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【8/4-8/9】注目のスタートアップニュース・資金調達情報

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2023年8月4日から2023年8月9日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。

編集部コメント

お盆期間に突入するということもあり、比較的情報が少なかった今週は、資金調達情報のみをお届けする。

8月4日から9日にかけては、物流DXのエニキャリやLINEで完結可能なオンラインショップ「BuyChat」を手がけるChai、神戸大学発の技術で世界初のがん検出技術の実用化を目指すTearExoなど、多様な領域のスタートアップが資金調達を行っていた。

今回はその中でも、4社をピックアップ。AIと専門家によるブランド品の真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」を手がけ、海外進出の加速が目覚ましいIVA、運動療法クラウドシステムを手がけるリハサク、屋内空間専用の小型ドローン「IBIS」を開発するLiberaware、請求書決済サービスを手がけるペイトナーを取り上げ、資金調達の内容やサービス概要、資金調達と合わせて発表された新情報について詳しく紹介する。

資金調達情報

【ラウンド不明】AI×専門家によるブランド品の真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」を運営するIVAが約8億円を調達(2023年8月9日発表)

鑑定チームとAI、専門機器によってブランドの偽造品を見分けることが可能な真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」を運営するIVA株式会社が、創業5年目で初の資金調達を実施した。調達方法は、株式会社メルカリやファミリーオフィスのDe Capital、エンジェル投資家など複数の個人投資家を引受先としたJ-KISS型新株予約権の発行と、みずほ銀行、りそな銀行からの融資。資金調達額は総額およそ8億円に達する見込み。

OECDの算出によれば、世界全体の偽造品輸入額は5,090億ドルに上る(※)。その約半数がブランドものの靴や衣類、皮製品で、同社は多彩な経歴を持つ鑑定チームと最新の専門機器、AI鑑定技術を駆使することで、市場に出回っている偽造品の見極めを行い、安心・安全なリユース商品の流通を目指している。現在はスニーカーブランドやラグジュアリーブランド、アパレルブランド、アクセサリーブランドなど88のブランドを鑑定可能で、累計150万件の鑑定実績がある。

同社は今後の展望として、三つの方向性を示している。一つ目が、AI技術の強化だ。真贋鑑定において99.9%の精度を誇る同社のAIをさらに強化し、鑑定速度を上げ、クイック鑑定サービスの特急オプション追加に活用する予定だという。また、ブランドバックや宝石、トレーディングカードなど、AIによる鑑定領域も広げていく。

二つ目が、グローバル展開だ。フェイクバスターズはすでに日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語に対応し、ドルやユーロ、ウォンなどの9通貨を使用可能だが、今後は2023年6月の台湾拠点設置を皮切りにさらなる海外展開を推し進めていくという。さらに8月には中国拠点を新設し、韓国や東南アジア、北アメリカへの進出も構想中だと公表している。

三つ目が、新規事業の「法人向けスニーカークリーニング事業」の開始だ。2023年秋より、現在拡大している中古スニーカー市場に対して、法人向けにスニーカーのクリーニング事業をスタートさせる予定。同サービスは初年度で50万足の取り扱いを目指しているという。

このような展望を見据えながら、同社は今回調達した資金を、AI技術の強化や鑑定キャパシティの拡張、新規事業開発に使用していくという。元リリースはこちら

OECD パリ「偽造品取引は世界の貿易の3.3%を占め、増え続けている」2019年3月18日より

【シード】運動療法クラウドシステムを提供するリハサクが約1.5億円の資金調達を完了。新機能もローンチへ(2023年8月9日発表)

Credit : 同社プレスリリース

運動療法クラウドシステム「リハサク」を開発・提供する株式会社リハサクは、シードラウンドにて、約1.5億円の資金調達を完了した。引受先はDNX Ventures、株式会社Welby、ANRIの3社。今回の資金調達をきっかけに、同社とWelbyは資本業務提携を締結することも発表された。Welbyは治療領域に特化したPHRプラットフォームサービスを展開する企業で、両社のターゲット施設と患者のバリューチェーンを補完することで、サービス向上と収益拡大を目指すという。

リハサクは、接骨院や整体院などの治療院と病院や整形外科クリニックなどのリハビリ現場で利用可能な運動療法クラウドシステム「リハサク」を開発・提供している。同サービスの中心軸となる「運動療法」とは、障害や疾患の治療・予防のために運動を活用すること。運動療法はエビデンスの確立された療法で、生活習慣病の改善や心臓リハビリテーションなど、さまざまな疾患に対して効果的な治療法として実践されている。しかし、運動療法の効果や重要性は、一般的にはまだ浸透しきっていない現状があり、医療やリハビリの現場では、患者に運動療法を指導してもなかなか継続に至らないという課題が見られていた。

