2024年3月15日から2024年3月22日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週は、幅広い分野のスタートアップが資金調達を行っていた印象だ。
最終面接に進んだ学生向けのダイレクトリクルーティングサービスを手がけるABABA、企業分析SaaSを手がけるバフェット・コード、生成AIを活用した従業員エンゲージメント改善SaaSを提供するエレクトリック・シープ、生成AI×クラウドゲーミングのユビタス、教育特化型外部人材マッチングサービスを手がけるLX DESIGNなど、採用から業務SaaS、教育、エンタメまで多彩な企業が資金調達を実施した。
その中でも今回は農業分野の技術革新にフォーカスを当て、アクプランタ、デザミス、HarvestXを紹介。農業では今、環境負荷の少ない生産方法を取り入れる流れが欧米を中心に加速している。さらに国内では、少子高齢化による農家数の減少が懸念されており、生産工程の機械化など、新たな技術が求められている現状がある。農業スタートアップから生まれる技術にも、今後さらに注目したいところである。
スタートアップニュース
「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」を7月4日~6日に開催。参加スタートアップを4月24日まで募集(2024年3月22日発表)
グローバルVCのHeadline Asiaが運営する国内最大級のスタートアップカンファレンス・IVSが、7月4日(木)から6日(土)の3日間にわたり、ピッチイベント「IVS2024 KYOTO / IVS CRYPTO 2024 KYOTO」を開催する。会場は京都パルスプラザ。
IVS LAUNCHPADはアーリーステージのスタートアップ向けに開かれるピッチイベントで、2007年の初開催から今年で18年目を迎える。これまでに累計で5,000社以上がエントリーし、過去登壇企業は60社以上がEXIT、40社以上が10億円以上の資金調達を行った実績を持つ。
今年のイベントでは、グリーベンチャーズ代表の相川 真太郎氏やインキュベイトファンド代表パートナーの赤浦 徹氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナーの今野 穣氏らが審査員として参加する予定。イベントの概要と登壇者募集の詳細は下記のとおり。元リリースはこちら。
IVS2024 KYOTO / IVS CRYPTO 2024 KYOTO 開催概要
- 開催日:2024年7月4日(木)〜 6日(土)
- 会場:京都パルスプラザ 他
- Webサイトはこちら
※チケット情報やコンテンツ情報などの詳細発表は4月上旬を予定
IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO 登壇者募集について
- 参加条件:プロダクトのデモが可能なスタートアップ(優勝者には1,000万円を授与予定)
- スケジュール
・応募締切:4月24日(水)
・一次面談:5月8日(水)〜10日(金) / 予備日 5月13日(月)
・最終面談:5月30日(木)〜 31日(金)
・撮影:6月13日(木) / 予備日14日(金)
・ピッチ練習会:6月13日(木) 18時 〜
本番 : 7月5日(金)
IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO 応募フォームはこちら。プレイベントとして、投資家らと1on1の壁打ちができるイベントを開催予定。詳細は下記リンクより。
日米拠点のVC・DNX Venturesが日本特化の複数ファンドを約365億円で組成完了(2024年3月19日発表)
アメリカ・シリコンバレーと東京に拠点を置くベンチャーキャピタルのDNX Venturesが、同社を無限責任組合とする「4号日本ファンド」および、フォローオン投資を目的とする「3号日本アネックスファンド」の組成を約365億円で完了したと発表した。これにより、既に組成が完了していたシードファンドとあわせて、累計395億円規模の新ファンドが出来上がったことになる。
新ファンドには、既存ファンドの投資家も含め、国内外の機関投資家および金融機関が出資している。これらのファンド群はいずれも「3号ファンド」までと異なり、投資先に米国企業を含まず、一部のアジア地域を含む日本のスタートアップに特化したファンドとして運営する。「4号日本ファンド」「3号日本アネックスファンド」「シードファンド」は、すでに新たなスタートアップへの投資を開始しているという。DNX Venturesは、SaaSを中心に、BtoB領域のスタートアップに対し、投資を行っていく方針だ。
同社は今回のファンド群組成を通じて、シードからレイターまで幅広いフェーズのスタートアップに継続して伴走できる体制を強化する考え。一方で、以前から主軸としていたアーリーステージ投資にも引き続き注力する。
また、4号ファンドの新規組成に合わせ、MAツールを手がけるExact Target(2013年にSalesforceが買収)出身のPeter McCormick氏がアドバイザーに就任。投資先の創業者や経営チームの支援を行う予定だという。元リリースはこちら。
資金調達情報
