日本においては、「医師」を病気を治す人と捉えている人が多いのではないだろうか。
しかし、今回取材したウェルネスは、そんな従来の「病気になったら医療にアクセスする」というあり方に疑問を呈し、日々の健康管理と将来的な病気の予防に医師を役立てようと「Wellness パーソナルドクター」というサービスを運営している。
自身も医師であるウェルネス代表の中田 航太郎(なかた・こうたろう)氏がそのような事業を立ち上げたのは、学生時代に経験した急患の対応とアメリカ留学で見たMedTech(メドテック)スタートアップの勃興が大きなきっかけだった。
倫理観と収益性との間で高いバランス感覚が必要な医療分野の事業。中田氏は事業を運営する際のスタンスについて「シンプルに、至極まっとうなことを言い続けるだけ」「倫理性が重要」と、事業への実直な想いを語ってくれた。今後の展望やウェルネスのカルチャーも含めて、たっぷりと話を伺った。
治療ではなく「予防」で医師を活用する「Wellness パーソナルドクター」
ウェルネスの事業内容を教えてください。
弊社は現在、医師の役割をパラダイムシフトさせることを目指して、予防医療の領域で事業を行っています。
医師といえば、「病気やけがをしたときに診察し、治療してくれる人」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、これからの時代は、そうした従来の医師だけでなく、健康を維持・管理するための医師の存在もニーズが高まってくるのではないかと考えています。
弊社はそうした時代の到来を見据え、「Wellness パーソナルドクター」というサービスを立ち上げました。これを使えば、Wellnessアプリに蓄積したパーソナルな健康データをもとに、パーソナルドクターから将来的な病気の予防や日々の健康管理に関するさまざまなアドバイスを受けることが可能です。
サービスの仕組みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
弊社には、一人ひとりのお客様の健康データを読み解き、予防医学について最適なアドバイスを行えるパーソナルドクターが20名ほど所属し、直接セカンドオピニオンをとれる連携専門医は300名ほどいます。彼らの中から1名が、パーソナルドクターとしてお客様の健康管理を担当。お客様には、健康診断のデータや日々の睡眠データ、歩行データ、家族の病歴、現在服用中の薬やサプリメントなど、多様なデータをWellnessに連携していただき、それらをすべてWellnessアプリで管理します。そして、パーソナルドクターがその情報を分析し、お客様の将来的な健康リスクも鑑みながら日々の食事や運動に対してアドバイスを行い、必要であれば最適な検査や受診すべき医療機関の提案とサポートも行います。
パーソナルドクターとのコミュニケーションは、アプリ上で完結するということでしょうか。
基本的にはアプリでチャットコミュニケーションを取っていただきますが、弊社では3ヶ月に一度、リアルな場またはビデオにてFace-to-Faceでの面談も実施しています。アプリでは、不安なことがあれば365日いつでもパーソナルドクターに相談できるようにしていますが、一方で直接顔を合わせて健康維持に必要な取り組みや当面の目標について話をすることで、サービスを利用し続けるモチベーションにもつながっています。
利用者層はどのような方が多いのでしょうか。
現在は中小企業の代表やシリーズA以降のスタートアップの経営者、上場企業の経営層の方が多いですね。あとは弁護士や会計士としてご自身の事務所を構えている方なども一定数いらっしゃいます。現段階では、広く一般の方に利用していただくというよりも、その方が健康を損なうとビジネス上で周囲にも大きな損害が発生してしまうような、要職に就かれている方の利用が大多数を占めています。
医療業界に待ち受ける厳しい未来を見据えて
競合はいますか?
いえ、国内ではまだ存在していないと思います。一方でアメリカでは、すでにForwardなどのスタートアップが予防医療の分野で存在感を発揮しています。中には時価総額1,000億円を超えているところもあって、僕は以前、アメリカ留学をしていた時にそういったスタートアップに着目し始め、いずれ日本でも予防医療のトレンドが来ると睨んでいました。
そうだったのですね。しかし、日本では国民皆保険制度があるため、予防のために自腹を切って医師を頼る文化が生まれづらいのではないかと感じました。そのような日本の社会的背景は、貴社サービスを拡大させていく上でネックになるのでは?
