「Question with sensibility(問いの感性)」の頭文字を取って名付けられたSHIBUYA QWS。3周年を迎え、2022年11月にQWS FES2022を開催。その中のプログラムとして、最終日となる11月2日に「SHIBUYA QWS STARTUP AWARD #1」が行われ、JP Startupsもメディアパートナーとなった。そんなAWARDの最終審査会の模様をお届けする。
編集部コメント
メディアパートナーを担当させていただいた今回のSHIBUYA QWS STARTUP AWARD #1。これまで「問い」をあちこちに投げかけ課題解決を進めるコミュニティとして活動してきたQWSだが、主にコロナ禍で、今回のQWS FES 2022のテーマでもある「渋谷」「ローカル」「グローバル」間のつながりをなかなか広げていきにくい環境があったそう。
今回は、それに負けじと、コロナ禍の落ち着きを見計らい、QWSで開催された TechCrunch Tokyoの運営チーム(Boundless)をバックアップに迎えた体制でAWARDの初回を開催。3年間で蓄積してきた知見、人脈、ネットワークを十分に発揮し、これからいよいよ渋谷からグローバルへ羽ばたくスタートアップを応援していくというエネルギッシュさが感じられた。今後も活動を精力的に続けていきたいとのことで、QWSのさらなる成長に期待。
SHIBUYA QWS STARTUP AWARDとは
SHIBUYA QWS(渋谷キューズ/以下、QWS)が主催する、設立準備中または設立5年以内でデモ可能なプロダクトを持つスタートアップ企業が競うピッチコンテスト。SHIBUYA QWS開業3周年となる今年は、だれもが参加可能な形式に。日本最大級のテクノロジーとスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo」を運営していたBoundless株式会社の企画協力・メディア連携支援のもと開催。
書類審査員
なんと74社の応募があったそう。名だたるベンチャーキャピタルの面々が書類審査にあたり、今回のファイナリストを選抜した。
最終審査員
最終審査員4名は現地から参加。ピッチ登壇者たちと対面で質疑を交わした。
最終選考の5社
74社から書類選考にて残った以下の5社が最終審査会に登壇。各社5分のピッチとなる。
※「サステナジーン株式会社」は諸事情により不参加
MentaRest(株式会社Flint)
メタバース上でメンタルケアを行う「MentaRest」。精神的不調や悩みがある時、心療内科へ通ったり、産業医や上司へ本音を話すのはなかなかハードルが高いもの。これを、アバターを用いたメタバース空間で、精神的安全性を確保した状態でカウンセリング相談ができるようにしたのがMentaRest。大手企業でも休職者増加は課題となる中、働きやすい環境づくりを広めることを目指す。
LINDA PESA(LINDA PESA株式会社)
タンザニアでの勤務経験を持つ山口氏がピッチするのはアフリカスモールビジネスの与信DXだ。マサイもスマートフォンを使う時代になったが、経営業務はまだペンと紙のまま。同社は拠点をタンザニアに構え、データ蓄積によりスモールビジネス向けに経営のDXとそれによる与信プラットフォーム「LINDA PESA」を開発、提供。貸金業までのサポートも検討はしつつ、いったんはSaaSとしてデータ販売し経営支援に特化していくという。
Scanat(nat株式会社)
リフォームの見積もりDXに挑む「Scanat」。自宅購入タイプの方は通らざるをえないリフォーム。リフォーム施工事業者側は、見積もり作成時に、それがどういう家でどういう将来像を期待しているのか、現場視察、実際の工数想定など結構な手間が必要になる一方で、見積もり段階では失注する可能性もあり、これが大きなコストとなっている。特に大変なのが現地のスキャンだが、Scanatでは、iPhoneのLiDARセンサーを利用し、専門家でなくとも簡単に現地のスキャンができるスマホアプリ「Scanat」を開発、BtoBバーティカルSaaSとして展開している。
glucose flight(株式会社THE PHAGE)
