2023年10月6日から2023年10月12日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうちJP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
JPStartups(ジャパスタ)の調達ニュースでは原則クローズした案件をピックしているが、ラウンドの中間調達リリースは続々出ており、各社ファイナルクローズが待たれる。今週のピックアップは宇宙分野でたびたび話題になる「気球」アプローチの岩谷技研。札幌で成層圏観光なるか。当メディアで取材済みのACROVEについても記載。
ファンドについては2件ピックアップ。ゼロボードを中心にサステナ系の強化を行うICJと、Deep Tech(ディープテック)育成のBNV。BNVはファンドサイズ最大200~250億円着地を見込みつつ、原則リードとし、エコシステムの牽引を担う姿勢をはっきりと打ち出している。
スタートアップニュース
独立系VCのインクルージョン・ジャパン、「ICJ2号ファンド」を66億円でファイナルクローズ (2023年10月13日発表)
独立系ベンチャーキャピタル(VC)のインクルージョン・ジャパン株式会社は、脱炭素を中心としたESG領域で急速に成長するスタートアップを主な投資先とする「ICJ2号ファンド投資事業有限責任組合」(以下、 ICJ2号ファンド)を、株式会社三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ銀行)、三菱UFJ信託銀行株式会社、東京ガス株式会社、関西電力株式会社、株式会社ブレインパッド、福岡地所株式会社、DBJキャピタル、ニッセイ・キャピタルなどの法人および個人投資家より出資を受け、総額66億円で組成完了したことを発表した。
ICJ2号ファンドは、脱炭素や生物多様性などのESG領域のスタートアップへ焦点を当て、創業初期のシード期やアーリー期の企業を中心に投資する。その中でも特に、海外でのルールメークに参加し、その流れを生み出すスタートアップへの投資を強化し、スタートアップと日本の大手企業が連携して、新しいビジネスチャンスを創出することを目指している。また、三菱UFJ銀行と共催で「ESGアクセラレーションプログラム」を定期開催するなど、同ファンドを通じて、気鋭のスタートアップが日本の大企業のポテンシャルを最大限に引き出し、ESGの変化を日本の成長の糧とすることを目指しているという。
ファンド概要は下記の通り。元リリースはこちら。
ICJ2号ファンド概要
- 投資ステージ:シード~アーリー
- 投資額:初回3千万~3億円
- 投資スタイル:リード出資
- 出資後の支援:事業会社を巻き込んだ積極的事業開発支援
- 投資実績(一部抜粋):株式会社ゼロボード / 株式会社sustainacraft / Degas株式会社 / 株式会社JCCL / 株式会社Yoii / 株式会社ovgo / 株式会社カラーアンドデコ
革新的なディープテックの社会実装に挑むBeyond Next Ventures、3号ファンドを設立(2023年10月11日発表)
独立系ベンチャーキャピタル(VC)のBeyond Next Ventures株式会社は、ディープテックに特化したBNV3号ファンド(正式名称:Beyond Next Ventures3号投資事業有限責任組合)を設立したことを発表した。1号・2号ファンドの既存投資家である独立行政法人中小企業基盤整備機構、株式会社三菱UFJ銀行、第一生命保険株式会社、東京センチュリー株式会社に加え、新たにSMBC日興証券株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、株式会社八神製作所より出資を受け、最終的なファンド目標額200~250億円に対して、現時点で100億円超の規模で設立を完了した。
BNV3号ファンドは、シードからグロースフェーズまでの長期かつグローバルな支援を強化し、世界に大きなインパクトを与えるユニコーン企業を創出していくことで、同ファンドのパフォーマンスを最大化するとともに、研究成果の商業化を後押しするエコシステムの発展に貢献していくという。また、今後は中長期のアジアシフトを見据えて、国内出資先の海外展開支援をさらに強化していくほか、BNV3号ファンドから、全ての出資検討先企業に対してインパクト測定・マネジメントを実施し、各出資先企業が生み出す社会的インパクトの評価と、出資後の継続的な測定を行うことで、ディープテックへの投資を通じて財務的リターンと社会的インパクトの両立を目指す。
ファンド概要は下記の通り。元リリースはこちら。
BNV3号ファンド概要
- コンセプト:日本発のサイエンス / テクノロジーにより、地球規模の人類課題を解決する
- ファンドサイズ:最大200~250億円
- 投資社数:20~25社程度を想定
- 1社への最大累積投資額:20億円
- 運用期間:最大14年(11年 + 3年の延長)
- リード / フォロワー:原則リード
- 投資ステージ:シードからグロースフェーズまで継続的な投資を実行
- 主な投資対象分野:医療・ヘルスケア / 創薬・バイオ / アグリ・フード / デジタル・宇宙 / クライメートテック
資金調達情報
【ラウンド不明】気球による宇宙遊覧フライトを目指す岩谷技研、5億7千万円の資金調達を実施(2023年10月12日発表)
気球による宇宙遊覧を目指す宇宙開発スタートアップの岩谷技研は、インキュベイトファンドに加え、横浜キャピタル、トヨタ紡織、その他事業会社を引受先として、5億7千万円の資金調達を実施ことを発表した。これにより、同社の累計調達額は約16億円に到達した。
岩谷技研は、宇宙遊覧フライトに必要なガス気球、気密キャビン、各種機器のすべてを札幌本社ならびに江別市と南相馬市にある研究開発所で、開発・設計・製造をしている。2023年7月には北海道新得町で、自社開発の高高度ガス気球と気密キャビンを使って、高度6,000m越えを目標とした有人飛行試験を実施し、最大到達高度6,072mを達成。気球によって「誰もがいける宇宙遊覧」の実現を目指している。元リリースはこちら。
【シリーズB】EC事業の最適化を支援するACROVE、11.4億円の資金調達を実施(2023年10月11日発表)
独自開発のBIツールを用いてEC売上最大化を実現するECプラットフォーム事業と、M&Aを通してブランド育成を図るECロールアップ事業を展開する株式会社ACROVEは、第三者割当増資ならびに金融機関からの融資により総額11.4億円の資金調達を実施したことを発表した。これにより、同社の累計調達額は約18.4億円に到達した。
ACROVEは「良いcommerceが、届く世界へ。」の実現に向けて、戦略立案から実務代行、転売対策まで一気通貫で販売支援をする「ECプラットフォーム事業」と、海外ではECアグリゲーターとも呼ばれる、ブランド・事業価値向上目的としたM&Aを実施する「ECロールアップ事業」の2事業を同時に展開。このユニークなビジネスモデルが同社の強みとなっている。
同社は、2020年に開始したECプラットフォーム事業をさらに拡大するため、2023年6月に中部支店、9月には東北支店を開設。また、後継者不在や人手不足により事業継続に課題を抱える事業者に対して、事業承継型M&Aを実施している。今回調達した資金をもとに、支援サービスの向上と拡充、事業承継型M&Aに注力するという。さらに、事業領域の拡大に向けてアライアンスも強化し、地方活性化の一助となるよう貢献したい考え。
今回の資金調達概要は以下の通り。元リリースはこちら。
- エクイティファイナンス調達先(運営・管理するファンドを含む ):日本郵政キャピタル株式会社 / 静岡キャピタル株式会社 / 大日本印刷株式会社 / SMBCベンチャーキャピタル株式会社 / 株式会社広島ベンチャーキャピタル / りそなキャピタル株式会社 / 株式会社ベクトル
- デットファイナンス調達先:株式会社静岡銀行 / あおぞら企業投資株式会社 / 大和ブルーフィナンシャル株式会社 / 株式会社東日本銀行
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