最初から「予防医療」という見せ方をするのではなく、さまざまな切り口でお客様にアプローチすることで、そのネックを解消できると考えています。
例えば、弊社のサービスに興味を持っていただくきっかけは、「ダイエット」というテーマでも良いんです。リバウンドせず、健康を損なわない形でダイエットするためには、一人ひとりの健康状態に合った最適な食事や運動を選ぶ必要があり、実は健康データを読み解ける医師のサポートが重要です。自分に最もふさわしいダイエット方法をパーソナルドクターが教えてくれるのなら、Wellness パーソナルドクターに健康データを送ってアドバイスをもらってみたい。そう思ってくださる方も多いのではないでしょうか。
弊社としては、お客様の健康データさえいただければ、あとはロジックをもとにさまざまな提案を行い、最終的に予防医療に結びつけることができます。今お話したのはあくまで一つの例えですが、今後、サービスをさらに多くの方にお届けする際は、こうした考え方でさまざまな入口を用意して、Wellness パーソナルドクター、ひいては予防医療の実現につなげていければと考えています。
貴社で活動する医師は、どのように集めているのでしょうか。
医師免許を持っている方なら誰でも良いというわけではなく、コミュニケーション力や医師としての知識と継続学習力、予防医療への熱意といった観点から、弊社側で厳重な選考を行っています。選考で採用となった方には、弊社の作成した予防医学の論文データベースなどをもとに勉強してもらい、実際に現場でパーソナルドクターとして活動してもらっています。
日本では「予防医療」はまだあまり一般的ではありませんが、それでも医師からの応募は多いのですか?
そうですね。やはり現場で予防の大切さを実感している医師も多いため、一定数の応募をいただくことができています。僕も救急病棟で働いていましたが、そこには「腸に穴が開いた」とか「脳血管が詰まって破れた」とか、果ては「心臓が動いていない」という急患がやってきます。でも、よくよく考えてみれば、そんなに深刻な症状が出る前に、医療にアクセスする機会はたくさんあったはずなんです。
しかし、今の日本では、医師は基本的に病院で患者さんが来るのを待っているだけ。患者さんのほうから医療にアクセスしてくれないと、仕事が始まらないわけです。この状況に歯がゆさを感じている医師が実はたくさんいて、そういう方たちが今、弊社の仲間として活躍してくださっています。
なるほど。サービス内容を知るにつけ、医師の新しい仕事の仕方として選ばれていきそうだと感じます。聞くところによると、医師はこれまで、「先輩が開業したクリニックでアルバイトをする」といった副業をする方も多かったようですね。
おっしゃる通りで、このサービスはお客様の健康管理に役立つだけでなく、医師の新しい働き方の選択肢になれればという裏のテーマも掲げています。
というのも、医療業界には「2024年問題」と「2025年問題」が存在しており、これから医師の働き方を大きく変えなければならないからです。「2024年問題」はご存知の方も多いかもしれませんが、これまで法律上の労働時間上限が無かった医師に対して、残業時間の制限が設けられます。これまでたくさん残業することで高い報酬を得ていた医師の収入が一気に半減するという事態も起こり得ますから、新しい働き方を探している方も多いんです。Wellness パーソナルドクターでの仕事は医療行為ではありませんし、自分の手がけた仕事のポートフォリオをつくることも可能です。先ほどおっしゃっていただいたとおり、弊社でもパーソナルドクターが医師の新しい仕事のポートフォリオの一つになりうるのではないかと考えています。
また、2025年問題は、およそ800万人いるとされる団塊の世代が2025年に75歳の後期高齢者を迎えることで、医療の需要が急増するという問題です。国はその問題を解決するために医師の数を増やすという政策をとりましたが、団塊の世代が減り始める2028年ごろからは徐々に医師の供給と患者の需要が逆転してくると考えられています。「医者余り」の時代となったとき、一部の医師はヘルスケアや予防医学の領域に参入してくるはずです。その未来を見据えたときに本当に必要なインフラを、今の僕らがつくっている側面もあるのです。
病気の早期発見で、経営者の命と会社そのものを救えた
これまで、「Wellness パーソナルドクター」を通じて大病を防げた事例などはありますか?
