2023年3月18日から2023年3月24日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
資金調達ニュースの全体本数がやや控えめだった週。一方、取材先でもあるゼロボードからは、昨今の市況を鑑みると大型となるシリーズA・25億円調達のニュースが。3月28日開催のウェビナーでもサステナビリティを採り上げているが、2023年でもやはりこの領域がアツい。
他には、投資側メンバーの顔触れから期待が感じられる創薬スタートアップのキュライオ、縦スクロール漫画(Webtoon)制作スタジオのソラジマをピックアップ。
エコシステム関連のニュースでは、ベースフードも輩出したオイシックスの2号ファンド設立を採り上げた。フードスタートアップを目指す方は相談に行かれてみては。
ウェビナーのお知らせ
JP Startupsでは、注目キーワードを旬なスタートアップと解説するウェビナーも実施しています。初回は3月28日実施の「サステナブル・ビジネスに挑戦する若手世代と考える日常と消費行動」。視聴は無料です。ぜひご覧ください。
スタートアップニュース
オイシックス・ラ・大地が運営する日本発のフード領域特化型CVC 「 Future Food Fund 」2号ファンドを組成(2023年3月23日発表)
食品のサブスクリプションサービスを提供するオイシックス・ラ・大地株式会社が運営する投資子会社Future Food Fund株式会社がフードイノベーション領域に特化したCVCファンド「Future Food Fund 2号投資事業有限責任組合」(以下、FFF2号ファンド)の組成を発表した。
Future Food Fund株式会社は、有機・特別栽培野菜や無添加加工食品等の食材を販売するECサイト「Oisix(おいしっくす)」などを運営するオイシックス・ラ・大地株式会社が設立した日本発のフード領域特化型のCVC。2019年に組成した「Future Food Fund1号投資事業」は、14社の事業会社から20億円の資金を調達し、計19社のスタートアップ(海外5社含む)に投資を行っている。出資先のベースフード株式会社は投資から約3年、2022年11月に東証グロース市場へ上場した。
FFF2号ファンドは2023年1月に組成、2023年12月のクローズまでに総額70億円規模のファンドを目指している。 2020年に組成完了した1号ファンドより引き続き、国内外の食分野の様々なスタートアップを投資対象としており、投資先に対して、LPのプラットフォームや事業特性を最大限に活用し、継続的に幅広い実行支援を行うことでエコシステムを構築していき、スタートアップの持つ技術やサービスをより早く成長させていくことを目指すという。元リリースはこちら。
資金調達情報
【シリーズA】クライオ電顕構造解析の株式会社キュライオ、2.6億円の資金調達を実施(2023年3月22日発表)
クライオ電子顕微鏡による構造解析をベースとした創薬事業の展開をする株式会社キュライオは、Beyond Next Ventures2号投資事業有限責任組合、T&Dイノベーション投資事業有限責任組合、旭化成ファーマ株式会社、スリーエスキャピタル株式会社、UT創業者の会投資事業有限責任組合、株式会社IKERUNippon Capital Partners、株式会社DOJIN CAPITAL、Ono Venture Investment, Inc.、濡木 理、エンジェル投資家1名(氏名非開示)を引受先として、総額約2.6億円の資金調達を実施。シリーズAラウンドで総額5.7億円となった。
同社は2019年8月に設立、「より安心で健康な人生の実現へ」といった会社理念の下、自社創薬事業や創薬支援事業を展開している。クライオ電子顕微鏡は、これまでのX線結晶解析とは異なり、創薬標的となる蛋白質の完全長タンパク質を用いた構造解析や、それらを標的とする薬のシーズとなるリガンドとの複合体の構造解析を行うことができる。また、単粒子解析により試料の結晶化が不要なため、測定対象となるタンパク質やそのリガンドとの複合体の生体内の条件を反映した構造解析が可能。
今回の資金調達によって、自社創薬事業内の主力パイプラインの加速及び拡大、クライオ電子顕微鏡構造解析技術のさらなる創薬への有効活用のための基盤技術の開発を目的として、それらに向けた研究開発費、設備投資や体制強化を図るという。元リリースはこちら。
【シリーズA】CO2排出量算出クラウドサービスを提供するゼロボード、総額約25億円の資金調達を完了(2023年3月24日発表)
GHG(温室効果ガス)排出量算定・開示・削減を支援するソリューション「zeroboard」を提供する株式会社ゼロボードは、2023年2月15日に発表したシリーズAセカンドクローズの資金調達が完了したこと、ならびに、サードクローズとして三菱商事株式会社と株式会社脱炭素化支援機構を引受先として、追加調達を実施し、シリーズA総額で総額約25億円の資金調達が完了したことを発表した。会社設立から1年6ヶ月での累計調達額は約28億円となった。
同社は2021年8月に設立。「グローバルな脱炭素経営パートナーとなる」をビジョンに、GHG排出量をクラウドで算定・可視化できるサービス「zeroboard」を運営している。同サービスは、国内外のサプライチェーン排出量、製品別・サービス別の排出量(カーボンフットプリント)のほか、削減貢献量や水資源などをクラウドで算定・可視化し、各種レポートの出力にも対応。算定を入り口として、ユーザー企業の課題に合わせたGHG削減ソリューションを提供することで、企業の脱炭素経営を支援。また、「zeroboard」をベースに業界特有の機能を備えたプロダクトとして、建設業界向け「zeroboard construction」、物流業界向け「zeroboard logistics」を開発し、提供を始めている。
今回、新たに株主として迎えた株式会社脱炭素化支援機構は2022年10月に設立された官民ファンドで、同社が設立後初の出資先となる。シリーズAを通して調達した資金は、「zeroboard」の機能開発の加速化や、カスタマーサクセスなど専門人材の採用強化、グローバルなプラットフォームを目指す海外展開に活用するという。元リリースはこちら。
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【シリーズB】オリジナルWebtoon制作スタジオ「SORAJIMA」を運営する株式会社ソラジマ、総額約10億円を調達(2023年3月22日発表)
オリジナルWebtoon制作スタジオ「SORAJIMA」を運営する株式会社ソラジマは、Z Venture Capitalをリード投資家として、ニッセイ・キャピタル、DBJキャピタル 、KDDI Open Innovation Fund 3号、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、住商ベンチャー・パートナーズ、みずほキャピタル、電通ベンチャーズ、博報堂DYベンチャーズ、IZUMO Founder 大湯 俊介氏を引受先として、総額約10億円の資金調達を実施した。
同社は2019年2月に設立、「今世紀を代表するコンテンツを創る」をミッションとして掲げ、グローバルに広がるWebtoon(縦スクロール漫画)の市場において多数のオリジナル作品を制作・配信してきた。現在、Webtoonは世界規模で読者層が広がりを見せる中、2023年度はWebtoonの本場・韓国のトップスタジオに並ぶ年間リリース数を目指している。
今回調達した資金を活用し、クリエイターの創作環境を改善して創作数を増やすとともに、開発・運営するマンガアプリ「cosmic(旧称SORACOMI)」を通したグローバル展開に挑むという。元リリースはこちら。
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