【プレシリーズA】AI・ロボティクスによる果菜類の完全自動栽培に取り組むHarvestXが約4億円を調達(2024年3月20日発表)
AI・ロボティクスを活用したイチゴの自動栽培ソリューションを開発するHarvestX株式会社が、プレシリーズAで総額およそ4億1,000万円の資金調達を実施した。今回はANRI、DEEPCORE TOKYOら既存投資家のほか、新たにDawn Capital、SMBCベンチャーキャピタルなどが参画し、計9社が引受先となっている。また、浜松市ファンドサポート事業からの交付金もあわせて受けているといい、同社の資金調達額は合計で6億1,000万円に達した。
現在、果菜類の植物工場では、一般的な農園と同様にハチを工場内で飼育することで授粉を促し、果物や野菜を栽培している。しかし、植物工場のような閉鎖空間では、ハチは大きなストレスを感じ、うまく飛ぶことができなかったり、短命になったりする傾向がある。そのため、授粉がうまくいかずに果菜類が安定的に生産できないといった課題が発生し、解決が急がれている。
HarvestXは、そのような課題を解決するため、特に授粉の精度によって実の形状に影響が出やすいイチゴにフォーカスを当て、AIとロボティクスの技術を活用した自動栽培の仕組みを開発。独自開発で植物工場に最適化した自動授粉ロボット「XV3」と栽培ラック、栽培レシピを組み合わせ、AIで授粉とモニタリングを自動化することにより、安定生産と生産コストの削減が可能なイチゴ自動栽培ソリューション「HarvestX」を提供している。
同社は今回調達した資金をもとに、「HarvestX」のさらなる研究開発を進める予定。また、デモ施設を建設することで、植物工場を運営する企業に対してのプロモーションを強化する。さらに、イチゴだけでなく、トマトやメロンなど授粉工程を必要とする果菜類に技術を応用させ、さらなる事業拡大を目指すという。元リリースはこちら。
【シリーズA】バイオスティミュラント資材を開発するアクプランタ、約4.8億円の資金調達を実施(2024年3月15日発表)
バイオスティミュラント資材を開発するアクプランタ株式会社が、シリーズAで第三者割当増資により約4.8億円を調達した。引受先は、ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター、アイティーファーム、農林中金イノベーション投資事業有限責任組合(運営者:グローバル・ブレイン)の3社。
アクプランタは、植物をさまざまな環境ストレスから守るバイオスティミュラント資材を開発するアグリバイオスタートアップ。バイオスティミュラント資材とは、植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することで、植物のストレスへの耐性、収量と品質、収穫後の状態などについて、植物に良好な影響を与える資材群のことを指す。同資材は現在、農業分野において、気候変動の影響や減農薬、減化学肥料意識の高まりを背景に、欧米を中心として世界でユーザー数が急拡大している。
アクプランタでは、創業者の金 鍾明が理化学研究所の研究員時代に発見した「酢酸が植物の乾燥耐性を高める」というメカニズムをもとに、バイオスティミュラント資材「Skeepon(スキーポン)シリーズ」を開発・提供している。この資材を使うことで、植物の乾燥・高温耐性を高め、過酷な環境下でも生育を維持し、植物のロスを減らすことができるという。
同社は今回の資金調達を通じて、アメリカを中心とした海外展開の加速を目指し、事業推進およびグローバルチームの体制構築を行う。CXO候補、海外事業開発担当者、関連分野の研究管理職などのポジションで積極的に採用を進め、組織基盤の強化に取り組む考えを示している。元リリースはこちら。
【ラウンド不明】牛の行動モニタリングシステムを提供するデザミスが約6.2億円の資金調達を実施(2024年3月18日発表)
牛の行動モニタリングシステムを提供する デザミス株式会社が、第三者割当増資により総額6.2億円の資金調達を実施すると発表した。引受先は、ENEOSイノベーションパートナーズ、RKB毎日ホールディングス、Robot Home、梓総合研究所、カクイチ、スカラ、学校法人都築育英学園、リコーリース、および個人投資家。
デザミスは、牛の首にセンサーを装着することで採食や反芻(はんすう)、動態、起立、横臥、静止の六つの行動を24時間365日リアルタイムにモニタリングし、異常の検知と通知が可能なサービス「U-motion(ユーモーション)」 を提供している。現在、日本の畜産農家数は減少トレンドにある一方で、アジア圏をはじめとする海外での「和牛ブランド」の認知拡大・ニーズ上昇の影響を受け、農家1戸あたりの飼育頭数は増加傾向が続いている。少ない人手で多くの牛を育てるために、畜産業では業務の機械化や効率化、IoTの活用が求められている現状がある。同社のサービスは、そうした畜産業の課題解決に貢献する。
今回の資金調達を経て、同社は「U-motion」のさらなる開発と、プラットフォーム事業である「U-motion Platform(ユーモーションプラットフォーム)」の拡大を加速させる予定。また、環境問題への取り組みや海外を見据えた事業展開にも力を入れる方針を示している。元リリースはこちら。
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