2023年6月23日から2023年6月29日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
ChatGPTを活用したサービスの提供を開始する企業が続々と出始めていている中、今週は言語AIプラットフォーム「KUZEN」を提供するコンシェルジュが資金調達を実施しました。他、製造業界に特化したAI見積支援システムを提供する東大発スタートアップ企業の匠技研工業がプレシリーズAで2.1億円を調達。競合が多い市場だが、今後の事業拡大に期待したい。今週はそのほかに、EV充電インフラのTerra Motors(テラモーターズ)や、JP Startups(ジャパスタ)でもインタビューを行ったシェルパ・アンド・カンパニーも調達を発表。創業者インタビューもぜひ参照されたい。
エコシステム側のニュースとしてはサムライインキュベートの7号ファンド組成とアクセラレーションプログラムの募集開始を紹介する。「NCVアクセラレータープログラム」のコマース領域にマーケットを絞ったプログラムにも期待が高まる。
スタートアップニュース
コマースの未来を創るアクアセラレータープログラム、第2期募集開始(2023年6月27日発表)
小売・流通のDXを支援するNew Commerce Ventures株式会社(以下、NCV)は、コマース領域の起業志望・起業初期の方を対象に、創業から事業成長を支援するアクセラレータープログラム第2期の募集開始を発表した。
NCVアクセラレータープログラムはコマース領域のプロフェッショナルを通じた専門知識とネットワークの提供により、アイデア段階からプロダクトリリース、事業成長までを支援する。第1期プログラムでは、95社の応募に対してプロダクトリリース前の5社を採択し、事業アイデアのブラッシュアップからプロダクトリリース、トラクションの創出までを支援。第2期プログラムでは、採択企業全体での進捗共有とNCVのキャピタリストによる個別メンタリングや、コマース領域の先輩経営者・プロフェッショナルから構成されるゲストメンターとの個別メンタリングが行われるほか、プログラムの締めくくりにはVC・CVCを招いたデモデイを開催し、次回資金調達を支援するという。応募締め切りは2023年9月3日(日)、募集概要はNCVアクセラレータープログラムの公式HPより確認できる。元リリースはこちら。
シード・アーリーVCのサムライインキュベートが7号ファンドを組成(2023年6月28日発表)
創業期からシリーズAのスタートアップを中心に出資・成長支援を行う株式会社サムライインキュベートは、Samurai Incubate Fund 7号投資事業有限責任組合(以下、7号ファンド)を組成したことを発表した。
サムライインキュベートは創業より掲げる「できるできないでなく、やるかやらないかで世界を変える」をミッションに、スタートアップ・VCの黎明期から継続してファンドを運営し投資をすることで、エコシステムの一端を担ってきた。イスラエルやアフリカにも活動の場を広げていて、2023年6月28日時点で、累計10カ国・240社以上のスタートアップへ投資している。
7号ファンドでは、日本における伝統的な産業のトランスフォーメーションに挑む起業家や新しい産業の創出を目指す起業家、また国内から海外マーケットへの展開も見据えている起業家を中心に、積極的に支援していくという。2023年秋頃のファイナル・クロージングを目処に、ファンド総額50億円を目標に拡大予定とのこと。元リリースはこちら。
「アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)2024」の募集開始!(2023年6月28日発表)
SMBCグループとみらいワークスが共同運営する「アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)2024」のエントリーが2023年6月28日(水)よりスタートした。
未来X(mirai cross)は、SMBCグループが主催するアイデアや技術の事業化を目指す方やシード・アーリー期の企業向けのインキュベーション・アクセラレーションプログラム。今年度は、今までの取り組みをリニューアルし、対象企業のステージも拡大するほか、基本的な形式チェックを通過した全ての企業に対して、リーダーシップ・資金調達・チームビルディング・ブランディング等のさまざまな研修を受講できる機会を広く提供するという。また、審査を通過した企業には、SMBCグループのリソースを活用した、協業のサポート・ピッチの機会が提供される。応募詳細は未来X(mirai cross)の公式HPより確認できる。元リリースはこちら。
資金調達情報
【ラウンド不明】ESG情報開示支援クラウド「SmartESG」のシェルパ・アンド・カンパニー、エクステンションラウンドで1.5億円を調達(2023年6月28日発表)
企業のESG情報開示の業務負荷を軽減する「SmartESG」を開発・提供しているシェルパ・アンド・カンパニー株式会社は、グローバル・ブレインとWiLを共同リード投資家としてエクステンション・ラウンドで1.5億円を調達したことを発表した。今回の調達により創業からの投融資を含む累計調達額は5億円を超えた。
シェルパ・アンド・カンパニーは、「サステナビリティとテクノロジーをすべての経済活動の”あたりまえ”に。」をパーパスに、2022年5月にESG情報開示支援クラウド「SmartESG」β版の提供を開始、日本におけるESG情報開示支援クラウドのシェアNo.1を目指している。「SmartESG」は社内のESGデータを一元化することで、サステナビリティ活動の分析と改善を可能にし、企業のESG情報開示の業務負荷を軽減するクラウドサービスで、横浜ゴム株式会社、九州電力株式会社、三菱倉庫株式会社、大日本印刷株式会社といった東証プライム上場企業をはじめとする各企業に導入されている。