いろいろありますが、直近で言えば、お客様に本当に必要な検査を受けていただいたことで、がんの早期発見につながった事例が2例ありました。
一つ目の事例が、まだ30代と非常に若いスタートアップ経営者のお客様です。30代だと通常は大腸カメラの検査を実施することは少ないのですが、ご家族の中にがんの病歴を持つ方がいたことから、あえて検査を受けていただきました。そうしたら、早期のがんが見つかったんです。最悪の状態になる前に病気を発見できたことで、お客様の命とともに会社も守ることができました。それは、この会社に何十億と投資している投資家の利益やその会社で働いている社員の生活を守ることでもある。早期に病気を発見できて本当に良かったと、心から感じた事例でした。
二つ目は、時価総額数百億円の上場企業で代表取締役を務めているお客様の事例です。このお客様は、毎年何十万円という大金を支払い、周囲で評判の人間ドックを受け続けてきたそうです。しかし、弊社の提案で別の検査を受けていただいたところ、早期の病気が見つかりました。それを早くに治療できたことで予後も良好に。その後も仕事を続けていただくことができ、会社に与える影響も最小限で済みました。この病気を発見できた検査の費用は、わずか5,000円です。改めてパーソナライズされた検査の提案の重要性を感じましたし、弊社が行うサービスの社会的な意義と影響を強く感じることができました。
「人の人生を豊かにしたい」と医師を志し、予防医学に目覚める
そもそも、中田さんが「予防医療」に興味を持ち始めたのはいつごろのことだったのでしょうか。
医学部の5年生のころです。臨床実習で心臓血管外科に行ったのですが、夕方5時ごろ、そろそろ家に帰ろうかなと思っていたときに50代の経営者が急患として運ばれてきて、あわただしい空気の中で緊急手術が始まったんです。夜7時に始まった手術は、結局深夜2時まで続きました。
結果として手術は成功し、患者さんの命は助かったのですが、僕としてはハッピーエンドで終わらせるには何かしっくりこないものを感じてしまって。というのも、その患者さんは1年ほど前から人間ドックで引っかかった項目があり、通院を指示されていたそうなんです。もしそこで通院していれば、あるいはもっと早期の状態で病気を見つけることができていれば、患者さんのご家族や会社の従業員の方は急な出来事に驚き、憔悴することもなかったはずです。そして、多額の医療費もかかりませんでした。もっと言えば、医療費は患者さんが全額を負担するわけではなく、一部には税金も入っています。しっかりと検査して早いうちに病気の種を潰すことができていれば、社会的にも大きなコストを削減できていたわけです。
そのことに気がついたとき、僕は「事件は病院の外で起きている」と感じました。病院の中では医療モデルが最適化されていますが、病院に来る以前の「病気を予防する」という上流の部分に取り組んで、より良いモデルを構築しようとしている人が全くいない。ここにテコ入れすることで、あらゆる人が幸せになり、社会に対してもより大きなインパクトがある事業をつくれるのではないかと思いました。そこで、予防医療の領域で会社を興すことに決めたのです。
中田さんはご自身も医師でいらっしゃいますし、病院や大学で予防医療に取り組むこともできたのでは?
病院で予防医療に取り組むのではなく、あえて会社をつくると決めたのは、大学時代に教育関係のビジネスをやっていたことが影響していると思います。医者として、病院で働くだけがソリューションではないと分かっていたことが大きいですね。
学生時代、起業されていたのですか?
友人と合同会社を立ち上げたりもしましたが、最初のころは個人事業主としてビジネスを展開していました。
具体的には、どのようなビジネスを?
すべての始まりは受験ブログでした。僕が医学部に合格するまでの道のりを毎日投稿していて、その記事を読んだ方から家庭教師の依頼が入るようになり、だんだんと報酬も依頼数も増えていきました。
生徒に成果を出してもらうためのコーチングのようなノウハウを編み出し、友人にもそれを教えて、家庭教師をあっせんするような事業として拡大していきました。
そのような学生時代のビジネス経験は、ウェルネスの事業にも一部活きていそうですね。
そうですね。人を動機づけて行動させる仕組みづくりや、ノウハウを提供してチームをつくるという部分は、現在の事業に活きていると思います。
スタートアップをやると決めた際は、また違った知識が必要になったと思うのですが、それはどのようにして身につけたのでしょうか。
高校の同級生の存在が大きいです。彼は19歳で起業し、現在は3社目の会社を手がけているのですが、起業前にいろいろなことを教えてもらいました。実際の経営については、やりながら覚えていった部分が大きいですね。あとは、弊社のお客様には経営者も多いので、そういった方々からさまざまなお話を聞く中で学んでいます。
ちなみに、中田さんはなぜ医師を目指すようになったのですか?
