2024年2月9日から2024年2月15日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。
編集部コメント
今週は連休を挟んだものの、比較的多数の資金調達情報が集まった。多様な業界のスタートアップが資金調達を行っており、昨今話題の絶えない「AI」に関連した事業を行う企業はもちろん、業務効率化SaaS、IPビジネス、医療、物流などの領域でも資金調達を行ったスタートアップが見られた。
今回はその中でも5社の資金調達情報をピックアップしてお届けする。プレシリーズAでは、化学業界の環境配慮経営に貢献可能な業務SaaSを手がけるSotas、営業データプラットフォームを手がけるインフォボックスが資金調達を実施。シリーズBでは都市型立体ロボット倉庫システム「CUEBUS」を提供するCuebusが2.3億円を調達した。このほか、明確なラウンドは不明だが、飲食店のテイクアウト専用SaaSを提供するランプ、取締役会DXに挑むミチビクも数億円規模の資金調達を実施している。
資金調達情報
【プレシリーズA】化学業界の環境配慮経営に資する業務SaaSを開発・運営するSotas、約3.4億円の資金調達を実施(2024年2月14日発表)
化学業界の環境配慮経営に資する業務SaaS「Sotas工程管理」「Sotasデータベース」「Sotas化学調査」を開発・提供するSotas株式会社が、プレシリーズAで総額およそ3.4億円の資金調達を行った。方法は第三者割当増資で、引受先はALL STAR SAAS FUND、三菱UFJキャピタル、Archetype Ventures、サムライインキュベート、デライト・ベンチャーズ。これにより、Sotasの累計調達額は金融機関からの借入も含めて4.8億円に達したことになる。
「2050年のカーボンニュートラル実現」という国際公約を果たすために、世界各国では現在、環境配慮に関するさまざまな取り組みが進められている。日本も同公約を実現すべく、2030年度の温室効果ガス46%削減という目標を掲げながら急ピッチで取り組みを進めており、企業においても環境配慮経営が求められている現状がある。特に温室効果ガスの排出量算定においては、2024年3月に環境省が新たな算出ガイドラインを公表予定。企業は今後、さらにシビアな観点で温室効果ガスの削減などに取り組むことが求められる。
そうした社会の流れを受け、Sotasは環境配慮経営に貢献可能な化学産業特化型の業務SaaSを開発。生産、在庫管理、受発注をデジタル化する「Sotas工程管理」、環境配慮も含めて自社の求める条件と合致する取引先を簡単に見つけられる「Sotasデータベース」、頻繁に変わる化学法規に対し、サプライチェーン全体での対応を円滑化する「Sotas化学調査」の3種類のサービスを展開している。
同社は今回調達した資金をもとに、3種類のSaaSの機能アップデートを行うほか、データ基盤の拡充やサービスの全体最適化も行っていくという。元リリースはこちら。
【プレシリーズA】営業データプラットフォームを手がけるインフォボックスが約6.6億円を調達(2024年2月14日発表)
営業データプラットフォーム「infobox」を開発・提供する株式会社インフォボックスが、プレシリーズAで約6.6億円の資金調達を実施した。調達方法は第三者割当増資で、引受先はANRI、XTech Ventures、グリーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、Headline Asia、茂野 明彦氏、加松 宏樹氏、KSK Angel Fund LLC。これにより、同社の累計調達額は7億円を超えた。
インフォボックスは、企業の営業活動において、買い手側の購買タイミングと売り手側の営業タイミングが不一致になりやすい問題に取り組む。同社はこの課題に対し、市場リサーチから企業リスト作成、決裁者アプローチまでを一気通貫で担える「infobox」を開発。現時点でどの企業の誰にアプローチすべきかを可視化することで、戦略的な市場開拓をサポートする。
インフォボックスは、今回の資金調達により、プロダクトの企画・開発体制の拡充とマーケティング・営業担当者の採用を強化するという。元リリースはこちら。
【シリーズB】都市型立体ロボット倉庫システム「CUEBUS」を提供するCuebus、2.3億円を調達(2024年2月13日発表)
リニアモータを活用した都市型立体ロボット倉庫システム「CUEBUS」を提供するCuebus株式会社が、シリーズBで第三者割当増資により資金調達を行ったと発表した。引受先は三菱倉庫グループMLCベンチャーズ、AbiesVentures、トヨタ紡織。
