい。2030年にはIT人材が45万人も不足するといわれる中で、IT領域を担う人材を増やす取り…
Q. スタートアップにとって、投資家ってどんな存在?
株式会社Another works 代表取締役 大林 尚朝氏
私の場合、資金調達も採用と同じく「仲間集め」の一環だと思っています。弊社と一緒に事業を前に進めてくださる投資家と出会えると、視点や人のつながりを広げることにつながるのではないでしょうか。
株式会社Another works|SaaS型の複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を展開
「複業の社会実装」で日本の雇用に維新を。先人に学んだ経営哲学で、未来の当たり前をつくり続けるAnother works・大林尚朝氏
働き方の多様化に注目が集まって久しい。中でも複数の仕事に同時並行で従事する「複業」は、個人の柔軟なキャリア形成を可能にし…
株式会社クラス 代表取締役社長 久保 裕丈氏
事業をやっていると乗り越えなければいけない壁が見えてくるのですが、彼らのすごいところはそれが先回りして見えていることなので、相談相手になってもらっています。
株式会社クラス|家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」の運営
循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会づくり」実現を目指す
個人のライフスタイルや法人の事業規模の変化のたびに、買われ捨てられる家具・家電。その中で、循環型でサステナブルな「ものを…
株式会社iCARE 代表取締役 山田 洋太氏
私たちが怠けていると叱ってくれますし、逆に落ち込んでいるときは「大丈夫だ」と応援してくれる。本当に心強いパートナーです。
株式会社iCARE|産業保健のプロフェッショナルと共に、企業向け健康管理システム「Carely」を開発・運営
現役産業医が起業。倒産の危機を経て、急成長スタートアップに。働く人の健康問題に挑む iCARE・山田 洋太氏
健康経営が注目されてから久しい。コロナ禍を経て、従業員の健康に対する企業の意識はさらに高まっているのではないだろうか。し…
Q. 資金調達という面から気をつけるべきことは?
テックタッチ株式会社 代表取締役 井無田 仲氏
設立当初はとにかくエクイティファイナンスよりも、デットファイナンスを中心に活用していました。日本は政策金融があるので、創業当初でも借り入れをしやすいと思います。日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の保証付融資には大変お世話になったので、ぜひ活用することをお勧めします。
テックタッチ株式会社|ノーコードで、システムのユーザー体験を改善できる「テックタッチ」を展開
DXのラストワンマイルを埋める。Webシステムを使いやすくするテックタッチが目指す、現場主導でのDXを実現する未来
日々増えていくITサービス。利便性は高まる一方で、その急速な変化についていけない、という人も増えていることだろう。せっか…
Radiotalk株式会社 代表取締役 井上 佳央里氏
資金調達はスタートアップにとってとても責任や意味のあることだと思っています。調達をしたら、それは株主に期待をしてもらっていること。XTechの西條氏から「株主との信頼関係を第一にし、企業価値最大化に努めなければならない」と言われたことがあり、それが印象に残っています。
Radiotalk株式会社|1タップですぐに始められる音声配信プラットフォーム「Radiotalk」を運営
音声こそ人の魅力を伝える最適ツール、熱狂が連鎖するコミュニティRadiotalkからプロのクリエイターを
通勤時間や家事、勉強の合間にTwitter、TikTok、Instagram、YouTubeといったプラットフォームを見…
株式会社SECAI MARCHE 共同代表 杉山 亜美氏
投資家に振り回されすぎないこともお伝えしたいです。スタートアップも資金調達も手段ですので、エクイティ調達をせずに事業が進められるのであれば無理にしなくてもいい。弊社は素晴らしい投資家に出会うことができ、事業を進められています。
株式会社SECAI MARCHE|東南アジアにおける生鮮食品の新たなサプライチェーンを構築
物流が未発達な東南アジアで産直ECニーズに応える!生産者と消費者を繋ぐSECAI MARCHEの挑戦
「創る人と使う人がダイレクトに繋がることで、情報・モノが平等に流通し、全ての人が主役になれる世界を創造する」をミッション…
まとめ|VCと成功を目指すためにスタートアップがすべきこと
VCはスタートアップに資金だけでなく、経営ノウハウやネットワークを提供してくれます。近い将来に起業を考えている方、これから資金調達を考えている方はVCのメリットや注意点をよく理解し、どのVCから資金調達をするのか、また、本当にVCからの調達が必要かどうかについても考えることが大切です。
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