4歳のころにぜんそくを患ったことがあるのですが、そのときにお世話になった先生に影響を受けて医師を目指すようになりました。当時、病院の先生に会うとすごく安心感を覚えて、人生が豊かになる気持ちがしたんです。それで、病院で働くお医者さんって、すごく良い仕事だなと憧れるようになって。
僕が医師を志した最大の動機は「人の人生を豊かにしたい」というものだったので、実習や研修では整形外科や内科などを回りました。また、実際の医療現場では患者さんの全身を扱うことができる救急総合診療の道に進みました。患者さんの人生が豊かになる治療ができるような医師になりたくて、いろいろな勉強を重ねてきましたが、結局のところ、医師として最も人の人生を豊かにできる最良の選択肢は「予防」だと実感して今に至ります。
「高い倫理観」を重要視。ウェルネスが人材採用で大切にする軸とは
ここからは少し貴社の組織についてもお話を聞かせてください。まず、貴社は現在、何名体制で運営しているのでしょうか。
チームという意味で言えば、ある程度の人数が稼働していますね。パーソナルドクターで20名ほどが常時稼働しており、開発チームは5名が所属しているので、トータルで40名ほどのチームとしてまとまっています。ただ、正社員は6名のみで、本部機能に関しては本当にコンパクトなサイズで運営しています。
どのようなカルチャーがありますか?
プロ意識を持っている人が多いです。それぞれが自分の領域に自信を持っていますし、事業をより良いものにするために、日々勉強を重ねています。僕としても、漫画の『ワンピース』のようなチームを目指していて。本当に強い少数精鋭のコアメンバーが、それぞれの得意分野で最大限力を発揮して目的地を目指していく。そしてその道中では、僕らが目指しているものが大きいからこそ、多くの方が関わってくれる。そんな組織でありたいです。
今後、どのような方と働きたいですか?
「既存の枠組み」にとらわれない方と一緒に働けたらと思います。弊社は「医師の役割は病気の治療だけではない」という考え方から始まっている会社ですし、つくりたい世界観に対して、どういう道筋を描くべきかをゼロベースで考える人が活躍しています。
また、医療・ヘルスケア業界で事業を行うからこそ、「高い倫理性を持つこと」はとても大切にしています。例えば、有名な医師もチームに参画してくださっている今、弊社がただの水を「がんに効く水」だとうたえば、高価格で売れてしまうんです。でも、僕はそんなふうに人をだますようなことをしてお金をもらっても意味がないと思っていて。
目先の収益に目を奪われず、お客様の健康のことを愚直に考えて、科学的なエビデンスの揃った本当に役立つものだけを提供することにこだわる。そういう倫理観を持っている方でなければ、弊社の事業にはマッチしないと考えています。
あとは、「自分自身の健康を大切にする」という点も大切にしています。医学部の入学試験でおもしろい問題があって、「医師のあなたが飛行機に乗っている際、トラブルで緊急着陸することになりました。急遽、酸素マスクが目の前に降りてきた場合、まず取るべき行動はなんでしょうか」という問題です。
この問題に対して、選択肢は三つです。一つ目が「隣に座っている子どもを優先し、酸素マスクをつけてあげる」、二つ目が「周囲で倒れている人たちを助ける」、三つ目が「自分の酸素マスクをつける」。さて、この問題の正解は、なんだと思いますか?
医師として人を助ける技術を持っているのだからこそ、一つ目か二つ目の選択肢が正解なのでは……?
