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【2/16-2/22】注目のスタートアップニュース・資金調達情報

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2024年2月16日から2024年2月22日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。

編集部コメント

今週はスタートアップニュースを3件、資金調達情報を5件お届けする。

スタートアップニュースでは、東京・中野にある「東京コンテンツインキュベーションセンター」の入居者募集情報と『Forbes JAPAN』によるピッチコンテスト開催情報、ANRIによる脱炭素特化の懸賞型研究開発事業の募集情報をピックアップ。

資金調達情報では、シードからシリーズCまで、注目スタートアップの資金調達の概要をまとめた。地域交通の課題解決を目指すnewmoは、シードラウンドで、メルカリやANRI、Coral Capitalなど国内大手VCから約15億円を調達し、話題を集めている。このほか、医療現場の業務効率化や医療機関の相互連携の促進を目指すM-INT、デジタル身分証アプリ「ポケットサイン」を提供するポケットサイン、不動産仲介業のコミュニケーションクラウド「Facilo」を提供するFacilo、小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指すつばめBHBの情報を紹介する。

業務効率化の文脈で多くのスタートアップが活躍しているのはもちろんだが、2030年や2050年を見据えた先進国の環境規制の強まりから、環境負荷の低いサプライチェーン構築へのニーズも高まっており、環境系スタートアップも熱視線が注がれている。JP Startupsでも引き続き注視していきたい。

スタートアップニュース

アニメ、ゲーム、Web3.0などコンテンツ分野の起業支援に特化した「東京コンテンツインキュベーションセンター」が入居者募集を開始(2024年2月22日発表)

Credit : 同社プレスリリース

起業支援サービス事業などを行う株式会社ツクリエが東京都から受託運営する「東京コンテンツインキュベーションセンター」(以下、TCIC)が、第71期の入居者募集を開始した。

TCICは、アニメ、映画、ゲーム、web3.0、NFT、VRなどのコンテンツ分野に特化した、東京都直営の入居型創業支援施設。起業家に格安の家賃で完全個室のレンタルオフィスを提供し、コンテンツビジネスを専門とした常駐スタッフがワンストップの経営支援を行う。TCICはこれまでの支援の中で、上場を実現した企業や大手コンテンツ企業が資本参画する企業、バイアウトを行った企業など、成長企業を多数輩出している。

TCICは、「Teach-in(学ぶ)」「Session(創る)」「Connecting(繋ぐ)」「Mentoring(考える)」「Input(磨く)」の5つのアクティビティからなる独自の起業家支援プログラムを用意。起業アイデアの壁打ちイベントや起業相談会、コンテンツ分野特化型アクセラレーションプログラム、入居者交流会、常駐スタッフとの定期面談、経営相談会、経営セミナーなど、豊富なコンテンツを提供し、起業家や起業志望者のスキル・知識を向上させる機会を提供している。

今回のTCIC入居者募集の概要は下記の通り。元リリースはこちら

募集概要

  • 対象:コンテンツ関連およびその周辺産業において、本施設を主たる事業所として創業を予定、または創業3年未満の法人または個人
  • 募集部屋数:4室
  • 月額利用料:今回募集する部屋の月額利用料金は、56,367円~71,938円(賃料+共益費/消費税込み)。敷金 / 賃料4ヶ月分、礼金なし、その他実費精算経費あり。詳細は事務局まで要問い合わせ
  • 入居者募集期間:2024年2月19日(月)~2024年3月25日(月)
  • 入居審査:事業計画書などの書類審査および面談による審査を行う。 入居審査は、審査基準に基づいて行う
  • 入居可能日(予定):2024年4月8日(月)以降
  • 詳細・申込方法こちら

TCIC施設概要

  • 所在地:東京都中野区弥生町2-41-17
  • アクセス: 東京メトロ丸ノ内線「中野新橋駅」から徒歩1分

『Forbes JAPAN』が4月25日にピッチコンテスト「RISING STAR AWARD 2024」を開催、出場者の募集を開始(2024年2月19日発表)

