2023年10月13日から2023年10月18日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週は、物流や医療、SNS、再生エネルギーなど、多様な分野のスタートアップが資金調達の発表を行っていた。その中でも本稿では、多様なAI製品の開発を行うSparticleと大学発触覚センシング技術を開発するFingerVisionをピックアップ。それぞれ調達内容や事業の概要を解説する。
また、スタートアップニュースは3件をお届け。XTech Venturesによるアクセラレーションプログラム「X-Gate」と「JR東日本スタートアッププログラム」で、参加者の募集を開始した。東急不動産は、渋谷駅前の再開発事業に伴い、MITと連携した渋谷最大級のディープテック・スタートアップ支援の展開を発表している。
スタートアップニュース
XTech Ventures主催のアクセラレーションプログラム「X-Gate」が第4期生の募集を開始(2023年10月19日発表)
シード、アーリーステージのスタートアップを中心に投資を行う独立系VCのXTech Venturesが、アクセラレーションプログラム「X-Gate(クロスゲート)」の第4期生の募集を10月18日より開始した。
「X-Gate」は、XTech Venturesが2022年4月にオープンしたシェアオフィス「xBridge – Yaesu」を活用したオフィス入居型のプログラム。2023年11月から2024年3月末の間にシェアオフィスを拠点としながら、担当のキャピタリストによる伴走支援やイベント等でのネットワークづくり、エクイティ・デットでの資金調達支援などを受けることができる。今期は3つのコースが用意され、応募に際して希望するコースを選ぶことが可能。
応募条件など、詳細は下記のとおり。元リリースはこちら。
「X-Gate」の募集コース
- 創業支援コース:事業案の探索から検証までを担当キャピタリストとGPが支援し、5カ月間で創業・法人設立までを伴走するプログラム。XTech Venturesによる資金調達の検討も実施する。明確なアイディアがなくとも、個人の熱意や意志を見て採択の可能性あり。
- 事業伴走コース:起業家向けに事業プランのブラッシュアップやプロダクト開発、事業検証、初期成長に必要な支援を実施するプログラム。初回の資金調達達成に向けて伴走支援を行う。
※ほか、1コースは現在準備中
募集要項
- 対象者:
<創業支援コース> 会社設立前、登記前の方。事業案は固まっていないが、強い起業意欲と成功意欲がある起業家
<事業伴走コース> 会社設立済、設立予定の方。半年以内(2024年2〜3月頃)に、VCから資金調達を目指している起業家 - 選考プロセス:1次審査(書類)、2次審査(面接)
- 応募フォーム:
創業支援コース 申込フォームはこちら
事業伴走コース 申込フォームはこちら - 応募条件:
1社あたり4名まで。シェアオフィス「xBridge-Yaesu」への入居は必須。既存の出資者がいる場合、その承諾を得ていること。事業内容が公序良俗に反していないこと。参加者および関係者等が反社会的勢力でないこと。 - 募集期間:2023年10月18日(木)~11月5日(日)23:59まで(定員に達し次第終了)
- 選考期間:2023年10月18日(木)から順次
- 入居次期:2023年11月〜2024年3月31日
※準備中コースの詳細は近日公開予定
「JR東日本スタートアッププログラム」で、2023年秋季の参加者募集を開始(2023年10月17日発表)
東日本旅客鉄道株式会社とJR東日本スタートアップ株式会社が主催する「JR東日本スタートアッププログラム2023」において、秋季の参加者募集がスタートした。
2017年度より開催している「JR東日本スタートアッププログラム」は、JR東日本が自社の保有するアセットを活用し、ベンチャー・スタートアップとのオープンイノベーション創出を目指すプログラム。プログラムの内容は、内閣府主催の2018年度 第1回日本オープンイノベーション大賞で経済産業大臣賞を受賞し、2020年度 第3回同賞においては環境大臣賞を受賞している。これまでに計111社の提案を採択し、実証実験の結果、実用化に至った取り組みもあるという。
今回募集する事業テーマは、下記の3種類。
- 地域共創:観光資源の活用やMaaSなどによる新しい旅や働き方、地域産業との連携による新たなビジネス創出など、沿線生活における駅などの資産の新たな価値創造
- デジタル共創:AIやロボティクス、ドローンなどによる生産性向上、Suicaをはじめとしたデータ資産の活用など、リアル×デジタルのくらしづくり
- 地球共創(SDGs):カーボンニュートラル、エネルギー、サーキュラーエコノミーなど、持続可能社会実現への挑戦
発表会審査において優れた提案を行った企業には、50~100万円の賞金も用意されている。また、採択された企業は、アクセラレーション期間中、JR東日本グループが所有する情報やITツール、プロモーション設備、商流・物流網などを利用できる。メンターによる実証実験や協業プラン実現のサポートも受けることが可能。
応募条件など、詳細は下記の通り。元リリースはこちら。
募集要項
- 対象:既に自社の製品・サービスまたはプロトタイプを有する企業、年度内に実証実験が可能な概ね起業10年以内の企業
- 応募条件:提案内容が新規性を備えていること。JR東日本グループのリソース・アセットを活用すること。応募者とJR東日本グループにとって新たな事業展開に繋がる取組みであること。
- スケジュール(変更の可能性あり):
