2023年2月3日から2023年2月9日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週からファンド設立やアクセラレータなど、スタートアップ注目ニュースをまとめてお届けします。
ファンド設立ニュースでは、インキュベイトファンド卒業生が設立したSSS Capitalと、著名キャピタリストたちが立ち上げたKUSABIをピックアップ。イベントではMUFGが行うアクセラレータのうち、ICJとの共同開催分をご紹介(MUFG Digital アクセラレータ第6期DEMODAYニュースも出ています)。
資金調達では、元シェフが起業2社目として挑む食品流通DXのデリズマート、この調達難時期に安定的なシリーズBをやり切った法人営業DXのBaseconnect、同じく堅い調達を実施したCS DXのカラクリの3社に注目。ほかにも次のラウンドでぜひピックアップしたいスタートアップの調達が目白押しでした。
スタートアップニュース
シード期に特化したベンチャーキャピタル「SSS Capital」、1号ファンドを設立(2023年2月8日発表)
独立系ベンチャーキャピタル SSS Capital(エスエスエスキャピタル)が、2023年1月、インキュベイトファンドLP2投資事業有限責任組合からの出資を受け、SSS Capital合同会社が運営するSSS Capital 1号投資事業有限責任組合を設立し、投資活動を開始した。
代表パートナーの神谷氏は、2016年、北海道大大学院を修了し、新卒で経済産業省に入省。貿易管理政策業務等に従事したのち、18年10月に独立系ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンドへ参画、健康支援ソフトを提供するiCARE(アイケア、東京・渋谷)など投資先約40社を支援、8社のExitに関与してきた。
SSS Capitalは、創業期/シード期のスタートアップ企業に投資を行う独立系のベンチャーキャピタルで、国の政策の変化に伴い生まれる市場機会に対し、テクノロジーを活用することで課題解決(特にDX・GX)を行うスタートアップに積極的に投資する方針。特にデジタル化や脱炭素を促す企業に着目していくという。元リリースはこちら。
SSS Capital 代表パートナー 神谷 遼多(かみや・りょうた)氏 インタビュー
SSS Capitalではどのような分野のスタートアップが投資対象となるのでしょうか。
私は元々産業創出やイノベーションに関心がありまして、新卒で経済産業省に入り、その後、インキュベイトファンドで4年3ヶ月ほどキャピタリストとして活動し、今回のファンド設立に至っています。独立の背景には、前職のインキュベイトファンドに入社後数年で独立を推奨するカルチャーがあるということもありますが、自身が関心の深い「新・産業・創造」という言葉の頭文字からSSS Capitalと名付け、国の政策の変化に伴い生まれる市場機会に対し、テクノロジーを活用することで課題解決(特にDX・GX)を行うスタートアップに対し、積極的に投資していきたいという決意を新たにしています。投資対象という意味では、日本のプレシード/シード期のスタートアップ全般ですので、上記の重点分野以外も投資対象です。
シード期に特化と伺っていますが、具体的にどういったフェーズが対象になりますか。
ファンドサイズは現状5.1億円、出資が集まれば10.2億円まで拡大可能性を持たせています。対象はシード期としておりますが、起業準備中も大歓迎です。前職時代から、事業相談相手となり一緒に事業計画を作っていくことはよくやっていたので、HPやSNSアカウントなどからお気軽にご連絡いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします!
- ホームページ: https://ssscapital.jp/
- Facebook: https://www.facebook.com/ryota.kamiya.104
- Twitter: https://twitter.com/ka38ryota
編集部コメント
過去、ファンド設立者を次々と輩出してきたインキュベイトファンド卒業生から、また新たなファンドが生まれました。この度SSS Capitalを創設された神谷さんは31歳という若さながら、政策の知見や人脈もお持ちで、これからエッジの効いたスタートアップを立ち上げたい方にとって、とても頼りになりそうです。SNSアカウントにお気軽にご連絡くださいとのことなので、まずはご相談されてみては。
独立系ベンチャーキャピタルKUSABI、1号ファンド設立 ファンド総額100億円でクローズ(2023年2月7日発表)
KUSABI 1号ファンドの運用総額が、機関投資家を中心に複数のLPを迎え、国内独立系VCの1号ファンドではトップクラスであるファンド総額100億円でクローズした。すでに有望なスタートアップへの投資を21件(2023年2月7日時点)意思決定/実行済みとなっている。
KUSABIは2021年3月に、トップティアVC出身であるベンチャーキャピタリスト3名(永井 研行・吉田 淳也・渡邉 佑規)が、イコールパートナーシップで設立。「時価総額1兆円クラスの企業創出を通じた国力向上」「シリコンバレーのエコシステムに比する生態系の構築」「VC業界の進化の布石、礎となる」をミッションに、シード・アーリーステージにおけるリード投資を行っている。ファンド全体で年間10~20件ペースで積極投資をしていく方針で、今後は主体的な起業機会の創出及び起業家の発掘を目的としたアクセラレータープログラムの開催を予定しているほか、ベンチャーキャピタリスト(パートナーおよびジュニアクラス)複数名を採用予定、アドバイザーやサポーターも広く募集する。元リリースはこちら。