Credit : 同社プレスリリース

グローバルビジネス誌『Forbes JAPAN』(発行元:リンクタイズ株式会社)が、創業3年以内のスタートアップ起業家・経営陣を対象としたピッチコンテスト 「RISING STAR AWRAD 2024」を4月25日(木)に開催する。

「RISING STAR AWRAD」は、2019年からスタートしたピッチコンテスト。今年で開催6回目を迎える。2023年のコンテストでは、応募者の中から6組の起業家が出場。国内を代表するベンチャーキャピタリストが「起業家の志、理念の高さ」「ビジネスの革新性、社会的インパクト」「起業家と経営チームの成熟度」「これまでの実績」を基準に審査を行い、2名がアワードを受賞した。

今年の「RISING STAR AWRAD」は、従来のピッチに加え、日本の地域課題の解決を目指す起業家に特化した「地域スタートアップ部門」も実施予定。RISING STAR AWARDの発表だけでなく、協賛企業であるサッポロ不動産開発より、特別賞:恵比寿ガーデンプレイス「はたらく、あそぶ、ひらめく。」賞(仮)の発表も予定しているという。

ピッチ出場の応募期間は2月19日(月)から3月17日(日)まで。編集部での選考を経て、3月下旬に出場者を決定する。アワード受賞者は『Forbes JAPAN』誌面で取材記事を制作予定。ピッチコンテストの概要は下記の通り。元リリースはこちら

開催概要

  • 開催日時:2024年4月25日(木)
  • 会場:恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区恵比寿4-20)
  • 参加費:無料
  • ピッチ募集要項
    ・原則として2021年4月以降に創業したスタートアップの起業家・経営陣
    ・「一般部門」は全ての起業家・経営陣、新設の「地域スタートアップ部門」は地域に根差し、地域課題の解決を目指す起業家・経営陣が対象
    ・ピッチのエントリーにはRISING STAR COMMUNITYへの加入が条件
  • 応募特典:RISING STAR特設サイトでの企業ロゴ掲載 / コミュニティメンバー限定イベントの参加権
  • エントリーフォームURLこちら
  • 締切:3月17日(日)18時

独立系VCのANRI、脱炭素特化の懸賞型研究開発事業「TOKYO PRIZE Carbon Reduction」の開催を発表(2024年2月16日発表)

Credit : 同社プレスリリース

独立系ベンチャーキャピタルのANRIが、東京都が運営する多様な主体によるスタートアップ支援展開事業「TOKYO SUTEAM」の採択を受け、二酸化炭素削減技術を競う総額1億円の懸賞型研究開発事業「TOKYO PRIZE Carbon Reduction」を開催すると発表した。脱炭素に特化した懸賞型研究開発事業としては、国内で史上最大級の開催規模となる見込み。

ANRIはこれまで、気候変動・環境問題に特化した「ANRI GREEN 1号」ファンドの運用を通じて、脱炭素に資する技術を持つベンチャーへの投資を行ってきた。その中で企業への投資という枠組みを超え、より多様な技術を掘り起こすべく、今回の懸賞型研究開発事業を企画。脱炭素社会の実現に向け、優れた技術を保有する企業や研究者への支援をアプローチ方法を限定せずに行うことを目指す。また、ANRIはディープテック領域において、技術の保有だけでなく多角的な能力を持つチームの組成が重要だと考え、「TOKYO SUTEAM」を手がける東京都を中心にコミュニティ形成を促し、より良いチームアップを可能にするエコシステムの醸成を目指す考えを示している。

今回の懸賞型研究開発事業の募集概要は下記の通り。元リリースはこちら

募集概要

  • 対象者:二酸化炭素排出削減に資する技術を開発するシード期のスタートアップ、研究者や学生等の個人やチーム、大企業からのカーブアウト
  • 懸賞金額:総額1億円 
    優勝企業には5,000万円を支給、入賞企業には1,000万円を支給。入賞企業は5社を選定予定
  • 募集期間:2024年2月16日(金)〜 2024年9月20日まで
  • 募集ページこちら

