2024年3月1日から2024年3月7日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週はスタートアップニュースを2件、資金調達情報を4件お届け。
スタートアップニュースでは、GUCCIなどのファッションブランドを手がけるケリングやVenture Café Tokyoが主催するピッチイベント情報を紹介する。
資金調達情報については、今週は海外人材の採用に関するサービスや医療系スタートアップによるプレスリリースの公開が多かった印象がある。その中でも今回は、生産ラインや物流倉庫のAIプロセスシミュレーター「assimee」を開発するビットクォーク、3Dプリント義足製造ソリューション事業を行うインスタリム、東大発テクノロジーベンチャー Gaianixx、AI警備システム「AI Security asilla」を開発するアジラと多彩な4社をピックアップし、調達内容や事業内容などを解説する。
スタートアップニュース
GUCCIなどファッションブランドを手がけるケリング、CIC Instituteとともに「ケリング・ジェネレーション・アワード」を開催(2024年3月5日発表)
GUCCIやサンローランなどのファッションブランドを手がけるケリングが、日本のスタートアップを対象とした「ケリング・ジェネレーション・アワード」を開催すると発表した。同アワードは、ラグジュアリー、ファッション、ビューティー分野において持続可能なイノベーションを加速させるべく、ケリングが2018年より主催しているもの。代替原材料、サプライチェーンのグリーン化、リテールと使用、サーキュラーエコノミーといった分野の課題に取り組み、環境と社会にポジティブな影響をもたらす企業の表彰・支援を行う。日本では初の開催。アワードの実施にあたっては、ディープテックスタートアップ支援に知見を持つCIC Instituteがバックアップに入る。
今回は、「サステナブル・ファッション & ビューティ」がメインテーマ。さらに、製品のライフサイクルにとって重要な「代替原材料」「製品製造」「リテール」「消費者エンゲージメント」の4項目をサブテーマに掲げ、スタートアップの発掘を目指す。
上位3位に入賞した企業には、包括的なメンターシップとネットワーキングの機会、ファッションとビューティ分野のイノベーションリーダーとの交流を目的としたヨーロッパ研修が提供される。また、最優秀企業には賞金1,000万円が贈られる予定。
募集概要は下記の通り。元リリースはこちら。
募集概要
- 公募期間:
・グループA(テーマ「代替原材料・素材」「製品製造」) 2024年3月5日〜4月23日
・グループB(テーマ「リテール」「消費者エンゲージメント」) 2024年5月7日~6月18日 - ピッチ開催日:
・グループA 2024年6月4日
・グループB 2024年7月23日 - プログラム期間:
・上位10社ファイナリスト集中支援コース 2024年11月4日~8日
・上位10社ファイナリストピッチ 2024年11月8日
・上位3社授賞式 2025年春 - 応募資格:企業ステージがシード~レイターまでで、創業20年以内の未上場企業。コンセプトのみでなく、検証可能な技術、材料・素材、商品やサービスがあることが条件。上場企業、及び同企業の子会社及び関連会社の資本が50%以上入っている企業は除く
- 分野:今回のアワードのメインテーマおよびサブテーマ①〜④のいずれかに関連する事業であること
- 所在地:日本に事業拠点があること。本社登記場所は問わない
- URLはこちら
Venture Café Tokyoが、CIC Tokyoと森ビルとの共催で「ROCKET PITCH NIGHT SPRING 2024」を5月13日に開催(2024年3月4日発表)
世界6カ国11都市で起業家などに向けた出会いや学びの機会を提供するVenture Café。そのアジア初拠点であるVenture Café Tokyoが、森ビルと国内最大級のイノベーションセンター CIC Tokyoとともに、「ROCKET PITCH NIGHT SPRING 2024」を5月13日に開催すると発表した。
「ROCKET PITCH NIGHT」は、起業家教育分野で30年近くにわたって全米1位の評価を獲得しているバブソン大学(アメリカ・ボストン)の独自メソッドを日本向けにアレンジして実施する、Venture Café Tokyoの代表的なイベント。これまでに総勢590組の起業家と6,700名以上のオーディエンスが参加した実績を持つ。Venture Café Tokyoの公表によれば、過去の登壇者は、ピッチをきっかけに累計100億円以上の資金調達やグローバルアクセラレーションプログラムへの採択、プロダクトの共同開発などを実現しているという。9回目の開催となる今回は、東京都主催の「SusHi Tech Tokyo 2024」のパートナーイベントとして実施。50組の登壇者と1,000名以上の参加者を募る。
開催概要は下記の通り。元リリースはこちら。
募集概要
- 開催日時:2024年5月13日(月)14時~21時30分(開場 13時30分)
- 開催場所:虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区虎ノ門1-23-3)
※オンライン参加者も含むハイブリッド開催を予定 - 登壇の申込締切:2024年4月12日(金)11時59分
- 対象者:カテゴリーやフェーズ、年齢を問わず、新たな挑戦を行おうとしている方
- ピッチフォーマット:3分 / Mircrosoft・Powerpointを使用のこと
- ピッチ・プライズ:オーディエンスによる投票が多かったチームには、賞品として日本最大級のイノベーションセンターCIC Tokyoのコーワーキングスペース利用権の贈呈を予定(複数受賞あり)
- 登壇の申込フォームはこちら
