2022年10月14日から2022年10月20日に発表された資金調達ニュースのうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
引き続きサステナビリティテーマを2件ピックアップ。
「NOT A HOTEL」は、Web3の文脈から、NFT活用によるオーナー制度について注目が集まっていた。米国ではAirbnb等の民泊に続き、事業者保有建物の臨時宿泊貸しや期間限定アパートメント貸しのサービスが出ているが、日本でもさらなる暮らしの柔軟化を目指す。HafHやADDressの利用を機に、1箇所に縛られない暮らし方に慣れた層がいるであろう中、どういったユーザにどう定着していくか注目だ。
「UPSIDER」は、競合のPaildなども提供するプリカ型から始められるバーチャル法人カード。筆者も利用しているが、クラウド会計での仕訳や予算分配含め効率化が非常に進み助かっている。クレジットカードでは与信枠を追加したければAMEX、という状態であった創業初期の企業の一助となっていることだろう。金融ライセンス取得・運用はハードルは高いが、同社はセキュリティ関連にも留意しているようで、益々の機能拡充を期待したいところだ。
Series A
インパクト投資プラットフォームのインパクトサークル、プレシリーズAで1.7億円を調達(2022年10月19日発表)
インパクトファイナンスならびにインパクト投資ファンドレイジングの拡充、インパクト可視化プラットフォームシステムの開発等を行うインパクトサークルは、MSデジタル(三井住友海上キャピタル)、ベクトル、Global Mobility Service、創造する心、ファルスより、プレシリーズAで1.7億円を調達した。
代表の高橋氏は、ドライバーを目指す低所得層向けにIoTデバイスを活用しローンを提供するGlobal Mobility Service株式会社(以下、GMS)の創業メンバーかつ元取締役であり、同社からも出資を受けた形。ソーシャルインパクトを創出する事業の価値が定量化されていないがゆえにNPO以外に普及しづらい環境にあるソーシャルグッド事業であるが、同社はその可視化プラットフォーム開発を通してSDGs事業の成長拡大支援を図っていく狙い。元リリースはこちら。
新しい暮らしを提案するNOT A HOTEL、シリーズAで20億円を調達(2022年10月14日発表)
NOT A HOTEL株式会社は、ANRI、オープンハウスグループ、SMBCベンチャーキャピタル、And Doホールディングスおよび個人投資家より、シリーズAのファーストクローズにて約20億円を調達、シードラウンドからの累計調達額は約41億円となる。
同社では、同一の建物を、自身の別荘として保有する形と、ホテルとして対外貸出する形に、切り替え可能な運用方法を提供。毎年30日単位でのシェア購入やNFTを活用した1日単位での利用権の販売を行い、生活の柔軟性向上を目指す。オーナーになると全国の「NOT A HOTEL」を相互利用可。今回の調達により採用強化を図るほか、年内のNOT A HOTEL AOSHIMA、NASUの開業に続き、福岡や北軽井沢、石垣、みなかみなど、新たな拠点での開発を進め、2025年には30拠点での展開を目指す。元リリースはこちら。
代表の濵渦氏はM&AでアラタナをZOZOグループにバイアウト後、2020年4月より同社設立。運営にかける思いを書いたnoteはこちら。
ラウンド不明
サステナブルな電子回路製造に挑むエレファンテック、第三者割当増資で21.5億円の資金調達を実施(2022年10月17日発表)
既存製法に比べてCO2排出を77%、水消費を95%削減できるインクジェット印刷による電子回路製造技術フレキシブルプリント基板 「P-Flex®」を開発・提供するエレファンテック株式会社は、21.5億円を調達。これまでの融資、助成金を含めると累計調達額は約70億円となる。エクイティ調達先は以下。
- ANRI5号投資事業有限責任組合
- 信越化学工業株式会社
- 株式会社ノーズ
- ノーズ・インベストメント合同会社
- 静岡キャピタル株式会社
- 静岡キャピタル9号投資事業有限責任組合
- 英和株式会社
- 株式会社ナノバンク
- 剣菱酒造株式会社
- 三菱瓦斯化学株式会社
- 株式会社D&Iインベストメント
- ナントCVC2号投資事業有限責任組合
- ナントCVC3号あけぼの投資事業有限責任組合
- ぐんま地域共創投資事業有限責任組合
- SuMi TRUSTイノベーション投資事業有限責任組合
プリント基板製造は 1,000億米ドルを超える市場が存在する一方、環境負荷が高く、サプライチェーン依存リスクも極めて高い産業であるといい、同社は自社製品の普及を通し、その課題解決を目指す。6年間の基礎研究を経て、2020年に量産に成功。今回の調達で、グローバル展開とさらなる研究を進める。元リリースはこちら。
法人カードのUPSIDER、デッドで467億円を調達(2022年10月19日発表)
法人カード「UPSIDER」およびビジネスあと払いサービス「支払い.com」を運営する株式会社UPSIDERは、デッドファイナンスで大手金融機関4社(社名非公開)より467億円を調達。累計決済規模が500億円を超える中、今後の成長につなげるほか、金融ライセンス関連でのキャッシュニーズ充足を図るものと推察される。同社は、2022年10月19日にフォースタートアップス株式会社が公開した「国内スタートアップ2022年資金調達ランキング(2022年1-9月)」によれば総額64億円で13位、設立からの累計調達額では総額107億円でこちらも13位にランクインしている。トップ20のうち累計調達額が100億円超となるのは15社であり、同社はその調達規模でも注目を集める成長企業といえる。
与信審査が厳しく複数枚数発行に時間がかかりがちな従来のクレジットカードと比較し、ブランドが付与されたプリペイドタイプで与信枠を気にせずに迅速にカードが作成できることや、バーチャルカードとして発行・管理ができることから、スタートアップを中心に人気の法人カード。クラウド会計との連携による仕訳サポートも便利で、アクティブな利用企業は数千社以上、利用継続率は99%以上であるという。カード利用先の制限や権限設定機能、Slack連携機能などのリリースが好評で、上場企業のユーザも増加しているとのこと。元リリースはこちら。
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