※ 説明会の開催予定あり。詳細はメールマガジン登録者に通知とのこと

資金調達情報

【シード】地域交通の課題解決を目指すnewmo、メルカリや国内大手VC12社より約15億円の資金調達を実施(2024年2月16日発表)

「利用者視点に立ったサステナブルな地域交通」の実現に向け、2024年1月に設立されたnewmo株式会社が、シードラウンドにおいて、約15億円の資金調達を実施すると発表した。現在は契約締結をすべて完了し、2月末までに払い込みが完了する予定だという。今回の資金調達は、第三者割当増資で実施。引受先は、メルカリ、みちのりホールディングス、ANRI、B Dash Ventures、Coral Capital、DCM Ventures、Eight Roads Ventures Japan、Globis Capital Partners、Headline Asia、HIRAC FUND、Incubate Fund、W fund、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、ジャフコ グループ。このほか、個人投資家が参画している。

newmoは、利用者が安心・安全・快適に利用できるユーザー体験(UX)と、ドライバーとして空き時間を活用し柔軟に働くことができる仕組みなど、地域や生活者にとって真に価値のある移動手段の提供を目指している。そのため、今回調達する資金をもとに、ライドシェアサービスの提供に向けた顧客向け・ドライバー向けのアプリ開発を進めるほか、運行管理システムも開発予定。また、国内におけるタクシー事業者への資本参加を通じ、さまざまな形で地域交通の課題解決を目指していくという。元リリースはこちら

【プレシリーズA】医療現場の業務効率化や医療機関の相互連携の促進を目指すM-INT、約9,000万円の資金調達を実施(2024年2月22日発表)

医療現場の業務効率化や医療機関の相互連携促進を目指し、地域医療連携システム「M-INT」を提供する株式会社M-INTが、三菱HCキャピタル、Cygames Capital、インキュベイトファンドを引受先とする第三者割当増資により、プレシリーズAで約9,000万円の資金調達を実施した。

M-INTは、臨床医経験のある藤尾氏が創業した、首都圏を中心にサービスを展開する医療系スタートアップ。診療情報提供書の授受業務を効率化する医療連携システム「M-INT」を2023年5月下旬にリリースしている。「M-INT」には日本医師会が発行する医師資格証を用いた電子署名機能や紹介先医療機関の検索機能、診療情報提供書のワンクリックでの共有機能などが実装されており、医療機関でアナログに行われていた患者紹介業務のデジタル化を実現できる。

同社は、今回調達した資金をもとに新機能の開発と人材採用を強化する考え。元リリースはこちら

【シリーズA】デジタル身分証アプリ「ポケットサイン」を提供するポケットサイン、4億円の資金調達を実施(2024年2月21日発表)

Credit : 同社プレスリリース

デジタル身分証アプリ「ポケットサイン」を手がけるポケットサイン株式会社が、シリーズAラウンドで、ジャフコ グループ、ニッセイ・キャピタル、三菱総合研究所から4億円の資金調達を行ったと発表した。

ポケットサインは、マイナンバーカードの情報をスマートフォン内に登録することで、誰でも無料で利用できるデジタル身分証アプリ「ポケットサイン」を開発・提供している。同アプリは、サードパーティ製アプリや各種ミニアプリとの連携に対応。連携する情報の内容やタイミングなども自分自身で管理することができるため、プライバシーを高水準で保護することが可能。全国各地の自治体で実証・導入されており、防災やアンケート、インフラ通報、地域ポイント、休日保育予約など、さまざまな目的で使用されている。

また、2023年3月には、会社立ち上げから約7ヶ月で、プラットフォーム事業者としての主務大臣認定を取得。民間事業者向けに、本人確認サービス「ポケットサインVerify」も提供している。

