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【3/31-4/6】注目のスタートアップニュース・資金調達情報

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2023年3月31日から2023年4月6日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。

編集部コメント

今週はテクノロジーに注目した3件の資金調達ニュースをピックアップ。

「空飛ぶクルマ」のSkyDriveはシリーズCのExtentionRoundを発表し、さらなる大型調達を目指す模様。民間から効率の良い発電を目指して核融合炉の開発を進めるスタートアップの一つであるHelical FusionはSBIをリード投資家とするシード調達を達成。腸内細菌創薬を目指すメタジェンセラピューティクスは新たにJICベンチャー・グロース・インベストメンツを加えシリーズAをファーストクローズ。
いずれも大型資金を必要とする中長期課題に挑む中で、まずは市況厳しい中でも着実な前進を見せる。今後の実装、社会影響へ期待が膨らむ。

スタートアップニュース

虎ノ門インパクトキャピタル、ウェルネス領域に特化した投資ファンド「東京ウェルネスインパクトファンド」を組成(2023年3月31日発表)

Credit : 株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ プレスリリース

インパクト投資を実践する虎ノ門インパクトキャピタル合同会社(以下、TIC)は、2023年3月31日に100億円規模の「東京ウェルネスインパクトファンド(以下、TWIF)」組成に向けた1次募集を完了し、投資活動を開始することを発表した。

TWIFは東京都のソーシャルインパクト投資ファンド事業において、TICが運営事業者として採択されたことから始まったウェルネス領域での課題解決を図るインパクト志向のスタートアップを投資対象としたファンド。企業価値向上のためのIMM(Impact Measurement and Management)を通して起業家を伴走支援するほか、目標運用額に向けて、引き続きファンド出資者の募集を行っていく。

近年、高齢社会や健康意識の高まりにより、ウェルネス重視の流れが生まれ、健康的な生活習慣の重要性が再認識されているが、ウェルネス領域には多くの課題があり、さまざまな観点から課題を解決するスタートアップが求められている。また、投資家サイドでもこのような課題解決型のスタートアップを支援するために、財務的なリターンと社会的リターンを創出することを目的としたインパクト投資が注目され始めている。しかし、スタートアップ×インパクト投資の領域では開発段階にある背景から、TWIFはスタートアップ×インパクト投資を実践することで、ウェルネス領域の課題解決をテーマに、課題解決実践者の創出とファンド利益の確保、そして個人からのインパクト投資へのお金の流れを生み出したい考え。元リリースはこちら

2023年10月13日(金)〜14日(土)開催の「インキュベイトキャンプ16th」、4月3日(月)よりエントリー受付開始!(2023年4月3日発表)

Credit : 同社プレスリリース

独立系ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンドは起業家・投資家合同経営合宿「インキュベイトキャンプ16th」を2023年10月13日(金)〜14日(土)に開催、4月3日(月)より起業家のエントリーを受付開始することを発表した。

インキュベイトキャンプは、シード資金提供に止まらず、数千万~十億円単位の資金提供を含めた「起業家 / 投資家合同経営合宿」として運営される1泊2日の合宿プログラム。エントリー者の中から選考を通過した16名の経営者をプログラムの参加者として招待し、ゲストとして参加する国内屈指のベンチャーキャピタリスト(以下、ゲストVC)16名とディスカッションを重ねることで、事業プランのブラッシュアップや資金調達につなげる。

今回より、従来のスタートアップ経営者が直接応募できる「公募ルート」に加え、VC・エンジェル投資家からの推薦による「VC推薦ルート」が新たに開設されるほか、VC複数社の若手メンバーから構成される「選考委員会」が開設されるという。元リリースはこちら

スケジュール

4月3日(月):各種エントリー開始
5月31日(水):早期エントリー(定期メンタリングプログラム)〆切
7月31日(月):起業家エントリー〆切
8月1日(月)~9月8日(木):インタビュー期間
9月中旬: VC選考委員会の実施(順次、出場が決定した企業に連絡)
10月13日(金)、14日(土):インキュベイトキャンプ16th開催

インキュベイトキャンプ 16th 特設ページURL:
https://m.incubatefund.com/incubatecamp16th

AI SaaSを提供するPKSHA、松尾研究所と共同でベンチャーキャピタルファンドを設立(2023年4月4日発表)

Credit : 同社プレスリリース

株式会社PKSHA Technologyは、傘下の合同会社PKSHA Technology Capitalを通じ、2023年1月27日に「PKSHA アルゴリズム2号ファンド(正式名称「PKSHAアルゴリズム2号投資事業有限責任組合」、以下、アルゴファンド)」を設立したことを発表した。

同ファンドは、AI技術の社会実装及びAI領域のインキュベーションに強みを持つ株式会社松尾研究所傘下の株式会社MK Capitalと共同で、投資・運用を推進、AI領域におけるPKSHAと松尾研究所の知恵と経験を結集することで、投資先企業の成長を後押しするという。

