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【1/27-2/2】注目のスタートアップ資金調達

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2023年1月27日から2023年2月2日に発表された資金調達ニュースのうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。

編集部コメント

今週は、将来性のある魅力的なスタートアップが揃った印象。本稿で取り上げる5社はもちろんのこと、次世代の長距離・重量物搭載ドローンに最適な動力システムを開発するエアロディベロップジャパン、窓のディスプレイ化などさまざまな活用が考えられる有機半導体レーザーを開発したKOALA Tech、下肢切断者のQOL向上に貢献可能なロボット義足を開発するBionicMなど、これからの社会のあり方を大きく変える可能性を秘めた技術やサービスを手がける企業が多かった。

また、医療分野の資金調達は、そのほとんどが大学発ベンチャーに。研究成果を活かし、疾病の早期診断・検査に役立てようとする動きが目立った。代替食品、Web3.0、Govtechなど、今注目のテーマに挑むスタートアップの姿も見られ、引き続き動向に注目していきたいところ。

Seed

ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォームを開発するトレードワルツに丸紅が出資。累計調達額が40億円に(2023年1月31日発表)

ブロックチェーンを活用した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®︎」を開発・提供する株式会社トレードワルツは、丸紅株式会社による出資に合意した。今回の調達で、同社の累計資金調達額は40億円となる。

貿易取引の現場では、実務者不足と業務効率化の遅れが大きな課題となっている。取引に際しては輸入者や輸出者、税関などさまざまなプレイヤーの間で、売買契約や信用状、通関申告などの書類のやりとりが行われる。しかし、それらの取引は未だ郵送やFAX、PDF等を使った手続きが多く、電子化の進んでいない現状があった。トレードワルツはそのようなアナログな貿易手続きにブロックチェーン技術を導入。ブロックチェーン基盤の上にプラットフォームを構築し、関係者間の情報共有を効率化しながら、貿易手続きの完全電子化を目指している。過去の実証実験では、44%の業務効率化に成功。2022年には日本とタイ、シンガポールなど5か国での実証実験にも成功しており、その成果をAPEC2022タイ首脳会議付設「貿易DXシンポジウム」で発表している。

現在、三菱商事株式会社や豊田通商株式会社など計14社が共同出資を行う産官学 ALL JAPANスタートアップとして活動している同社。今回、丸紅が出資したことにより、貿易実務のDXとグローバル展開の加速に期待がかかる。元リリースはこちら

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Series A

白血病の再発モニタリング検査システムを提供するLiquid Mineが、プレシリーズAでVC3社より計1億円の資金調達を完了(2023年2月1日発表)

白血病の再発モニタリング検査システム「MyRD®」を提供する株式会社Liquid Mineは、株式会社エースタート、株式会社Gemseki、インキュベイトファンド株式会社の3社より、プレシリーズAラウンドで1億円の資金調達を実施した。

白血病は近年の治療法の発展により寛解状態(骨髄液や血液の中に白血病細胞が見つからない状態)を目指しやすくなっているものの、依然として再発リスクは高く、患者の生存率向上には再発の早期発見が鍵となっている。しかし、そのために行う検査は、患者の心身に大きな負担がかかりやすいという課題があった。

同社の開発する検査システム「MyRD®」は、最先端の遺伝子解析技術を応用。白血病の原因となる遺伝子変異を患者ごとに個別に究明し、その原因に合わせた検査薬を作成することで、血液検査のみで再発モニタリングが可能な仕組みを構築した。患者の身体的な負担を抑られることで、再発の早期発見につながることが期待されている。今回の資金調達により、同社は「MyRD®」のさらなる研究開発と有効性の検証を推進し、白血病治療の発展に向けて事業拡大を進めていく考えだ。元リリースはこちら

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東南アジア産直ECを運営するSECAI MARCHE、シリーズAでVC3社より総額2.1億円の資金調達を実施(2023年1月31日発表)

