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500組以上の起業家が集結!Venture Café Tokyo山川氏に聞く、ROCKET PITCH NIGHT誕生秘話とコロナ後の日本への期待

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Venture Café Tokyoは、CIC Tokyo・森ビルと共催で、日本最大級となる創業・成長期スタートアップ・起業家の祭典「ROCKET PITCH NIGHT AUTUMN 2023」を2023年11月30日(木)に開催する。

会場は、11月24日に新たにオープンする予定の麻布台ヒルズとなる。

Credit : 同社プレスリリース

ROCKET PITCHの概要は以下。申し込みは10月29日(日)23:59までとなっている。

開催概要

  • タイトル:ROCKET PITCH NIGHT AUTUMN 2023
  • 日時:2023年11月30日(木)15:00~21:30(日本時間)
  • 定員:1,000名(現地+オンライン)を想定
  • 開催場所:Hills House(東京都港区麻布台1丁目6-19 麻布台ヒルズ 33F & 34F)& オンライン 
  • 参加方法Peatixよりサインアップ(無料)
  • 共催:Venture Café Tokyo、CIC Tokyo、Mori-building

これまでに総勢550組の起業家と5,700人+のオーディエンスが参加したVenture Café TokyoのフラグシップイベントであるROCKET PITCH。

このイベントはどういった背景で生まれ、運営され、これから何を生み出そうとしているのか。現在Venture Café Tokyoの代表理事を務め、CIC JapanVenture Café Tokyoの共同創立者でもある、山川 恭弘氏にお話を聞いた。

米国バブソン大学で生まれた3分ピッチを元に生まれたROCKET PITCH

ROCKET PITCH NIGHTはどのようにして生まれたのでしょうか。

ROCKET PITCH NIGHTは、バブソン大学のピッチフォーマットをもとにしたイベントを日本向けにアレンジし、日本のアントレプレナーシップを活性化させるべく開始されたVenture Café Tokyo主催のイベントです。

バブソン大学は、アメリカのマサチューセッツ州にあり、2019年で設立100年目を迎えています。同校は、トヨタ自動車の豊田 章男前社長やイオンの岡田 元也会長といった修了生を輩出しており、U.S.News & World Reportの世界ランキングでは、アントレプレナーシップ部門で30年間連続トップを獲得。

私は同校のアントレプレナーシップ准教授をしており、バブソンの看板授業である「Foundations of Management and Entrepreneurship(FME)」や「Entrepreneurship and Opportunities」「Failure is Good」などの科目を担当しています。学生たちに起業家精神を獲得してもらうことを目標としていますが、その手段として講義を通じて起業の経験をしてもらっています。

ROCKET PITCH NIGHTで採用されているピッチフォーマットは、その授業で用いられているのでしょうか。

はい、バブソン大学の授業内で始まった手法になり、もともとは、3スライドを3分間でプレゼンすることを “ROCKET PITCH”としましたが、今では授業だけでなく、Babson Entrepreneurial Thought & Action®(以下、B.E.T.A.)Challengeなど、学内のさまざまなプログラムで採用されています(編集部注:Venture Café Tokyoで開催するROCKET PITCH NIGHTにおけるルールにスライド数は含まれず、3分間という条件のみ)。いわゆる、限られた時間内でするエレベータピッチのようなものですね。

B.E.T.A. Challengeについて教えていただけますか。

B.E.T.A.というのは、Arthur Blank Center for Entrepreneurshipが毎年主催しているアイデアピッチです。学部生、院生、卒業生向けとして三つのトラックを用意してあり、それぞれの受賞者には28,000ドル(450〜500万円換算)とスポンサーからの特典が贈られます。

B.E.T.A.で入賞するピッチは年々レベルが上がっており、それなりのBig Visionを持っていないと優勝するのは難しいことから、ソーシャルインパクトの大きいものが増えてきました。例えば、第4世代の溶融塩炉・使用済み核廃棄物リサイクルのExodys Energyや、AIを用いたEdTechのAristなど。既存事業の延長にあるDXでなく、ビジネスモデル自体を変えに行く内容が多く、B.E.T.A.発で現在注目されているビジネスがたくさんあります。

America’s Firstなマサチューセッツで芽吹き育つアントレプレナーシップ

CIC / Venture Caféも1999年にマサチューセッツ州で創立されていますが、マサチューセッツ州にはアントレプレナーシップが生まれやすい土壌があるのでしょうか。

マサチューセッツやボストンは、アントレプレナーシップが生まれやすく、起業家とリサーチャーの聖地と言われています。イノベーティブな州を選ぶランキングでも常に上位に入っています。もともと “America’s First” をパイオニアしてきた、大学や地下鉄が全米で最初にできた都市で、ニューイングランドの首都と呼ばれています。