同社は2023年3月期決算からの有価証券報告書等でのサステナビリティ情報の開示義務化により、SmartESGへのニーズが東証プライム上場企業を中心に一層高まっていることを受け、更なるプロダクトの多角化とESG市場におけるプレゼンス向上を目的に、特に営業職、カスタマーサクセス職、開発職の採用活動に大きく投資していくという。また、ESG領域においてもAI技術の活用可能性が高まっていることから、今回の資金を活用し、AI、NLPをベースとしたより高度な技術開発を行い、「SmartESG」を飛躍的に進化させていきたい考え。元リリースはこちら。
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【プレシリーズA】製造業向けAI見積支援システム「匠フォース」の匠技研工業、総額2.1億円の資金調達を実施(2023年6月28日発表)
東大発ベンチャーの匠技研工業株式会社は、既存投資家であるジェネシア・ベンチャーズ、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)に加え、新たにアニマルスピリッツ、個人投資家を引受先として、第三者割当増資と融資により、総額2.1億円となるプレシリーズAラウンドの資金調達を実施した。
匠技研工業は、製造業界に特化したSaaS(ITソリューション)を提供する東大発スタートアップ企業で、「フェアで持続可能な、誇れるモノづくりを。」をミッションに掲げ、2020年2月に創業。同社が日本の中小製造業の現場を100社以上訪問する中で浮かび上がってきた見積業務の根深い課題に着目し、2022年9月に製造業界に特化したAI見積支援システム「匠フォース」をリリースした。「匠フォース」は、誰でも迅速に適切な値決めが可能で、製造業界の「脱・属人化」「脱・どんぶり勘定」を実現し、付加価値を適切に価格転嫁できるようにすることで、持続可能な経営を支援する。
今回調達した資金は、人材採用・プロダクト開発・拡販施策に活用するという。また、事業のスケールに伴い、採用活動を強化するとともに、製造業界特化のAI・ソフトウェア開発領域へ、更なる投資を加速させていく考え。元リリースはこちら。
【シリーズA】言語AIプラットフォーム「KUZEN」のコンシェルジュ、 累計約12.5億円の資金調達を実施(2023年6月28日発表)
言語AIプラットフォーム「KUZEN(クウゼン)」を提供する株式会社コンシェルジュは、 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズをリードインベスターとして、INNOVATION HAYATE V Capital投資事業有限責任組合、株式会社NCBベンチャーキャピタル、株式会社ベクトルからシリーズA2ラウンドとして、第三者割当増資及び金融機関からのデットファイナンスを行い、これまでの累計調達額が約12.5億円になったことを発表した。
コンシェルジュは創業以来、「テクノロジーで、対話の可能性を広げる仕組みを創る」をミッションに、言語AIプラットフォーム「KUZEN」を提供している。同社は、業界に先駆けてOpenAI社の提供する自然言語処理AIの「ChatGPT」と連携した新機能を導入、2023年3月から先行トライアルを開始している。従来のチャットボットでは、事前に質問回答データを準備して対話システムに登録しておく必要や回答データがない質問については新たに回答データを作成し登録する作業を要するなど、チャットボットの構築・メンテナンスに一定の工数を割く必要があった。「KUZEN」の新機能では、ウェブサイトのURLを「KUZEN」に登録するだけで、サイト上のコンテンツを理解した回答を自動的に行うチャットボットを構築でき、よりスピーディに高性能なチャットボットの立上げが実現可能になる。
今回調達した資金は、新規プロダクトの開発およびエンジニア等の採用と組織体制の強化に充てる予定とのことで、特に、業界に先駆けて取り組みを開始しているChatGPT関連事業等への投資を行っていく方針。元リリースはこちら。
【シリーズC】EV充電インフラ「Terra Charge」のTerra Motors、総額40億円の資金調達を実施(2023年6月26日発表)
EV充電インフラ「Terra Charge」を提供するTerra Motors株式会社(以下、テラモーターズ)は、大阪ガス株式会社、東京センチュリー株式会社、住友三井オートサービス株式会社、ペガサス・テック・ベンチャーズを引受先として、シリーズCラウンドで総額40億円の資金調達を実施した。
テラモーターズは、「“日本発、世界一“を自らの手で。」をミッションに掲げ、世界的に後れを取る日本のEV化課題を解決すべく、2022年4月にEV充電インフラ「Terra Charge」事業をスタート。EV充電設備が少ない状況でEVの購入を検討しづらいという課題に対して、業界で初めて初期費用無料・ランニングコスト無料で充電インフラの提供を開始、まずインフラを増やしEVをもっと身近に感じられる環境構築に取り組んいる。「Terra Charge」はEVの充電設備、充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリ、管理クラウド、充電設備の設置工事、ハードおよびソフトの管理運営などワンストップで提供し、独自開発の3kWスマートコンセントだけでなく、6kW普通充電器、50kW超の急速充電器など幅広い施設形態や利用方法にマッチするハードをラインナップしている。
今回調達した資金により、1年以内に日本国内で圧倒的なシェアの獲得を目指すほか、今回の資金調達を契機に、グローバルな事業成長を加速させるとともに組織体制の強化にも投資をしていくという。元リリースはこちら。
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