※ 登壇者については、応募多数の場合選考あり。オーディエンスの参加登録はPeatixより申し込み
資金調達情報
【プレシリーズA】生産ラインや物流倉庫のAIプロセスシミュレーター「assimee」を開発するビットクォーク、1.8億円の調達を完了(2024年3月6日発表)
製造業・物流業などの企業に向け、AIを活用したプロセスシミュレーター「assimee」を提供するビットクォーク株式会社が、プレシリーズAで第三者割当増資により1.8億円の資金調達を完了した。引受先は、XTech Ventures、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、未来創造キャピタル(みずほリースCVC)、グローバル・ブレイン。今回の資金調達ではJ-KISS型新株予約権2,500万円が優先株式に転換されており、同社はプレシリーズAラウンドで総額およそ2億円を調達したことになる。
ビットクォークは、生産ラインや物流倉庫の人員・在庫の配置、拠点間の業務配分などをシミュレーションできるAIシミュレーターを開発・提供している企業。工場の現場におけるさまざまな状況をAIが予測、試行、分析することにより、経験や勘に頼った管理業務を効率化し、生産技術部門や管理部門の人手不足に貢献する。同社ではそのほかにも、AIによる異常検知システムの開発や技術コンサルテーションなども行っている。
今回調達した資金をもとに、同社は「assimee」やデジタルツイン事業の開発を加速化したい考え。「assimee」は近日、シミュレーションや最適化結果画面のダッシュボード化、生産リードタイム最適化機能、ボトルネック特定サポート機能、生成AIによる結果解説・施策提案サポート機能のアップデートを予定している。元リリースはこちら。
【シリーズB】3Dプリント義足製造ソリューション事業を行うインスタリム、総額9億円の資金調達を完了(2024年3月6日発表)
3DプリンティングとAIを活用し、3Dプリント義足製造ソリューション事業を行うインスタリム株式会社が、シリーズBラウンドで第三者割当増資と融資により総額9億円の資金調達を完了したと発表した。第三者割当増資による調達先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツや三菱UFJキャピタル株式会社など計8社。融資では日本政策金融公庫、大和ブルーフィナンシャルが融資元となった。
インスタリムは「必要とする全ての人が、質の高い義肢装具を手に入れることができる世界を実現する」というビジョンを掲げ、日本とフィリピン、インドで高品質・低価格な3Dプリント義足の製造・販売事業、義足・義肢装具の設計・製造ソリューションのライセンス販売事業を行う。フィリピン、インドではすでに2,800本以上の3D義足を提供した実績があり、フィリピンではシェア1位を獲得。アジアを中心に急速な事業拡大を実現している。
同社は今回調達した資金をもとに、海外展開をさらに加速させる。2024年度にはウクライナ、インドネシアへの展開を行い、3年以内には10か国以上に事業を展開させる方針を示している。元リリースはこちら。
【シリーズB】東大発テクノロジーベンチャー Gaianixx、13.5億円を調達(2024年3月6日発表)
東京大学発のテクノロジーベンチャーで、多能性中間膜やエピタキシャルの研究開発から製造、販売を行う株式会社Gaianixxは、シリーズBセカンドラウンドで第三者割当増資による3.5億円の資金調達を実施した。引受先は、JICベンチャー・グロース・ファンド、アルコニックスグローバルイノベーションファンド、SMBCベンチャーキャピタル。これにより、同社はシリーズBで13.5億円を調達し、創業からは累計で18.5億円の調達を達成したことになる。
Gaianixxは、パワー半導体の製造で使用する「中間膜」という素材を開発した企業。パワー半導体は、モーターや照明などの制御、電力の変換を行う半導体で、大きな電流や高い電圧を扱うことができる点が特徴。電気自動車の航続距離の向上や電子機器の小型化につながる部品として期待が寄せられている。
同社の開発した中間膜は、パワー半導体の製造コスト削減に貢献。現行のおよそ7割ほどコストを下げることができる見込みで、将来の電子デバイスやセンサー、エネルギーハーベスティングシステムなどの基盤となる可能性を持つ。
今回の資金調達を経て、同社は研究開発の強化や量産体制の構築、採用活動の強化などに投資を行うという。元リリースはこちら。
【シリーズC】AI警備システム「AI Security asilla」を開発するアジラ、3億円の資金調達を実施(2024年3月5日発表)
行動認識AIの技術をもとに、AI警備システム「AI Security asilla」を開発・提供する株式会社アジラが、シリーズCセカンドラウンドで第三者割当増資と新株予約権付融資により合計3億円を調達したと発表した。引受先は東急株式会社で、融資については日本政策金融公庫が実施した。これにより、同社のシリーズCでの調達金額は7.6億円、累計調達額は17億円に達した。
アジラは創業以来、「行動認識AI」を開発。2022年1月末にAI警備システム「AI Security asilla」をリリースした。同サービスは防犯カメラからの映像入力をもとに、異常行動や不審行動の検出を行う。異常を見つけると映像を瞬時に通知し、防犯カメラのモニタリング業務の負担軽減に貢献する。「AI Security asilla」は現在、大型商業施設や複合施設、病院、教育機関、交通インフラなどへの導入が進む。
同社は今回調達した資金をもとに、販売網の強化や製品ラインナップの拡充、コーポレートガバナンスの強化などを行うという。元リリースはこちら。
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