2023年9月15日から2023年9月14日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
三連休を挟んだため、今週の資金調達情報は全体的に少なめ。本稿ではスタートアップニュースを1件、注目の資金調達情報を2件お届けする。
資金調達に関しては、今週は「AI」がひとつのキーワードとなった印象。AI仮想キャラクターとの会話サービスを開発するDevesion、対話型AI面接サービスSHaiNを手がけるタレントアンドアセスメント、ユーザーのタスクに特化したAIエージェントをカスタマイズできるEmiria、パーソナルAIの開発を進めるオルツなどが資金調達を行った。
また、エンターテインメント領域における新たなプラットフォームの開発やNFTの活用なども進む。昨今、K-POPシーンでNFTを使って資金を集めるグループが登場したり、国内でもNFTを用いたオーディション開催なども行われている中、サブスク収益分配プラットフォーム「OIKOS MUSIC」がシードで1.5億円を調達しており、今後の動向に注目が集まる。
今週はそのような顔ぶれの中でも、特に企業の契約業務DXをテーマにサービスを展開し、AI契約書レビューのサービス開発を進めているMNTSQ(モンテスキュー)と事業承継マッチングプラットフォーム relay(リレイ)を提供するライトライトをピックアップ。事業や資金調達の内容について、詳しく解説する。
スタートアップニュース
NECのグローバルビジネスコンテスト「NEC Innovation Challenge 2023」が参加企業の募集を開始(2023年9月20日発表)
日本電気株式会社(以下、NEC)が主催するグローバルビジネスコンテスト「NEC Innovation Challenge 2023」が、参加企業の募集を9月15日より開始した。
募集テーマは「LLM(大規模言語モデル)」「ヘルスケア」「スマートシティ(子ども見守り&スマートリテール)」「都市型農業(農業廃棄物の有効活用、持続可能な病害虫対策)」で、応募締め切りは11月2日23時59分まで。一次審査とメンタリングを経て、10~20名のファイナリストが2024年1月30日、31日に開催される最終提案会に登壇する。コンテストの入賞チームは、最大220万円のPoC(概念実証)資金、日本市場への参入支援、NECおよびパートナー企業との協業など、さまざまな特典を受けることができる。
NECは現在、「未来の革新的アイディアを創り出すためには、世界中の叡智を結集する必要がある」という考えのもと、社会課題の解決に向けてスタートアップとの共創を模索している。その一環として行われるのが今回のビジネスコンテストで、2022年度に開催した際は「ヘルスケア&ライフサイエンス」「メタバース」「カーボンニュートラル」の3テーマでソリューションを募集。66か国から324件の応募があり、最終的に4案を選出し、事業化に向けた取り組みを進めているという。
参加申し込みの方法など、コンテスト概要は下記の通り。元リリースはこちら。
NEC Innovation challenge 2023 概要
- 募集テーマ
LLM(大規模言語モデル: Large Language Model) / ヘルスケア / スマートシティ(子供見守り、スマートリテール) / 都市型農業(農業廃棄物の有効活用、持続可能な病害虫対策) - スケジュール(すべて日本時間)
応募期間:2023年9月15日~11月2日
一次審査:2023年11月3日~12月12日
一次審査結果発表:2023年12月13日 - メンタリング:2024年12月14日~2024年1月26日
- 最終提案会:2024年1月30日、31日
- HP:https://nec.agorize.com/ja/challenges/nec-innovation-challenge-2023/
資金調達情報
【プレシリーズA】事業承継マッチングプラットフォームを手がけるライトライト、約1.4億円を調達(2023年9月21日発表)
事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」を運営する株式会社ライトライトが、プレシリーズAで総額およそ1.4億円の資金調達を実施した。調達方法は公表されていないが、リード投資家として社会インパクトファンド一般財団法人KIBOWが参加し、そのほかにユナイテッド株式会社、株式会社宮崎太陽キャピタル、くりや株式会社、株式会社サーチフィールド、株式会社ツクルバが投資家として名を連ねている。同社はこれで累計約2.7億円の資金調達を完了したことになる。
ライトライトは、中小企業が多く少子高齢化の進む日本において、後継者探しや事業承継のマッチングにまつわる課題の解決に取り組む。事業承継のマッチングを行う場面では、これまで社名や企業情報が伏せられることが常だったが、ライトライトはオープンネームで事業承継先や承継したい事業を探すことが可能なプラットフォーム「relay」を運営。同サービスはコンセプトも含めて多方面から評価を受け、2年連続で経済産業省「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業」に採択されたほか、2023年4月には経済産業省によるプログラム「J-Startup KYUSHU」に選定されている。これまでに同サービスを通じて約50件の事業承継が成約し、公開された案件は350件にのぼる。
また、後継者不足の課題に対しては、自治体と連携し、relayが移住も視野に入れた後継者募集を担う共同プロジェクト「relay the local」を実施。後継者募集中の事業者を訪問するツアーやイベント、セミナーなどを開催することで、案件数だけでなく、マッチング数も増加しているという。
同社は今回の資金調達も踏まえ、今後は自治体との連携を強化し、移住と第三者事業承継の支援に力を入れていく考え。地域事業者とのネットワーク拡大やrelayへの掲載案件数の増加、成約のスピーディーな実現に向け、調達した資金をサービス開発ならびに人材採用に使用していくという。元リリースはこちら。
【シリーズB】企業の契約業務DXに貢献するMNTSQが10億円の資金調達を実施(2023年9月19日発表)
企業の契約業務DXに関するサービス開発・提供を行うMNTSQ(モンテスキュー)株式会社が、シリーズBでALL STAR SAAS FUNDより10億円の資金調達を実施したと発表した。
MNTSQは、「すべての合意をフェアにする」というビジョンを掲げ、契約審査から契約締結、契約管理、法律相談など、法務業務にまつわるすべてのタスクやデータを一元管理可能な「MNTSQ CLM」を開発・提供している。同社サービスは、四大法律事務所と言われている長島・大野・常松法律事務所のノウハウと、法務に特化した独自の機械学習・自然言語処理技術を掛け合わせたものをコア技術として構築されている点が特徴。機械学習による契約文書の解析機能なども搭載されており、法務担当者にとっては契約審査の高速化と品質向上が叶えられるほか、事業担当者にとっては定型業務の自動化、経営者にとっては法務リスクの見える化を行うことができる。
今回、同社は大規模言語モデル(以下、LLM)の技術革新と弁護士法に関する社会的検討に一定のめどがついたことを背景に、サービスの中にLLMを活用することで、提供価値の向上を目指す。今後は調達した資金をもとに「AI契約書レビュー」の提供を目指していくという。元リリースはこちら。
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