2024年2月23日から2024年3月1日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週の資金調達情報は、次世代原子炉システムのBlossom Energy、2016年のノーベル物理学賞で注目を集めた「トポロジカル物質」の実用化に挑むTopoLogic等をピックアップ。長期の開発が必要になる領域がどう育つか引き続き注視していきたい。そのほか、JP Startups(ジャパスタ)でも取材を行っているSchooが資金調達を発表した。
支援側では、KUSABIのアクセラレーションプログラム3期募集、New Commerce Venturesのピッチイベント登壇企業募集のほか、TOKYO SUTEAM採択案件でもある01Booster Capitalの「SPIN X10」をピックアップ。公的資金の流入により支援策が増加し、日本のスタートアップがどれほど育つか、スタートアップ育成5か年計画と共に市場が見守っているようだ。
スタートアップニュース
東京都協定事業「SPIN X10」、第2期の参加者募集を開始(2024年3月1日発表)
事業を創造し世界を変えるスタートアップに出資する株式会社ゼロワンブースターキャピタルは、事業会社に眠る才能を「スピンオフ・スピンアウト」によって発掘するプログラム「SPIN X10(スピンエックス)」の第2期参加者募集を開始したことを発表した。
「SPIN X10」は、多様な主体によるスタートアップ支援展開事業(主催:東京都 / TOKYO SUTEAM)の事業として、スピンオフ・スピンアウトに取り組む事業会社を10倍にすることを目指したインキュベーションプログラム。2024年1月から開催している第1期では、車部品会社や化粧品会社、医療会社など17社から19名を採択、エクイティ・ファイナンスやビジネスモデル等の講座が提供されるほか、ワーキングコミュニティ「有楽町『SAAI』Wonder Working Community」にてVCやCVCを含めた月次懇親会が開催される。
第2期では最大15名を目処に埋まり次第、募集を締め切る予定という。プログラムの概要は下記の通り。元リリースはこちら。
募集概要
- 開催期間:2024年4月〜6月
- 募集人数:15名程度
- 応募締切:2024年3月27日(水)23:59まで
- 応募方法:WEBサイトの「第2期エントリーはこちら」ボタンよりフォームにアクセス
国内有数の大手企業へ提案できるピッチイベント「New Commerce Pitch Vol.6」、登壇企業の募集を開始(2024年3月1日発表)
小売・流通のDXを支援するNew Commerce Ventures株式会社は、東芝テック株式会社と共催で、小売・流通領域のスタートアップと事業会社をつなぐピッチイベント「New Commerce Pitch Vol.6」を2024年4月24日に開催することを発表し、ピッチ登壇企業の募集を開始した。
「New Commerce Pitch」は小売・流通領域のスタートアップが大手企業に対して営業・協業を提案できる招待制ピッチイベント。応募のあったスタートアップの中から6社を選抜し、ピッチ発表・交流会・アンケートを通じて、相互に興味・関心のあるスタートアップと事業会社をつなぐ。交流会では、ブースコーナーが設けられており、ピッチ登壇企業以外のスタートアップも参加できる仕組みとなっている。Vol.6の締切は3月10日(日)、募集詳細は下記の通り。元リリースはこちら。
募集概要
- 開催日時:2024年4月24日(水)18:00-20:30
- 募集対象:小売・流通領域の課題を解決するスタートアップ
※ステージ・資金調達有無等の制限なし - 募集締切:2024年3月10日(日)
- 応募方法:申込みフォームより必要事項を記入のうえ応募
起業支援プログラム「KUSABI α」3期生 Summer Batch 3月期の募集を開始(2024年2月26日発表)
独立系VCのKUSABIは、創業前やシードフェーズのスタートアップを⽀援するアクセラレーションプログラム「KUSABI α(アルファ)」第3期⽣ 3月期の募集を開始したことを発表した。
「KUSABI α」はシードステージのスタートアップを育成するプログラム。採択企業は、キャピタリストによるメンタリングや、企業の成長スピードに合わせた最大18ヶ月のハンズオン支援、ビジネスディベロップメントや初期マーケティングなどの月1回の実践的セミナーが受けられるほか、プログラム期間中のアクセラオフィスの提供、KUSABI独自のコミュニティへの参加が可能。さらに、採択時には2,000万円の(シリーズ-S)を受けることができる。プログラム詳細は公式サイトまたはKUSABI α 事務局によるNotionのWebページより確認。元リリースはこちら。
資金調達情報
【シード】営業DX SaaS「LOOV」、1.2億円超の資金調達を実施(2024年2月29日発表)
対話型パーソナライズ動画で営業DXを実現する「LOOV(ルーブ)」を展開する株式会社LOOVは、One Capital、HAKOBUNE、個人投資家を引受先とする第三者割当増資により資金調達を実施したことを発表した。
