2023年4月28日から2023年5月11日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週は調達ニュースが豊作で、編集部でもチョイスに迷った。結果として、高専・IPA未踏出身者らによる食品包装ロボットを手がけるCloser。転倒骨折予防マット「ころやわ®」研究開発のMagic Shields。材料開発効率化SaaS等のMI-6。技術開発に強みのある3社の調達ニュースをピックアップ。GW明けにリリースを固めたのか、DEEPCOREによる出資ニュースが多く見られた。
すでに取材済のPETOKOTO、VARKも追加調達を発表。取材記事もぜひ参照されたい。
市況は依然厳しい中ではあるが、新ファンド設立の嬉しいニュースも。インキュベイトファンドとSMBCによるアジア投資ファンドと、ジェネシアの3号ファンドだ。資金の出し手が拡充することで、キャッシュが維持できるスタートアップが増えることを願う。
スタートアップニュース
独立系VCのインキュベイトファンド、三井住友銀行と共同で「SMBC Asia Rising Fund」を設立(2023年5月9日発表)
独立系ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンド は、株式会社三井住友銀行(以下、SMBC)と共同でシンガポールにSMBCのコーポレートベンチャーキャピタル「SMBC Asia Rising Fund」(以下、SMBC ARF )を設立したことを発表した。
SMBCグループはアジアでの事業拡大を図る中、インドや東南アジアでの投資実績が豊富なインキュベイトファンドと共同でSMBC ARFをシンガポールに設立。投資先企業との協業を通じた新技術の発掘・活用や、新たなビジネスモデル・プロダクトの開発を支援し、SMBCグループのビジネスの高度化を図り、新たなソリューションを提供することを目指す。また、「SMBC Asia Rising Fund」というファンド名には、「Rising」という言葉に、アジアと共に発展する、という想いが込められ、アジアのスタートアップと共に新たなビジネスを創出し、アジア経済の発展に貢献するという。元リリースはこちら。
ジェネシア・ベンチャーズ、プレシード/シード期のスタートアップ対象「Genesia Venture Fund 3号投資事業有限責任組合(3号ファンド)」を総額150億円で組成完了(2023年5月10日発表)
日本および東南アジアにおいて、シード期のスタートアップに投資と経営支援を行う、株式会社ジェネシア・ベンチャーズは、プレシード/シード期のスタートアップを対象とした「Genesia Venture Fund 3号投資事業有限責任組合」(以下、3号ファンド) を総額150億円で組成完了したことを発表した。
同社は2017年12月に総額40億円で組成した1号ファンドから47社、2020年10月に総額80億円で組成した2号ファンドから59社に投資している。3号ファンドも引き続き、日本と東南アジアのプレシード/シード期のスタートアップへの投資と経営支援に特化するとともに、一社あたりの投資金額増(追加投資を含む)、またフロンティアテック領域への投資、および投資エリアの拡大(インド投資の開始)とアクションを拡げ、大きな産業を生み出すことに挑戦するスタートアップに十分なリスクマネーを投資できる体制を構築していく方針。元リリースはこちら。
再出発・再起業を目指す起業家向けイベント「東京都リスタート・アントレプレナー支援事業(TOKYO Re:STARTER)」、キックオフイベントを2023年6月13日(火)に開催(2023年5月10日発表)
東京都は、課題や困難に直面しても何度でも挑戦するタフな起業家を支援する 「東京都リスタート・アントレプレナー支援事業(TOKYO Re:STARTER)」を実施している。株式会社ボーンレックスは、同事業を受託、運営を行う。同社は今回、2023年度のアクセラレーションプログラム実施に先立ち、キックオフイベント「挑戦するほど強くなれる!~成功へ導く再出発・再起業の秘訣~」を2023年6月13日(火)に開催することを発表した。
同事業は、課題や困難に向き合い、再出発のための新規事業立ち上げや再起業(以下、リスタート)を目指す起業家を後押し、事業化に向けた多様な支援が実施される。キックオフイベントでは、ジーフィット株式会社代表取締役の阪根 信一氏の体験談や過去採択者のリアルな声が聞けるほか、資金調達に関するパネルディスカッションが行われる模様。元リリースはこちら。
開催概要
日時:2023年6月13日(火)17:00〜20:00
開催形式:オフライン / オンライン ハイブリッド開催
開催場所:株式会社ボーンレックス本社(東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル4階)
参加方法:公式Webサイトから申し込み
資金調達情報
【シード】筑波大発AIロボット開発のCloser、1億円の資金調達を実施(2023年5月10日発表)
筑波大学発AI ロボティクスベンチャーの株式会社Closerは、シードラウンドでDEEPCORE、epiST Ventures、個人投資家数名を引受先として、シードラウンドで1億円の資金調達を実施した。
同社は2021年11月に設立、「ロボットを当たり前な選択肢へ。」をビジョンとし、自動化の進みにくい食品、化粧品、医薬品(三品産業)の包装・箱詰め領域を中心に自動化を実現する「つかんで置く」タスクの自動化をメインとしたAIロボット「PickPacker」を開発・提供している。直近では、本導入を目指したカップ味噌汁製造工程の開発を進めているほか、大手食品メーカー工場への導入も予定しているという。今回調達した資金は、エンジニアを中心とした人材採用を強化し、AIロボットパッケージの導入拡大を進めていく方針。元リリースはこちら。