応募締め切り 2023年12月1日(金)
書類審査結果 2023年12月下旬に通知予定
プレゼン審査 2024年1月中旬
アクセラレーション期間 2024年2月中旬~
Demo Day 2024年5月を予定
実証実験 2024年6月~ - 公式サイト:https://jrestartup.co.jp/
東急不動産、MITとの連携で渋谷最大級のディープテック・スタートアップ支援の展開を発表(2023年10月13日発表)
東急不動産株式会社は、ディープテック領域のスタートアップ育成・支援を目的とする渋谷エリア最大級のイノベーション創出の場「(仮称)Shibuya Deep-tech Accelerator」を、2023年11月竣工予定の「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」内に開設すると発表した。
同施設では、マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)の教授2名と連携し、MITの知見をもとに開発したアクセラレータープログラムを提供する予定。東急不動産は、2023年6月に日本の不動産デベロッパーとしては初めて、MITとの産学連携プログラムに参画。以降、MITとの連携を深めてきたことで、今回の「広域渋谷圏(東急グループの渋谷まちづくり戦略において定めた、渋谷駅から半径 2.5km のエリアのこと)」におけるスタートアップ支援の取り組みが実現することになったという。
施設の概要は、以下の通り。元リリースはこちら。
- 名称:(仮称)Shibuya Deep-tech Accelerator
- 場所:渋谷サクラステージ セントラルビル(所在:東京都渋谷区桜丘町1)
- 開設時期:2024年11月(予定)
- 床面積:約200坪
- 施設で提供する主な支援内容:
① MIT教授 Jeffrey Grossman氏と新設する審査基準をクリアしたディープテック領域のスタートアップ企業に対し、同教授と共に新規開発したアクセラレータープログラムを提供
② MIT教授 John Carrier氏と連携した実践型プログラムを提供
③ パートナー企業とのグローバルで高度な産学連携
④ 将来的なファンド設立($100M)による継続的な資金調達機会の提供
資金調達情報
【プレシリーズA】AI製品の開発・提供を行うSparticle、約5億円の資金調達を完了(2023年10月16日発表)
情報要約ツール「Glarity」、リアルタイム通訳アプリ「Felo瞬訳」、ナレッジデータベースによるAIチャットポッド「GPTBase」など、多様なAI製品の開発・提供を行うSparticle株式会社は、プレシリーズAで約5億円の資金調達を完了したことを発表した。今回はシリコンバレーのVC・Wisemont Capitalをリード投資家に、計4社からの調達を行ったという。
Sparticleは、2023年にAWS LLM開発支援プログラムに採択され、AIの日本語理解能力の向上に取り組むことで、企業向けに高い安全性・信頼性を備えた生成系AI製品を開発している。
同社は今回調達した資金をもとにAI製品の研究開発に投資し、LLMエンジニアの採用や営業力強化に力を入れる考え。元リリースはこちら。
【シリーズA】大学発触覚センシング技術を開発するFingerVisionが4.1億円の資金調達を実施(2023年10月18日発表)
米・カーネギーメロン大学と東北大学発の触覚センシング技術の実用化を目指す株式会社FingerVisionが、シリーズAで第三者割当増資による資金調達を実施した。今回調達した金額は総額4.1億円。引受先は、既存投資家の慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)に加え、東北大学ベンチャーパートナーズ、ケイエスピー、Monozukuri Ventures。
FingerVisionのコア技術は、画像やカメラによる映像をもとに触覚を再現するというもの。この技術をロボットハンド等の指先に搭載することで、映像を見ながら力加減などの触覚を知覚できるようになり、人の手の感覚を使った繊細なロボットアームの制御などが可能になる。
同社はこれまで、食品加工業界に焦点を絞り、事業開発や研究開発を進めてきた。その結果、総菜や弁当の盛り付け工程に役立つ触覚センサ付きロボットシステムを開発。実際の生産ラインでの導入と稼働を実現させ、これまでに国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による研究開発型スタートアップ支援事業、東京都中小企業振興公社のTOKYO戦略的イノベーション促進事業、2023年J-Startupへの採択実績がある。また、2023年6月にはFOOMA(国際食品工業展)にて「食材盛付完全自動化ライン(高稼働率)」を提案、2023年9月には経済産業省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に日本総菜協会とともに参画するなど、事業拡大の基盤構築を着実に前進させている。
同社は今回の資金調達をきっかけに、大学発シーズを起点とした研究開発フェーズから、製品化・普及に向かう「社会実装フェーズ」に移ると宣言した。今後は食品加工業界におけるロボットシステムの実装・普及に力を入れ、さらには開発してきた技術・製品の他業界への展開も目指していくという。元リリースはこちら。
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