Credit : 同社プレスリリース

東南アジアで生鮮食品を中心としたBtoBの産直ECを運営する株式会社SECAI MARCHE。同社はアグリビジネス投資育成株式会社、 Spiral Ventures Asia Fund I, L.P.、Beyond Next Ventures株式会社の3社より、第三者割当増資で総額2.1億円の資金調達を完了した。

東南アジアのEC市場は拡大を続けており、その規模は2027年に2,800億ドルに達するとの試算もある。しかし、そのような市場の中で、冷蔵物流網の整備が求められる生鮮食品はEC化が遅れていた。SECAI MARCHEは受注~配送までを一気通貫でサポート可能な独自の仕組みを強みとして、東南アジアの生鮮食品ECに切り込む。現在は日本やマレーシアなど各国の食材4,000点以上を扱っている。

今回調達した資金は、日本産の生鮮食品のニーズが東南アジアで増えていること、同社サービスの利用者数が増加していることから、AIを活用した需要予測やトラックルーティングに使用する。また、マーケティング活動を含めた社内体制強化にも充当するという。元リリースはこちら

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「創る人と使う人がダイレクトに繋がることで、情報・モノが平等に流通し、全ての人が主役になれる世界を創造する」をミッション…

Series C

建機レンタル会社向けの業務効率化SaaSを手がけるSORABITO、パーソルベンチャーパートナーズに対する第三者割当増資を実施(2023年2月1日発表)

Credit : 同社プレスリリース

建機レンタル会社向けの注文SaaS「i-Rental 注文アプリ」や受注管理SaaS「i-Rental 受注管理」、経営分析ツール「i-Rental AI」を提供するSORABITO株式会社は、総合人材サービスを行うパーソルホールディングス株式会社の100%子会社である、パーソルベンチャーパートナーズ合同会社を引受先とした第三者割当増資で資金調達を実施した。

建設業界は現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化し、将来の担い手確保が喫緊の課題となっている。また、2024年4月より時間外労働の上限規制が強化されることから、各社が業務見直しや組織・制度の見直し、人材育成などを急ぎ進めている現状があった。そのような課題に対し、SORABITOは「機労材の調達DX」という事業戦略に基づき、「労」の分野における課題解決に挑戦すべく、パーソルホールディングスの出資を受けることに決定。調達した資金は、SORABITOの人材採用強化に充てる予定だという。今後両社はパートナーとして、SORABITOの行うSaaSサービスとともに、建設会社や建機レンタル会社への人材供給をソリューションとして組み込んでいきたい考えだ。元リリースはこちら

Series D

介護事業所向けリハビリ支援ソフト「リハプラン」を提供するRehab for JAPAN、シリーズDで11.3億円の資金調達を完了(2023年2月1日発表)

Credit : 同社プレスリリース

介護事業所向けにリハビリ支援ソフト「リハプラン」を提供する株式会社Rehab for JAPANは、SMBCベンチャーキャピタル株式会社とJPインベストメント株式会社をリード投資家とし、計8社よりシリーズDで11.3億円の第三者割当増資を実施した。今回の資金調達で、同社の累計調達額は約21億円となる。

世界の中でも急速に高齢化の進む日本。内閣府の『令和4年版高齢社会白書』によれば、2021年の高齢化率は28.9%となり、15年後の2036年にはその数値が33.3%に達すると予測されている。そのような中で、国はこれまでの「ケア中心」の介護から「自立支援」中心の介護へと方針転換を推し進めている。2021年には介護報酬改定の中で、科学的介護に対する新たな加算も設けられた。

Rehab for JAPANはエビデンスに基づいた科学介護の実現を目指し、利用者情報を一括管理しながら、リハビリ目標やプログラムの自動提案、業務管理を可能とするシステム「リハプラン」を介護事業所に提供。2023年1月現在、導入事業所数は累計1,400社を超えており、約15万人分の高齢者の生活情報をもとにしたケアデータプラットフォームも構築している。同社は今回の調達で得られた資金をもとに、組織基盤の強化と新規事業の立ち上げを実現し、高齢者中心の介護ヘルスケアプラットフォームづくりを推進していくという。元リリースはこちら