PKSHA Technologyグループは、「未来のソフトウエアを形にする」をミッションに、企業と顧客の未来の関係性を創るべく自社開発した機械学習 / 深層学習領域のアルゴリズムを用いたAIソリューションの開発・AI SaaSを提供。今後、ChatGPT等のベースとなる大規模言語モデル(LLM)を始めとする Generative AI(以下、生成AI)が、更にAIの社会実装を加速するという考えから、AIの社会実装、産業構造の変革と新規事業の創出に取り組むスタートアップへの出資を拡大する。

同ファンドは、PKSHA及び松尾研究所によるこれまでのAIの研究開発及び社会実装の経験に基づき、Generative AI領域の新たな市場機会へのベンチャー投資に加えて、各産業ならではの生成AIの市場機会を発掘する。さらに、これまでのアジア投資も継続し、アジアで勃興する社会変革にも常時接続することで、本邦とアジアの産業界をつなぐ架け橋としての役割も果たしたい考え。元リリースはこちら

資金調達情報

【シード】核融合スタートアップの株式会社Helical Fusion、約8億円の資金調達を実施。(2023年4月5日発表)

Credit : 同社プレスリリース

ヘリカル型核融合炉の開発を目指す株式会社Helical Fusionは、SBIインベストメント株式会社をリード投資家として、シードラウンドにて約8億円の資金調達を実施した。

同社は2021年10月設立、「人類は核融合で進化する」をビジョンに磁場閉じ込め方式で核融合エネルギーの社会実装を目指す。世界ではさまざまな核融合方式が開発されている中、日本では、DNA に似た二重らせん構造の超伝導ヘリカルコイルを用いて高温のプラズマを安定に閉じ込めるヘリカル方式が誕生。同社はそのヘリカル方式にさらなる独自の最先端技術を取り入れた、世界初の定常的に稼働する核融合炉の開発及び2034年の完成を目指している。

CO2を排出しないエネルギー源として、脱炭素社会を安全に持続的に実現するため、今回調達した資金をもとに核融合炉の社会実装に必要な最新鋭の技術開発及び事業開発を加速化したい方針。元リリースはこちら

【シリーズA】メタジェンセラピューティクス、シリーズAのファーストクローズで総額11億円の資金調達を実施(2023年4月5日発表)

Credit : 同社プレスリリース

腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社は、既存投資家である株式会社ファストトラックイニシアティブ、ジャフコグループ株式会社及び株式会社慶應イノベーション・イニシアティブに加え、新たに政府系ファンドであるJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社を引受先として、シリーズAファーストクローズにて総額11億円の資金調達を実施。今回の資金調達により、同社の累計資金調達額は13.3億円になった。

同社は2020年1月に設立、「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションに、腸内細菌研究に基づいた医療と創薬でソーシャルインパクトを生み出す大学発ベンチャー。順天堂大学の医師と慶應義塾大学、東京工業大学の研究者が共同創業し、「腸内細菌叢移植療法(FMT)」の社会実装と、「FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬」を推進している。2023年1月には先進医療として承認された潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」の臨床研究において、共同研究機関を務めるほか、同年2月には国立がん研究センター中央病院との共同研究も開始している。

近年、腸内細菌の研究は大きく進展し、さまざまな疾患との関連が明らかになり、諸外国では、FMTが治療として実施され、マイクロバイオーム創薬研究が活発に行われている。同社は今回の金調達により、腸内細菌叢を必要とする患者と、腸内細菌叢を提供するドナーをつなぐ「腸内細菌叢バンク」を構築することで、FMTの社会実装を支援、推進するとともに、FMTを起点としたリバーストランスレーショナル創薬により、国際競争力のある日本発のマイクロバイオーム医薬品の開発を加速するという。元リリースはこちら

【シリーズC】電動の空飛ぶクルマを開発するSkyDrive社、シリーズC追加調達を実施(2023年4月6日発表)

Credit : 同社プレスリリース

「空飛ぶクルマ」及び「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDriveは、2022年9月に続くシリーズCの追加調達を実施。今回、株式会社三菱UFJ銀行からの第三者割当増資に加え、イノベーション・エンジン株式会社が組成したSkyDriveへの投資を目的としたターゲット・ファンドであるスカイ・イノベーション投資事業有限責任組合から第三者割当増資を通じて、資金調達を実施した。

同社は2018年7月に設立。「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、「空飛ぶクルマ」及び「物流ドローン」を開発している。
「空飛ぶクルマ」の開発は、国内で唯一、有人飛行試験を実現し、官民協議会の構成員として制度設計にも関与、現在2人乗りの機体を開発中。2025年に大阪ベイエリアでのサービス開始を目指している。30kgの荷物を運搬可能な「物流ドローン」は、山間部を中心とした作業現場で活用されている。

今回調達した資金は、2022年9月に実施した資金調達同様に、「100 年に一度のモビリティ革命」実現のため、経営基盤を強化することで、機体開発、事業推進と中長期的な成長を加速していきたい考え。元リリースはこちら