Cuebusは、リニアモータ駆動による都市型立体ロボット倉庫システム「CUEBUS」を軸に、拡大するEC需要に対応した次世代物流サービスを提供する。CUEBUSはフレームをジョイントし、縦と横に拡張可能なユニット構造形式を採用しているため、大規模な倉庫はもちろん、都市部の狭い空間でもフレキシブルに倉庫の設置と即時稼働が可能となっている。これまで自社で倉庫を持つことができなかった中小企業などでも導入しやすく、高い利便性とコストパフォーマンスで物流倉庫の生産性向上と人手不足などの課題解決に貢献する。
同社は今回、資金調達に合わせて三菱倉庫株式会社と業務提携契約を締結したことも発表した。三菱倉庫グループが保有するアセットや物流ノウハウを活用し、次世代物流倉庫の構築や物流業界の課題解決、物流分野での事業開発を中心とした更なる事業成長を目指すという。また、トヨタ紡織とも今回の資金調達を機に、CUEBUSの活用を目指していく考えを示している。元リリースはこちら。
【ラウンド不明】テイクアウト特化SaaS「テイクイーツ」を提供するランプ、総額1.4億円の資金調達を実施(2024年2月14日発表)
食品小売店や飲食店向けにテイクアウトの予約受付・管理SaaS「テイクイーツ」を提供する株式会社ランプが、第三者割当増資により総額1.4億円を調達したと発表した。引受先は既存投資家の三井住友海上キャピタルに加え、新規投資家としてDNX Ventures、AG キャピタル、90sが参画している。
ランプは、昨今需要が急増している食品のテイクアウトシーンで活用可能なWebアプリ「テイクイーツ」を開発・提供。需要が増加したことで、人手不足が深刻化する店舗側は従来型の紙ベース、店頭ベースでのオペレーションでは注文をさばききれない現状があり、生活者としてはテイクアウトしたい店舗がいつも混雑している、並んで待つ必要があるなど、購買体験の悪化につながっている。
「テイクイーツ」は、最短即日で簡単にネットでの事前予約・決済の受け付けをスタートさせることが可能。飲食店・飲食小売店のDXを推進し、業務の効率化と顧客の購買体験向上に貢献する。すでに全国で大手飲食チェーンなど1500店舗以上が導入しており(2024年1月末日時点)、累計注文数は20万件以上にのぼっている。
同社は今回調達した資金をもとに、東京オフィスを設立し、人員拡大を行う計画。これまでは京都を拠点に営業活動を行ってきたが、東京・品川にある、DNX Venturesと⽇鉄興和不動産株式会社が共同運営するインキュベーションオフィス「SPROUND」に新たな営業拠点を設け、事業・組織の成長を目指すという。元リリースはこちら。
【ラウンド不明】取締役会DXプラットフォーム「michibiku」を運営するミチビク、3.5億円の資金調達を実施(2024年2月14日発表)
コーポレートガバナンステックの領域に挑み、上場企業の取締役会DXプラットフォーム「michibiku(ミチビク)」を運営するミチビクが、第三者割当増資により3.5億円を調達した。今回の引受先は、グローバル・ブレインが運営するフコク CVC ファンド-THE MUTUAL for Next 100-及び農林中金イノベーション投資事業有限責任組合、並びにアニマルスピリッツ、DIMENSION。
昨今、取締役会の重要性が増している。2022年7月に経済産業省が改訂した『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針』(※)では、取締役会の実効性評価を社外取締役の評価へ活用する記載が拡充された。また、コーポレートガバナンスの健全性については、海外を含む機関投資家からの注目度も高く、欧米に比べて日本企業は対応が遅れていることもさまざまな場面で指摘されている。
ミチビクは、そのような重要性と注目度が高まった取締役会の運営を効率化し、意思決定の質を向上させるプラットフォームとして「michibiku」を開発。会議にまつわるさまざまな書類をデジタル化できるほか、電子署名、保管までをワンストップで管理し、AIによる議事録作成支援や会議の内容の定量化を行うことで、取締役会などの重要な会議で本質的な機能をさらに発揮できる世界の実現を目指している。
同社は今回調達した資金を、顧客サポート体制の強化と、マーケティングやセールスの強化に充てる考えだ。元リリースはこちら。
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