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【11/24-12/1】注目のスタートアップニュース・資金調達情報

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2023年11月24日から2023年12月1日に発表されたスタートアップニュース、資金調達情報のうち、JP Startups(ジャパスタ)が注目する案件をピックアップしてお届けいたします。

編集部コメント

今週は、資金調達に絞って5件の情報をお届けする。

全体的に資金調達の発表が多かった週と言えるが、特に医療やAIに関連するスタートアップの存在が目立った。本稿ではその中でも、片頭痛治療用アプリなどを開発するヘッジホッグ・メドテックとAI開発支援やアノテーションツールの提供を行うFastLabel、周産期遠隔医療プラットフォームを展開するメロディ・インターナショナルをピックアップして紹介する。

そのほか、専属M&Aエージェントサービス「RISONAL」を手がけるオーナーズ、セールス向けナレッジ蓄積・人材育成ツールを手がけるナレッジワークにも着目。資金調達の内容や事業の概要をまとめていく。

資金調達情報

【シリーズA】片頭痛治療用アプリ・頭痛AI診断の開発を行うヘッジホッグ・メドテック、5億円の資金調達を実施(2023年12月1日発表)

Credit : 同社プレスリリース

産学連携で片頭痛治療用アプリやPMS(月経前症候群)治療用アプリ、頭痛AI診断の開発を行う株式会社ヘッジホッグ・メドテックが、シリーズAで5億円の資金調達を行ったことを発表した。

今回は既存投資家の慶應イノベーション・イニシアティブとDBJキャピタルがリード投資家となり、スクラムベンチャーズ、D4V(Design for Ventures)、新生企業投資、神戸大学キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルが引受先に。今回調達した資金をもとに、同社は片頭痛治療用アプリなどの開発や臨床試験を進め、人材採用を強化するという。

同社の開発する片頭痛 / PMS治療用アプリのように、デジタル技術を活用して疾患の診断や治療を支援するソフトウェアは、「プログラム医療機器」と分類される。国から薬事承認を受けたプログラム医療機器を活用し、治療に役立てる「デジタルセラピューティクス(DTx)」の領域は急速に成長。デロイトトーマツによれば、同市場は年率25~30%の成長率が見込まれ、2030年までに世界で約200ドルの市場規模に拡大する可能性があるという。(※1)

ヘッジホッグ・メドテックは、DTxの中でも特に就労世代の患者が多く、生活への影響が大きい片頭痛に着目。東邦大学とともに共同研究を行い、現在は開発したアプリの探索的試験を行う段階にある。また、頭痛AI診断や緊張型頭痛治療用アプリの開発も開始しており、今後は頭痛領域において統合的なソリューションの提供を目指していく考えだ。

そして、女性活躍に大きな影響を与えているPMS治療用アプリについても、近畿大学と協働して開発を進める。患者のライフサイクルに寄り添ったソリューションを提供し、生活圏と医療圏をつなぐサービスを展開していく構想だという。元リリースはこちら

※1 デジタルセラピューティクス(DTx)の基本の「き」より

【シリーズA】専属M&Aエージェントサービス「RISONAL」を運営するオーナーズが約11億円の資金調達を実施(2023年11月29日発表)

Credit : 同社プレスリリース

中小企業などに対し専属M&Aエージェントサービス「RISONAL M&A」を提供するオーナーズ株式会社は、シリーズAで約11億円の資金調達を実施した。今回は既存投資家のSMBCベンチャーキャピタルをリード投資家に、DEEPCORE、三菱UFJキャピタルが引受先となり、ほかにSBIインベストメント、池森ベンチャーサポート、みずほキャピタルが新規投資家として参画した。

少子高齢化の進む日本では、中小企業の経営者が高齢になったことによる事業承継が大きな課題となっている。オーナーズによれば、事業の売却先や後継者が見つからないために、業績が好調であっても廃業せざるを得ないケースもでてきているといい、同社は事業承継の課題に対して、特に情報弱者になりやすい売り手側に寄り添ったM&A支援を行っている。

今回調達した資金は、専属M&Aエージェントサービスの品質向上を目指し、LLM(大規模言語モデル)を用いたAI開発に充当する予定。LLMを活用し、面談議事録の自動作成・システムへの自動登録機能や事業の買い手先候補のリストアップ、財務データの自動分析などを行えるようにすることで、サービスの企業担当者が顧客とのコミュニケーションやソリューションの検討に時間を割けるようにするという。また、サービスのコストを下げることで、これまでコストパフォーマンスの観点からサービス提供が難しかった企業に対しても提供範囲を拡大させていく考えを示している。さらに、資産運用事業の拡大や新規事業の参入にも資金を活用するという。元リリースはこちら

【シリーズB】AI開発支援やアノテーションツールの提供を行うFastLabelが11.5億円の資金調達を実施(2023年11月29日発表)