実際に、人口比での学士号以上の割合が全米で1位(※1)、STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)学位の保持者も全米で1位(※2)。研究開発という観点では、州GDP中のR&D割合が全米で最多(※3)、100万ドルGDPあたりの米国立衛生研究所(NIH)の研究費も全米最多(※4)となっています。資本の観点でも、一人あたりのVC投資額が全米1位など、定量的にも、研究開発人材が豊富で、それに関連したビジネスが発生しやすくなっていることがわかります。

※1  出典:Census
※2 出典:NCES
※3 出典:NCES
※4 出典:NIH

さらに、そこにバブソン大学が加わったのですね。

歴史的背景に基づく土壌がある中で、この地域のブランディングに一役買っているのがバブソン大学でもあるのでしょう。冬の気温が低く、エンターテイメント施設もさほど多くないため、集中して勉学に励む人が多い傾向があります。ライフサイエンスやバイオを中心とした研究開発が盛んな中、卒業後学生の五人に一人が起業すると言われています。海外からも注目を集めており、MBAの60%強が海外からの留学生になっています。技術シーズでの起業はさらに増やしていきたいと考えており、オーリン工科大学など近隣大学と連携を強めて行っています。

山川さんがアントレプレナーシップを意識したのはいつごろなのでしょうか。

私が社会人になるころはまだ日本にいたのですが、当時、渋谷がビットバレーと呼ばれ、社会的に起業が増えていた時期でした。私自身はいわゆる社内起業をしていたのですが、社外の知人・友人にもイントラプレナー、アントレプレナーが増えていきました。特に独立起業家の熱意や推進力はすごくて、リスペクトを抱いていましたね。

私自身はというと、起業やアントレプレナーシップは、学術的にはどう整理されているのかが気になりまして、セオリーとプラクティスの融合を目指してMBAとPh.D.を取得しました。私はアントレプレナーシップの中でも「失敗」について研究しています。特に社会的な失敗の寛容度の改善に強い関心があり、日本での登壇や講義においても、失敗について聞かれることが少なくありません。

コロナ中に皆が味わった「自らが動かないと何も変わらない」という課題感をバネに挑戦を

2023年のROCKET PITCHに求めるものはどういったものでしょうか。

ROCKET PITCHでは、Venture CaféのスローガンであるLearn、Connect、Shareを体現しているのですが、まさにそういったことをしている、しようとしている人たちが集い、挑戦して、仲間を増やしてほしい。そのために必要なのは、やはり聞いている者の心を動かすことです。

COVID-19は日本でも5類となり、とうとう規制のない生活が戻ってきました。一方、あの期間中に、我々は「自分が動かないと何も変わらない」という閉塞感と課題感を感じたと思います。それを忘れることなくバネにして、引き続き自分や社会を変えることに挑んでもらえたら嬉しい。挑戦するヒトの周りには、必ず応援者、支援者が出てきます。その連鎖を、ケミストリーを、起こしていきたいですね。

日本もスタートアップ元年を迎え、スタートアップ育成5か年計画も提示されましたが、どう思われますか。Venture Café Tokyoとしてやっていきたいことは。

日本は、ヒト、モノ、カネに恵まれた国であり、それに加えて、政府が過去類を見ないほどにアントレプレナーシップ教育やスタートアップ支援に協力的になってきています。我々の場所として虎ノ門を選んだ背景の一つに、永田町や霞ヶ関との距離の近さがありましたが、実際に官僚や政治家が頻繁に足を運んでくれています。

閉鎖的な面が強い日本でしたが、一歩踏み出して、踏み外して、少しはみだしたことをしても応援してもらえるようになってきています。この環境を絶やすことなく、コミュニティを通じてアメーバのように挑戦者の輪が拡大していってほしい。その一環として、ぜひ勇気を出してROCKET PITCHに参加してくれたら嬉しいですね。

Venture Café Tokyoにくる方々を見ていると、世代、年代による側面よりも、変わろうとする自主性、革新性があるかどうかが本質的には大事なのだと感じます。そういった姿勢やマインドの人の割合はまだ少ないかもしれないけれど、確実に日本にもいることがわかりました。だからこそ、Venture Café や CIC Tokyoを知らない人にも我々を知ってもらい、あなたの仲間はここにいて、あなたが挑戦できる場があるということを知らせたい。その意味でも、やはりROCKET PITCHはこれからもどんどんと拡大し、多くの方に知ってもらって、そして参加してほしいと思います。

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

このROCKET PITCHは、我々が、ボストンから東京に持ち込んで成功したローカライズの成功事例。2022年には世界15拠点のVenture Caféを対象とした組織内のアワードでVenture Café Tokyoが選ばれました。その大きな理由がROCKET PITCHの成功だったんですね。それくらい、グローバル目線で見ても人々に影響を与えているプロジェクトなんです。

もともとは40組400名を対象としていましたが、年々参加者が増え、コンスタントに1,000名規模のイベントとなっています。今年は新たにオープンした麻布台ヒルズで開催できることになりました。積極的な応募をお待ちしています。