お次は、糖尿病管理の「ぐるフラ(グルコースフライト)」。血糖コントロールがうまくいかないと、合併症を引き起こしてしまう深刻な病気である糖尿病。一方、中長期的な食事制限が中心となる糖尿病の対処は、我慢できない患者にとってはなかなか継続が難しいもの。外来に通うにしても、教育入院で一気に治療に専念するにも、高額であるなどハードルが高かった。ぐるフラは、自宅にいながら教育入院のような指導が受けられるようにすることで、従来より安価で継続的に糖尿病治療が受けられることを目指す。
PRISM(株式会社Things)
製造業の産業規模は大きい。原価の8割は設計段階で決まるが、ものづくりは複雑で、自転車一つとっても1,000個以上の部品で構成される。これまでは顧客や施工主と紙設計図でやりとりをする中で、同期や原価変動の管理コストが多くかかっていた。この課題を解決すべく誕生したのが、ハードウェア版のGitHubの立ち位置を目指すSaaS「PRISM」。図面、コメント、部品の親子関係から変更履歴までがSaaS上で確認可能になり、経営者も意思決定がしやすくなる。すでに数社導入が決定済であり、中堅規模の完成品メーカを最初のターゲットとするという。
結果発表
Google Cloudスポンサー賞(Google Pixel 7)
受賞:LINDA PESA株式会社
Googleの使命である「世界中の情報を整理、アクセス可能にする」と同じミッション、ビジョンを掲げていると感じ、選ばさせていただきました。ぜひPixel 7を使って事業を推進いただけたら。
ありがとうございます!活かしたいと思います。また、タンザニアのメンバーに、いいニュースを持って帰ることができて嬉しく思います。
審査員特別賞(SHIBUYA QWS会員権)
受賞:LINDA PESA株式会社
W受賞おめでとうございます。タンザニアという都市は、日本人にはまだあまり馴染みがない場所ではありますが、今後人口増加が見込まれている市場。海外で挑戦されている姿勢も素晴らしく、ぜひ応援したいです。
W受賞ということで驚いています、ありがとうございます。実はピッチに出るのは今日が初めて。タンザニア現地の方々と、なにを始めようかと話し合い、オーナー1人1人に声をかけてやりはじめた事業ですが、この賞を活かして今後の成長につなげたいと思います。
最優秀賞
- 活動支援金100万円
- 渋谷駅周辺の大型サイネージ掲出権(200万円相当)
- SHIBUYA QWS会員権(6か月間)
受賞:nat株式会社
正直なところ、審査員の票はバラバラに分かれていました。スタートアップは、どの視点で見るかによってその事業の評価が変わってくるもの。受賞の有無にかかわらず、各社、推す声はあったのでぜひ頑張っていっていただけたらと思います。最優秀賞をnatとしたのは、技術に裏付けられた競争優位性と十分な将来性というバランスの良さが決め手でした。苦難もあるかと思いますが、苦難をバネに、受賞を励みに、頑張っていっていただけたら。
選んでいただきありがたく思います。みなさんの生活が変わるようなプロダクトを作っていきたいので、ぜひ応援してもらえたら。
最終講評
橋本 真里子 氏(株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO)
TechCrunch Tokyo Startup Battleでは出場した側であった自分ですが、今回審査員側に立たせてもらって光栄です。ピッチバトルとは受賞できるかよりも経験が大事。みなさんぜひこれをスタートに事業を頑張ってもらえたらと思います。
矢澤 麻里子 氏(Yazawa Ventures Founder and CEO)
お疲れ様でした。審査員の間でもすごく接戦でした。すでに錚々たるVCからの書類審査を突破してきた時点ですごいことなので、ぜひ自信をもってもらえたら。書類審査に応募された皆様も、今回の経験を励みにしていただければと思います。
野村 幸雄 氏(渋谷スクランブルスクエア株式会社 営業一部 部長SHIBUYA QWS エグゼクティブディレクター/SHIBUYA QWS Innovation協議会 運営委員長)
改めて3周年感謝申し上げます。どのプレゼンも夢がありました。書類審査、最終審査、ピッチに応募いただいた74社。改めて関わっていただいた皆様ありがとうございました。今回は1回目となるのでぜひ今後ともよろしくお願いします。
世界に羽ばたくスタートアップが渋谷から生まれていく瞬間に立ち会ったという実感をすごく得たイベントでした。今後もQWSに注目です!
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