Credit : 同社プレスリリース

2020年1月に創業し、AIの教師データ作成代行やアノテーションツールの提供を主力事業として展開してきたFastLabel株式会社が、シリーズBで第三者割当増資により総額11.5億円の資金調達を実施した。今回はESG重視型グローバルベンチャーキャピタルファンドのMPower Partners FundとSalesforceの投資部門であるSalesforce Venturesを共同リード投資家とし、DBJキャピタル、ジャフコ グループ、NTTドコモ・ベンチャーズが引受先となっている。これにより、同社の累計資金調達額は16億円を突破した。

FastLabelが今回の資金調達を行った背景には、生成系AIの急速な発展がある。大規模言語モデルを使ったAIや画像生成AIなどがさまざまな場面で活用され始めている一方で、AI倫理の観点から、特に画像生成AIに学習させるデータについては「被写体からAI開発への利用許諾を得ていること」が重要な条件となるケースが増えている。

同社はそのような状況をビジネスチャンスと捉え、生成AI領域へのサービスラインナップを増やす計画だ。具体的には、同社の提供するAIデータプラットフォーム「FastLabel」を、従来の識別系AIに加えて生成AIモデルにも対応したプラットフォームへと進化させていくほか、生成AIを活用した機械学習モデル構築のための学習・評価データの作成、権利クリアされた生成AI用データセットの販売を目指すという。その上で、AIデータアノテーション領域で国内売上シェアNo.1の達成を実現させたい考え。

今回調達した資金は、上述の構想実現に向けて活用し、さらに海外展開に向けた人材確保などの準備に使用していくという。元リリースはこちら

【シリーズB】セールス向けナレッジ蓄積・人材育成ツールを手がけるナレッジワークが45億円を調達(2023年11月29日発表)

Credit : 同社プレスリリース

セールス向けのナレッジ蓄積・人材育成ツール「ナレッジワーク」を開発・提供する株式会社ナレッジワークが、シリーズBで第三者割当増資により45億円の資金調達を実施した。リード投資家はWorld Innovation Lab(WiL)とグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)で、既存投資家とフォースタートアップスキャピタル等が引受先として参画している。これにより、同社の累計調達額は61.2億円に達した。

同社は、2022年4月よりセールス向けのナレッジ領域ツール「ナレッジワーク」を手がける。現在ではトヨタ、リコー、日清食品、リクルートなど大手企業が多数導入するまでに成長し、今後は多様な仕事で人材育成やナレッジ蓄積を行えるツールを開発することで、企業内の生産性向上に貢献する「マルチプロダクト戦略」に取り組むという。具体的には、3年間で10個の新プロダクトを開発する計画で、2024年4月にはセールス向けの新プロダクトを、同年7月にはセールスの学習領域で新プロダクトをリリースする予定だと発表している。

今回調達した資金は、プロダクト開発とマルチプロダクト展開に向けた組織体制の強化、人材採用に活用していくという。また、資金調達の実施とあわせて、社外取締役にWiLパートナーの難波 俊充氏とFond創業者の福山 太郎氏が就任したことも発表された。元リリースはこちら

【ラウンド不明】周産期遠隔医療プラットフォームを展開するメロディ・インターナショナルが1.1億円を調達(2023年11月29日発表)

Credit : 同社プレスリリース

モバイル胎児モニターを核とした周産期医療プラットフォームを展開するメロディ・インターナショナル株式会社が、第三者割当増資により総額1.1億円の資金調達を実施した。引受先は、京都大学イノベーションキャピタル、東海東京インベストメント、いよぎんキャピタル、QRインベストメント。

メロディ・インターナショナルは、モバイル胎児モニター「分娩監視装置iCTG」を開発・提供している。同モニターは、胎児の心拍と妊婦の腹部の張りを病院や自宅などで測ることが可能なワイヤレス分娩監視装置。専用のモバイル端末を腹部にあてて計測すると、Bluetooth接続でタブレットのアプリ内に結果が表示され、医師の診断に役立てることができる。また、同社は周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」も開発。モニターによる計測結果を自動でクラウドサーバーに送信し、医師はどこからでも妊婦の診断やアドバイスを行うことができる仕組みを構築している。

このようなシステムを開発した背景にあるのは、国内における周産期医療の人手不足と出産環境の空白化だ。また、世界においても出産に携わる医師は不足している。さらに、資源や資金を有する国に医療資源が偏在していることが一つの要因となり、現在でも年間200万人の新生児が出産時に死亡している状況がある。

このような課題を解決するために、同社は胎児の健康状態を医師や妊婦がいつでもどこでも知ることができる遠隔医療の仕組みを構築。現在は国内の130以上の病院に導入され、タイやブータンをはじめとするグローバル進出も実現している。

同社は今回調達した資金をもとに、これまでの取り組みの強化と国内外での機器・システム販売を推進すべく、営業体制の強化やプロモーションの充実、国内外での医療機器認証の獲得などを行うという。元リリースはこちら

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