同社は「リハサク」のアプリを通じて、理学療法士や柔道整復師が、担当患者に適切な運動療法を指導できるような環境を構築。アプリを通じた運動メニューの提供や指導、コミュニケーションなどを続けることで、運動の習慣化を支援するサービスを展開し、上述のような課題の解決に挑んでいる。

今回の資金調達と合わせ、同社は「リハサク」の新機能追加も発表。患者の姿勢の可視化をサポートする「AI姿勢分析」と、「新規患者獲得支援サービス」をローンチし、治療院が増加しながらも療養費が減少傾向にある厳しい業界構造に対し、治療院が高付加価値のサービス提供で集客を図れるようなサポートを行っていくという。元リリースはこちら

【シリーズA】屋内空間専用の産業用小型ドローン「IBIS」を開発するLiberaware、総額11.5億円の資金調達を実施(2023年8月7日発表)

Credit : 同社プレスリリース

屋内空間専用の産業用小型ドローン「IBIS(アイビス)」を開発する株式会社Liberawareは、6月5日に発表した資金調達に加え、引き続きシリーズAで第三者割当増資により資金調達を行ったと発表した。今回の引受先はAI・テクノロジー・イノベーション・ファンド3号有限責任事業組合、三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合、肥銀ベンチャー2号投資事業有限責任組合、BIG2号投資事業有限責任組合、ひょうご神戸スタートアップ投資事業有限責任組合、株式会社カシワバラ・コーポレーション、STATION Ai Central Japan 1号投資事業有限責任組合など。今回のラウンドの合計資金調達額は前回の調達と合わせて11.5億円となり、累計調達額は25.1億円に達した。

Liberawareは、狭小な屋内空間専用の小型ドローン「IBIS」を開発・提供している。同社によれば、その大きさは世界最小級。ボイラーや天井裏、配管、煙突、ダクトなどの点検・計測に使用でき、目視の点検では見逃しやすい小さな異常なども検知可能。日々の点検業務をドローンにより自動巡回できるサービスも提供しており、監視・点検作業の省力化やセキュリティ・安全性の向上に貢献する。さらにはドローンで収集したデータを画像解析にかけることで、インフラ点検・維持管理のソリューション提供も行う。

同社は今回の資金調達により、製造業や金融業など各業界の株主との連携を強化し、サービスの拡充とより高度な研究開発を促進。「誰もが安全な社会を作る」という同社のミッション達成を目指していくという。元リリースはこちら

【シリーズB】請求書決済サービスなどを手がけるペイトナー、総額22億円でシリーズBラウンドをクローズ(2023年8月9日発表)

Credit : 同社プレスリリース

「ペイトナー 請求書」「ペイトナー ファクタリング」を開発・提供するペイトナー株式会社は、8月4日に発表したインキュベイトファンドからの資金調達実施を受け、シリーズBラウンドの資金調達を総額およそ22億円でクローズしたと発表した。同社は2022年12月にシリーズBをファーストクローズさせており、その際は約19億円の資金調達を実施している。今回の調達により、これまでの累計調達額は約32億円となる見込み。

ペイトナーがシリーズBで実施した資金調達の全体像は、下記の通り。

資金調達内容

  • 調達額:総額およそ22億円
  • 調達方法:第三者割当増資、融資
  • 第三者割当増資の引受先:W fund / オリックス・キャピタル / FFGベンチャービジネスパートナーズ / セゾン・ベンチャーズ / ユナイテッド / SMBCベンチャーキャピタル / Chatwork / アイキューブドベンチャーズ / 識学 / 三井住友信託銀行 / インキュベイトファンド / みずほキャピタル ほか

同社は「成長する全てのビジネスの、お金のストレスをなくす」をミッションに掲げ、請求書の受取から振り込みまでを自動化可能な請求書受領サービス「ペイトナー 請求書」や、融資・借入が難しいフリーランスの資金繰り改善をサポートする請求書前払いサービス「ペイトナー ファクタリング」を提供している。「ペイトナー 請求書」は2022年9月のサービス開始より累計決済金額が37億円を突破し、「ペイトナー ファクタリング」は2019年9月のサービス提供開始時から累計申込数が10万件を突破。両サービスともに成長拡大を続けている。

同社は今回調達した資金をもとに、採用・組織体制の強化と、プロダクト開発、サービス品質向上のための研究開発を進めていく予定だという。元リリースはこちら