いえ、違います。僕らのような医師は、人を助けなければならないからこそ、まずは自分がしっかりとした状態を保っていなければなりません。そのため、三つ目の「自分が酸素マスクを着用して酸素を吸入する」という選択肢が正解なんです。
この問題が示す判断基準と同じ考え方で、弊社もバリューとして「自分たちがまずは健康であれ」というものを設定しています。スタートアップの経営者は、意外と心身ともに自分を犠牲にしながら頑張り続けている方も多い。でも僕は、それでは持続可能な事業や会社にならないと思っています。自分自身が健康で豊かな状態であるからこそ、周囲や社会の多くの方を健康にできる。そのような価値観を掲げているからこそ、弊社のメンバーは自分の健康維持にお金を使うことを惜しまない方も多いですね。
誰もが幸せに、後悔なく天寿を全うできる社会を目指して
貴社がつくりたい世界観と今後の展望を教えてください。
つくりたい世界観については、ビジョンに「予防医学の力で、防ぎえた後悔をなくす。」と掲げている通りです。死ぬときに「ああ、良い人生だった」と、後悔なく旅立てる。そんな人生を送れる方を社会の中に増やすことができたらと考えています。
病気をして入院し、もう死ぬかもしれないとなったとき、「あのときに検査を受けておけばよかった」「仕事ばかりではなく、家族と過ごせばよかった」と後悔する方も実は多いんです。最期の瞬間にそういう後悔をしないよう、予防医療の力で、やりたいことをすべてやり切れるような、自分の人生をデザインできるような社会にしていきたいですね。
今後の展望については、まずは向こう3年間で、現在のメインターゲットである経営者層において「パーソナルドクターをつける」ということを当たり前の文化にしていきたいと考えています。そして、5年後を目指して上場に踏み切ることができれば。いずれはパーソナルヘルスケアのトップシェアをとり、健康を守るインフラになりたいです。
「健康を守るインフラ」を目指すということは、いずれは行政と協働した取り組みも考えているのですか?
そうですね。医療・ヘルスケアの分野でサービスを広く社会に使っていただくためには、やはり行政とタッグを組むことが欠かせません。すでに行政が発行する冊子に掲載していただいたりもしているので、今後は中長期目線で行政との取り組みも実現させることができればと考えています。
ウェルネスは全く新しい角度の事業を手がけているからこそ、今後拡大を目指すにあたっては、医療業界を含めて各方面からさまざまな反応がありそうです。
予防医療の発展は、実は既存の医療業界を脅かすものではないんですよ。むしろ、予防医療を通じて早期治療が発展していきますから、既存の医療モデルにもメリットがあり、国としてもコスト抑制の点でメリットがあります。僕らとしてはシンプルに、「予防医療が大切だ」という至極まっとうなことを言い続けるだけだと思っています。
僕は、社会にとって本当にためになることをやっていきたい。残念ながら、そうではない医療行為やヘルスケア関係の事業もごく一部に存在していますが、弊社の事業が発展することで、そういったものをいずれ排除できるようになると考えています。ウェルネスの事業と予防医学の力を信じて、この先も愚直に進んでいくだけです。
プレシード、シード期のスタートアップに向けてメッセージをお願いいたします。
ウェルネスもまだまだ思い描くビジョンの達成に向けて道半ばにあるため、プレシード・シード期の皆さんとは本当に同じ目線で「頑張りましょう」とお伝えしたいところなのですが、一つだけ、僕なりの考え方をお話しようかなと思います。
僕は、スタートアップをやる意義は「社会を変えること」にこそあると思っています。何か収益性のあることをやりたいのであれば、すでに確立したビジネスモデルがたくさんありますから、そっちをやったほうがうまくいくはずです。でも、そうではなくて、あえてスタートアップを目指したのであれば、やはり実現したい世界観やビジョンに向かって走り抜けるべきだと思います。
解決したい課題と向き合い、事業と向き合い続ける。そうしてこそ、スタートアップとしての真価を発揮できるのだと信じています。僕もまだまだ、思い描く世界観の実現に向けて頑張らなければなりません。一緒に社会を変えていきましょう!
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
プレシード、シード期のスタートアップへのメッセージと似通ってくるのですが、もしスタートアップへの転職を考えているのであれば、その会社が掲げるビジョンや目指す世界観に共感できるかどうかを大切にしていただきたいなと思います。外から見たときの安定感やキラキラ感に憧れて「なんとなく良さそうだ」という感覚で入ってしまうと、その会社が大変な時期に差し掛かったときなど、「辞めたい」と思う日が絶対に来てしまうと思います。
安定を求めるなら、既存ビジネスで手堅く事業を行っている企業に入ったほうがいい。逆にスタートアップは、本当に目まぐるしいスピードで成長していきます。それを体感し、その成長に自分も貢献できるおもしろさはありますから、「激動」を楽しめる人はぜひスタートアップの世界に足を踏み入れていただきたいなと思います。
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