同社は今回の資金調達を通じて、人材採用に力を入れ、プロダクト開発力とセールス・マーケティング部門を強化する考えだ。元リリースはこちら

【シリーズA】不動産仲介業のコミュニケーションクラウド「Facilo」を提供するFacilo、12億円の資金調達を実施(2024年2月21日発表)

Credit : 同社プレスリリース

不動産仲介業のコミュニケーションクラウド「Facilo」を提供する株式会社Faciloが、シリーズAラウンドで第三者割当増資により12億円の資金調達を実施した。引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズ、Coral Capital、Angel Bridge。

不動産仲介業の営業担当者は、複数案件を同時並行で抱えながら、多様な業務を処理することが当たり前となっている。それゆえ、各営業担当者の業務量が膨れ上がりやすく、不動産を探す生活者にとっては十分な情報提供がなされなかったり、五月雨式に情報が届けられることで不動産購入の検討がしづらくなったりする状況があった。

Faciloは不動産仲介における上述のような課題に対し、仲介会社のバックエンド業務の効率化を目指した不動産コミュニケーションクラウド「Facilo」を2023年2月にリリース。クラウドとAIを活用し、顧客に提案した物件情報を自動でマイページ化してまとめることができるなど、現場の業務に即したプロダクト設計としたことで、顧客と不動産仲介会社の双方にとって利用しやすい製品を提供している。同社の発表によれば、今日までに「Facilo」は500店舗を超える仲介会社に導入されており、プラットフォーム上での物件提案数は累計で60万件を突破しているという。

今回の資金調達により、Faciloは組織体制の強化を図る。プロダクトの新機能開発と活用支援を促進し、物件売却の領域で新たなプロダクトの展開も目指すという。元リリースはこちら

【シリーズC】小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指すつばめBHB、約53億円の資金調達を実施(2024年2月21日発表)

Credit : 同社プレスリリース

小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指すつばめBHB株式会社が、シリーズCで、第三者割当増資によって総額およそ53億円の資金調達を実施した。引受先は、国内の既存投資家に加え、国外投資家として Heraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbH(以下、ヘレウス社)が参画。さらに、横河電機と環境エネルギー投資も国内の新規投資家として参画している。これにより、同社の累計調達額は76億円に達した。

つばめBHBは、エレクトライド触媒を活用した、低温・低圧でアンモニア合成が可能な小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装と商用化を目指して2017年4月に設立された企業。環境負荷の観点から見ると、石油化学コンビナートで大量生産されたアンモニアを調達する方法に比べ、輸送や保管のプロセスが減らせることから、CO2排出量の削減に貢献することができる。

現在、世界各国で脱炭素に向けた取り組みが進められているが、特にEUは、炭素国境調整措置(CBAM)を世界で初めて導入することを決定。2023年10月から各事業者に対して炭素排出量の報告を義務化し、2026年から排出量に応じた課税を開始する予定である。また、欧州委員会は2月6日、EUは2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると発表。EUにおける二酸化炭素削減、気候変動問題に対するアクションが必要とされる中、化学、運送や農産業などを中心にグリーンアンモニアのニーズが高まっている現状がある。

こうした世界の流れを受け、つばめBHBの製品は、国内だけでなく海外からも熱い視線が注がれている。同社によれば、2023年12月に初の海外初号機の基本設計を受注し、2026年度からグリーンアンモニアの生産を開始予定。ラオスでもプロジェクトが進んでいるほか、北米、南米、東南アジア、アフリカにおいて、各国の企業と共に小規模プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化に向けてプロジェクトを始動しているという。

同社は今回調達した資金を、小型分散型アンモニアプラントのさらなるコスト低減、中規模プラントの商用化に向けた研究・開発の促進、大型化を見据えた次世代触媒の技術開発費、事業において特に注力する領域の人材採用に活用する予定。また、今回のラウンドでへレウス社が初の海外投資家として参画したことにより、ヨーロッパを中心としたアンモニアの事業開発及びサプライチェーン強化を推進する考え。元リリースはこちら