「LOOV」は、各顧客の属性に応じてプレゼン内容が自動的に変化する営業動画を簡単に作成・配信することが可能。「LOOV」を使うと、工数を掛けずに顧客ごとに適切な情報を提供する事ができるほか、視聴データや顧客データを取得して営業活動に活かせる。
同社は今回の資金調達により、事業展開を加速し、AI活用など更なるプロダクトの機能強化を図る方針。また、「LOOV」によって、BtoBにおける買手と売手のコミュニケーションを抜本的に変革することを目指していきたい考え。元リリースはこちら。
【プレシリーズA】高温ガス炉と熱エネルギー貯蔵システムを開発するBlossom Energy、3.5億円を調達(2024年2月28日発表)
次世代原子炉の一つとして注目を集める高温ガス炉システムと熱エネルギー貯蔵システムの社会実装を目指すスタートアップである株式会社Blossom Energyは、インキュベイトファンド株式会社、アニマルスピリッツ1号ファンド、常石商事株式会社、ReGACY Innovation Group株式会社、株式会社グロービスを引受先とする第三者割当増資により、プレシリーズAにおいて総額3.5億円の資金調達を実施した。これにより、同社の累計調達額は約4.5億円となった。
Blossom Energyは2022年1月に創業。「世界中のスチームをグリーン化し、温室効果ガス排出の10%を削減する」ことをミッションに、熱エネルギーの脱炭素化に向けた事業を行う。日本原子力研究開発機構(JAEA)において20年間にわたり、研究炉の運転や保守、研究開発に従事してきた代表取締役の濱本氏が中心となり、より安価でより安全に「熱を生み出す」高温ガス炉の開発事業と、その技術から着想を得た熱エネルギー貯蔵システムの開発事業を推進している。
今回の調達資金は、エンジニアと社会実装に向けての事業開発要員の採用強化に充てるという。元リリースはこちら。
【ラウンド不明】東大発量子科学スタートアップ「TopoLogic」、7億円の資金調達を実施(2024年2月29日発表)
東大発・研究開発型スタートアップで、「トポロジカル物質」の社会実装を目指すTopoLogic株式会社は、SBIインベストメント株式会社、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)、大和企業投資株式会社、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、株式会社アイティーファーム(IT-Farm)、JMTCキャピタル合同会社、Plug and Play Japan株式会社を引受先とした第三者割当増資により、7億円の資金を調達したことを発表した。これにより、同社の累計調達金額は8.3億円となった。
TopoLogicはトポロジカル物質と呼ばれる特異的な物性を示す量子科学に基づく新規材料を社会実装することを目的として設立。東京大学大学院・中辻研究室の協力のもと、デバイスの開発や協業企業様との技術提携に取り組んでいる。トポロジカル物質は、これまでの物質とはまったく異なる電子バンド構造を持ち、従来の代表的な物質である絶縁体・導体(金属)・半導体には見られない現象を起こす。2016 年には、「トポロジカル相転移および物質のトポロジカル相の理論的発見」の業績で、3名の研究者がノーベル物理学賞を受賞している。トポロジカル物質を用いると、これまでの物質では実現できなかったレベルの高度な「エネルギーの可視化」「省エネルギー化」を推進することができ、エネルギー問題への貢献につながるという。
同社は現在、トポロジカル物質を用いた新たなメモリ「TL-RAM™」の開発に着手しており、今回調達した資金は、次フェーズとなる2025年末を目処としたプロトタイプチップの設計・開発・実証に充てるという。元リリースはこちら。
【ラウンド不明】社会人向けオンライン学習サービス「Schoo(スクー)」、資金調達を実施(2024年2月29日発表)
インターネットやテクノロジーを活用した事業を通じて、学びや教育を起点とした社会変革を目指す株式会社Schooは、インパクト / ESG投資を行うGLIN Impact Capitalによる資金調達を実施した。
Schooは「世の中から卒業をなくす」をミッションに、2012年より大人たちがずっと学び続けるオンライン生放送学習コミュニティ「Schoo(スクー)」のサービスを開始し、「未来に向けて、社会人が今学んでおくべきこと」をコンセプトとした生放送授業を毎日無料で提供している。また、法人向けには社員研修と自己啓発学習の両立を実現する「Schoo for Business」を提供し、学び続ける組織づくりに貢献している。2014年からは約35の大学・教育機関のDX化を支援するほか、2021年9月には高等教育機関DXプラットフォーム「Schoo Swing」の提供を開始した。
同社は、時間や場所、経済的なハードルなどあらゆる学びの障壁を取り除き、誰もが学び続けられることで、個人の可能性を切り拓くことができる社会の実現を目指し、今回調達した資金は、Schooのビジョンや事業拡大によるさらなる教育格差の解消と学びの機会の拡充に寄与していくという。元リリースはこちら。
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