「MUFG ICJ ESGアクセラレーター2023」開催、ベンチャー企業やプロジェクトを募集(2023年2月7日発表)
株式会社三菱UFJ銀行は、ESG・脱炭素領域においてベンチャー投資を行うインクルージョン・ジャパン株式会社とともに、世界の温室効果ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)を目指す投資家、事業会社、ベンチャー企業が集う「MUFG ICJ ESGアクセラレーター 2023」を開催する。
本プログラムは「東京から始まる、世界のネットゼロ」をコンセプトに、脱炭素・ネットゼロの実現を目指すベンチャー企業やプロジェクトを、日本全国・世界から、会社の創業年や規模を問わず募集する。参加費無料、応募手続きは最小限、オンライン中心でのプログラムとなっており、日常の業務への負荷・影響を抑えて、事業成長の機会を得ることができる。大賞に選ばれた企業には、事業奨励金として100万円が贈呈されるほか、主催企業、投資家および協賛企業から、事業成長に向けたさまざまなアドバイスや、協業に関する支援を受けることが可能。本プログラムの開催に先立ち、2月22日(水)にはオンライン説明会を実施、募集要項などの説明に併せて、脱炭素ビジネスの最先端で活躍する第一人者によるパネルディスカッションなどを予定している。元リリースはこちら。
開催スケジュール
2月22日(水):オンライン説明会開催
3月5日(日):先行締め切り 応募企業から順次審査
3月19日(日):最終締め切り
4月〜5月:協賛企業・投資家等との個別議論
5月31日(水):CIC tokyoにてデモデイ
資金調達情報
【シード】食品小売業界の流通DXプラットフォーム「Delizmart」、エンジェル・シードラウンドの資金調達を実施(2023年2月9日発表)
株式会社デリズマートは、イーストベンチャーズ、グリーベンチャーズその他法人及び個人投資家数名を引受先として、エンジェル・シードラウンドの資金調達を実施。併せて、経営体制をより強化するため、取締役CTOに落合 雄一氏、取締役CPOに權 一氏、執行役員に近野 潤氏が就任したことを発表した。
同社は2021年2月に設立、「おいしい未来をデザインする。」をミッションに、食品小売業界の流通DXプラットフォーム「デリズマート(Delizmart)」を展開。日本の食品業界が抱える構造的課題の解決を目指す。今回の調達によって、日本の食品業界が円安や原油高の影響を受ける中、日々の生活を支える食品業界の未来をより良い未来に変えるべく、さらなるミッション実現と「新たなおいしさを生み出すデジタル食品流通プラットフォームを創る」というビジョンの達成を進めていくという。元リリースはこちら。
【シリーズB】データ活用による法人営業のDXを推進するBaseconnect、シリーズBで総額54億円を調達(2023年2月7日発表)
Baseconnect株式会社は、Z Venture Capitalをリード投資家として、日本郵政キャピタル、ジャフコ、ユーザベース、Salesforce Ventures、NTTドコモ・ベンチャーズ、エン・ジャパン、京都信用金庫(京信イノベーションC投資事業有限責任組合)等から総額54億円の資金調達を実施。今回の増資により、累計調達額は82億円となった。
同社は2017年1月に設立。「世界中のデータを繋げることで、ダイレクトに必要な情報にアクセスできる世界を作る」をミッションに、2018年4月に法人営業の業務効率化に特化した「Musubu」の提供を開始し、2023年時点で導入社数は100,000社を突破している。今回の資金調達により、「Musubu」を包括的なオールインワンソリューションへと深化させるほか、「世界中のデータを繋ぐ」というパーパスの実現に向けての新規事業の探索、強固かつ柔軟な経営チームを組成するための人材採用に充当するという。元リリースはこちら。
【シリーズB】カスタマーサポートDXを推進するカラクリ、シリーズBで10億円を調達(2023年2月8日発表)
カラクリ株式会社は、既存投資家のALL STAR SAAS FUND PTE. LTD.、ジャフコグループ株式会社に加え、SBIインベストメント株式会社を引受先とする第三者割当増資と、商工組合中央金庫からの融資によって総額10億円の資金調達を実施。今回の調達により、累計調達総額は約18.1億円となった。
同社は2016年10月に設立、「カスタマーサポートをエンパワーメントする」をブランドパーパスに掲げ、AIテクノロジーを活用した事業を展開。高精度AIチャットボット「KARAKURI chatbot」を中心に、EC利用者の困りごとを予測するシステムを開発。OpenAI社が提供する「ChatGPT」でも拡がるAIの可能性や、今後、どの業界でも経営戦略において「顧客体験の改善」は重要性が増すことが予想される中、今回の調達により、カスタマーサポート/コンタクトセンターのAIドリブンなDX改革を実現するプロダクト開発・拡充を推進していくという。元リリースはこちら。
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