【シリーズA】世界中の転倒骨折ゼロを目指す「ころやわ®」のMagic Shieldsが、2.3億円の資金調達を実施(2023年5月10日発表)
歩行時は硬く、転倒時に衝撃を吸収する床とマット「ころやわ®」を開発する株式会社Magic Shieldsは、Deep tech(ディープテック)に造詣が深いCarbide Venturesをリード投資家として、株式会社ディープコアを引受先とする第三者割当増資により、2.3億円の調達を実施。累計調達額は約4.1億円となった。
同社は2019年11月に設立、高齢者の転倒による骨折の増加を背景にメカニカル・メタマテリアルの研究開発、および製造・販売を行う。転んだ時に柔らかい可変剛性構造体を使って開発された床材「ころやわ®」の導入先は2023年3月時点で560施設を超えた。同社は今回調達した資金をもとに、可変剛性構造体の薄型化および軽量化を図り、建材としても扱いやすい新製品を開発するという。さらにセンササービスの開発・実証実験を通じて、これまで取得が困難とされていた医療機関・福祉施設で発生する転倒骨折のデータを大規模に収集し、転倒しやすい場所の可視化や環境改善を通じて国内及び海外の医療機関・福祉施設で転倒骨折を減らす取り組みを行いたい考え。元リリースはこちら。
【シリーズA】マテリアルズ・インフォマティクスで材料開発の革新を支援するMI-6、総額6.5億円の資金調達。(2023年5月10日発表)
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)によって材料開発の革新を支援するMI-6株式会社は、JAFCO、DEEPCORE、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルを引受先としたシリーズAラウンドの資金調達を実施した。融資等と合わせて6.5億円、これまでの累計調達額は14億円となった。併せて、取引先社数が100社を超えたことを発表した。
同社は2017年11月に設立。「材料開発とデータサイエンスのHubとなり、研究者のポテンシャルを解き放つ」をミッションに、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)をコア技術として、材料開発を効率化するSaaS「miHub」、お客様のMI活用を支援するプロフェッショナルサービス「Hands-on MI」、MIとロボティクスによって実験の自動自律化を実現する「MIロボティクス」の三つの事業を推進している。今回調達した資金はMIの更なる技術開発への投資、プロダクト開発、ロボティクス領域への積極的な研究開発投資に充てるという。元リリースはこちら。
【シリーズB】ペットウェルネスカンパニー「PETOKOTO」、シリーズBファーストクローズで新たにT&DホールディングスとSpiral Capital子会社の二人組合ファンドから資金調達(2023年5月10日発表)
ペットが幸せな一生を送るためのサービスや情報を提供する、ペットウェルネスカンパニー株式会社PETOKOTO は、シリーズBファーストクローズとして、JR 東日本スタートアップ株式会社に加え、Spiral Innovation Partners LLP(T&Dイノベーション投資事業有限責任組合)をリード引受先として資金調達を実施したことを発表した。今回のラウンドにより、これまでの累計調達額は15億円となる。また、今後セカンドクローズでの追加調達を予定している。
同社は2015年3月に設立、「ペットを家族として愛せる世界へ」をミッションに掲げ、ペットが家族の総称の一つとして捉え直されることを目指し、保護犬猫と新しい家族をむすぶ審査制のマッチングサイト「OMUSUBI(お結び)」、ペットの一生によりそう情報メディア「PETOKOTO MEDIA」、家族クオリティのフレッシュペットフード「PETOKOTO FOODS」の三つの事業を展開している。今回調達した資金をもとに、今回新規で参画した引受先との事業連携を強化し、社会課題の解決と持続可能な社会の実現を目指していく方針。元リリースはこちら。
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【シリーズC】総合エンターテインメントプラットフォーム事業の株式会社VARKがシリーズCファーストクローズとして約10億円の資金を調達。(2023年5月11日発表)
バーチャルライブプラットフォーム、メタバーステンプレート、3Dアバター向け動画作成支援ツールを提供する株式会社VARKは、既存投資家であるジャフコ グループ株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社、ANRIに加え、新たにSBIインベストメント株式会社、NetEase Gamesを引受先とした第三者割当増資などによりシリーズCラウンドファーストクローズとして約10億円の資金調達を実施したことを発表した。
同社は2017年8月に設立、バーチャルライブプラットフォーム、メタバーステンプレートを組み合わせた「VARK」、3Dアバター向け動画作成支援ツール「VARK SHORTS」などの事業を展開。今回調達した資金は、プロダクト開発体制や既存プロダクトの強化、新規事業開発に充てるという。また、経営体制の強化のため、執行役員の杉本 豊氏がCOOへ就任したことを発表。「バーチャル×〇〇でNo.1サービスを創り出す」というビジョン達成へ向けて、邁進していきたい考えだ。元リリースはこちら。
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